ORESAMAはディスコの夢を追い続ける “ワンダーランド”な一日過ごした新木場STUDIO COAST
ORESAMAが最初にデビューを果たした2014年の音楽シーンというのは、前年のDaft Punk『Random Access Memories』の影響のもと、AKB48の「恋するフォーチュンクッキー」が大ヒットを記録し、ネット世代の旗手的存在のtofubeatsが「ディスコの神様」を発表したまさに”ディスコリバイバル”の全盛期であった。ナイル・ロジャースに影響を受けたという小島英也のギター奏法や、少し懐かしさを覚えるレトロフューチャーなサウンドスケープなどから、ORESAMAの注目度は時代の空気感ともマッチして、当初からずっと高かったように思う。
ボーカルとサウンドクリエイターの男女2人組というCAPSULEのようなフォーマットも今っぽく、またアニメチックなビジュアルへのこだわりも相まって、このユニットは近い将来日本の若者の心を鷲掴みにするだろうと期待していた。時代が少しずつ変化するに連れて音楽の流行も移り変わっていく中で、今、彼らのライブを見ていると、2010年代前半の空気を最前線にアップデートしながら、走り続けているという想いに駆られる。天井に吊るされた特大サイズのミラーボールの下で、歌い上げるぽんの歌声はどこか切なくて、ノスタルジーを刺激されて胸を締め付けられた。まさにそこにこそ彼らの良さ/面白さがあるようにも思えるのだ。
キラキラした照明、カラフルなレーザー光線、みんなで一緒に踊れるライブ作り……彼らの作り出す世界は“夢”で溢れている。我々が彼らのライブに足を運びたくなるのはそこが”夢”のような空間だからだ。
「ワンダーランド」。直訳して「美しく楽しい空想の世界」。
ディスコの夢を追い続けるORESAMAの2019年は、“原点回帰”することでさらに美しく、楽しいものになるであろう。
■荻原 梓
88年生まれ。都内でCDを売りながら『クイック・ジャパン』などに記事を寄稿。
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