iKONとBTSが3冠獲得 『Gaon Chart Music Awards』から2019年のK-POPシーンを考察

 1つは、K-POPにおける“ガール・クラッシュの変化”だ。“強い独立した女性像”自体は、2NE1やmiss Aなど一世代前のガールズグループたちの時代から度々テーマにされていた。それらはあくまでグループ自体のイメージ戦略やコンセプトに依るところが大きかったのに対し、昨年のヒット曲はより“一個人のリアルな表現”に依っている。“ガール・クラッシュ”を担っていた先輩グループたちの解散や、世界的な「#MeToo」ムーブメントとの連動で、その表現には変化が起きているのかもしれない。

 もう1つは、K-POPの世界的成功との関連だ。BTSが、メンバー個人の物語を歌にする形をとり、説得力を持って「自分を愛そう」と表現したことは彼らの世界的成功の要因の1つとして欠かせない。筆者は、ポップソングの最大の魅力は、たった1曲の力によって、離れた場所に暮らす聴き手に語りかけ、背中を押したり、新たな発見に遭遇させることだと思っている。彼女たちの楽曲のように、聴き手の内面に訴える歌を歌うことは、K-POPが遠く離れた大陸のファンダムの心を動かす最後の一押しにもなるだろう。2019年は、そんなパワーを持った作品たちと多く出会えることを楽しみにしていきたい。

■山本大地
1992年生まれ。ライター、編集者。海外の音楽を中心に執筆。2016年まで「Hard To Explain」編集部。現在は音楽メディア「TURN」編集スタッフも。

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