TWICE、Red Velvet、GFRIEND、Apink…変わりゆくK-POPガールズグループのウィンターソング
2018年から2019年にかけてのウィンターシーズンの楽曲を数年後に振り返ったとき、真っ先に思い出すのはRed Velvetの「SAPPY」かもしれない。彼女たちのオリジナル曲は海外の複数の作曲家を起用することが多いが、日本でのツアーに向けて制作したこの曲も同様で、それゆえに(日本語で歌っているにもかかわらず)無国籍なムードに包まれている。Aメロ〜Bメロ〜サビといったポップスの王道パターンを守りつつも、凝ったコード進行とメロディラインでフレッシュ感を際立たせたダンスポップは、K-POPアーティストの日本シングルとしてはかなりめずらしい作り方だ。
以上の4組よりは知名度・人気度が下がるが、魅力あふれるグループを最後に紹介したいと思う。2014年にデビューしたBerry Goodは、日本でもライブ経験があり、熱狂的なファンも付いている6人組。彼女たちが先日発表した「This Winter(この冬に)」は、ユーロビート風の華やかなサウンドをバックに、“白い雪が降ってきて私たちを祝福する”とポジティブに歌う典型的なウィンターソングである。韓国のアイドルポップスの伝統を受け継いだ1曲として、K-POPガールズグループファンならばチェックしておいてほしい。
ということで、この冬の気になるウィンターソングをいくつか紹介したが、女性アイドルの楽曲だけをチェックしても、“季節感”や“しっとり”といった要素の優先順位がかなり下がっているのがわかると思う。気候や風土がそれぞれ異なる世界各国を相手に活動するアーティストが増えてきた現在、そうなるのも当然かもしれない。逆に季節感のある昔ながらのサウンドメイクを求めるなら、韓国国内での活動を中心にしたアーティストのほうが出会う確率が高いという考え方もある。こうした違いを聴きわけることもK-POPの楽しみ方の一つだろう。
■まつもとたくお
音楽ライター。ニックネームはK-POP番長。『ミュージック・マガジン』や『ジャズ批評』など専門誌を中心に寄稿。ムック『GIRLS K-POP』(シンコー・ミュージック)を監修。K-POP関連の著書・共著もいくつか。LOVE FM『Kore“an”Night』にレギュラーで出演中。