1st写真集『空気の色』発売インタビュー
乃木坂46 北野日奈子が語る、活動休止と1st写真集で芽生えた良い変化「“新しい自分”を認められた」
「写真集では“私らしさ”を壊した」
ーー少し話は変わりますが、今、乃木坂46の写真集はいずれもヒットを記録しています。北野さんから見て、ヒットする要因はなんだと思いますか?
北野:選抜メンバーをはじめ、アンダーメンバーでも個々が活躍しているグループってなかなかないと思うんです。みんなそれぞれ違う輝き方をしているから十人十色の写真集が出来上がるし、だからこそ、あれも見たい、これも見たいってたくさんの人が手にとってくれるのかなって。
ーー北野さんは、今回の写真集でどういう部分を表現したいと思いましたか?
北野:“私らしさ”にとらわれたくないなって。例えば、みなみちゃんは可愛い、白石さんは綺麗、(伊藤)万理華さんは万理華さん独自の世界観があったり……写真集って自分を表現する一冊だと思うんですね。でも、私の場合は逆で。周りからは“太陽キャラ”が“私らしさ”と言われていると思うんですけど、今回の写真集ではその“私らしさ”を壊して、“どれも私だけど、私らしくないでしょ?”という部分が伝わればいいなと思っています。
ーーこの写真集からは、北野さんが“新しい自分”に生まれ変わっていく瞬間が収められている印象を受けました。
北野:活動再開後も、しばらく心に靄がかっているような状況だったんです。それって他のメンバーも経験していることだと思うし、自分を強くする上で大事なことだと思うですけど、私の場合、それをどう処理したらいいのか、これはいつになったら無くなるのかということばかりを考えてしまって、どんどん物事を楽しむことや感動する気持ちを実感できなくなっていました。少しずつ自分の中の感情の動きが鈍くなっていくみたいな……。
でも、今回の撮影で家族みたいなスタッフとスウェーデンで過ごしたことが楽しくて、みんなと一緒にいることに本当に幸せで。クロワッサンが美味しいみたいな小さなことも含めて、いつの間にか自分の中で感情が動いていることに気付いたんです。そういえば私は周りの人を見たり、季節の空気を感じながら、なにかをイメージしたり考えたりすることが好きだったなって少しずつ思い出していって。どんどん忘れていた感情が溢れ出てくるような感覚でした。この写真集を通して、私自身が“新しい自分”を認められたことによって、アンダーライブを含めて色んな活動に対して前向きになることができました。
ーー先日、北野さんが座長を務めたアンダーライブが開催されました。今回、初めて単独センターを担当しましたが、振り返ってみて北野さんにとってどんな公演になりましたか?
北野:前向きになったと言ったばかりなんですけど、センターに選ばれた時はどうしても「私なんかでいいのかな?」って自信がなくなってしまうことが多いんです。でも、(伊藤)かりんちゃんとかが「日奈子は日奈子らしく引っ張ってくれればいいよ。私がサポートするよ」って言ってくれて。私なりのやり方で座長を務めてみて、こんなに悔いのないライブは初めてでした。途中で靴ひもがほどけちゃったり、あそこをもっとこうしておけばよかった、みたいなところはあるんですけど(笑)。
ーー座長のプレッシャーもあったと思います。
北野:やっぱり、それぞれ個人の活動もあるから、みんなで一緒にリハーサルを行える機会も少なかったんです。私はアンダーライブのことだけを考えていたので、ひとりだけどんどん突っ走っていっちゃんたんですよね。でも、それじゃダメで。私だけが熱い火を持っているのではなく、みんなにもその火を付けていかないといけないって思ったんです。これまであまりしてこなかったんですけど、リハーサル以外でメンバーと話す時間をくださいとスタッフさんにお願いして。そういう話し合いの場でアンダーライブに対するみんなの気持ちをひとつにすることができたし、結果的に誰も欠けることなく同じ空気の温度で行うことができたので、ライブは大成功だったと思っています。
「「アンダー」はアンダーメンバーにとっての原点」
ーー特に印象的だったのは、「アンダー」に対して北野さんが言った「正解がないところが良い」というライブMCでした。『逃げ水』の際、中元日芽香さんとのWセンターで初めてこの楽曲をもらった時と現在、北野さんの中で曲の解釈は変わりましたか?
北野:最初は、アンダーメンバーも色んな分野で活躍してきて、アンダーライブもたくさん行ってきている中で、「アンダー」を歌うことに違和感をずっと覚えていました。もちろん、好きって言っているメンバーもいたんですけど、私はどうしてもそういう気持ちを隠すことができなかったんです。この曲を歌っている自分が悔しいし、最初はそれがすごく辛かったんです。
でも、「アンダー」の歌詞にもある通り、それぞれポジションを任せられる理由があって、輝けるのはセンターだけじゃないんだって思えるようになって。例えば最後列の3列目のメンバーが一生懸命やらないと、パフォーマンスの熱量って絶対に前に伝わっていかないんです。前列の子だけが一生懸命でも、お客さんも「あれ?」って戸惑うと思います。ちゃんとそれぞれのポジションに役目があって、そこで光を放とうとみんなが努力しているから輝いて見えるんだって。そういう風に思えたのも休業期間があったからですね。「アンダー」は乃木坂46にとっての「乃木坂の詩」みたいに、アンダーにとっての原点であり、大事な曲だと思っています。
ーー生駒里奈さんや西野七瀬さん、若月佑美さんなど、乃木坂46を築いてきた1期生メンバーが次々卒業し、さらに新しく4期生が加入してくるなど、2018年は乃木坂46にとって大きなターニングポイントになった年だと思います。この一年を振り返ってみて、いかがでしたか?
北野:生駒さんの卒業からはじまり、七瀬さんの卒業で終わる……正直、本当に寂しい気持ちでいっぱいです。でも、卒業していく先輩はみんな、「後輩がたくましくなって乃木坂46を任せられると思ったから卒業するんだよ」って言ってくれて。そういう言葉を聞くと、私たち2期生も3期生も成長しているんだな、先輩たちに認めてもらえてるんだなって実感できました。私だけじゃなく、他のメンバーもより乃木坂46への愛が深まったと思いますし、熱量が増えているのも感じます。先輩たちが築いて、大きくしてきた乃木坂46をこれから先も守っていきたいなって。
ーー北野さん自身も復帰後はアンダー曲「日常」でセンターを担当し、今回ソロ写真集を発売するなど、飛躍の年になったのかな、と。改めて2019年はどんな年にしたいですか?
北野:やっぱり、選抜メンバーを目指していくのがアンダーの軸になると思うので、そこは変わらずに努力を続けていきたいです。個人としては、犬に関するボランティア活動に携わっていきたいですね。実家で雑種の犬を飼っているんですけど、その犬は保健所から引き取った子なんですね。保健所で動物が殺処分になってしまうのは本当に悲しいことだと思っていて、私が仕事の場でそういう世界があることを知らせていくことで、少しでも多くのわんちゃんの命を助けてあげられるかもしれない。そうやって私にできることを少しずつでも頑張っていきたいです。
(取材・文=泉夏音/写真=三橋優美子/衣装=Free's Mart 自由が丘店(03-3723-4551))
■商品情報
北野日奈子 1st写真集 『空気の色』
予約発売日:2018年12月27日(木)
販売価格:¥1,800(+税)
出版社名:幻冬舎
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