「宗像明将の現場批評〜Particular Sight Seeing」第43回 『Girls Are Back In Town VOL,2』

フィロソフィーのダンスはダンスフロアを更新してしまったーー2018年の躍進から思うこと

 2018年10月27日には、SCOOBIE DOとのツーマンライブも開催された。その「フィロソフィーのダンスpresents『Singulality 2』」は、「ベスト・フォー」つまり最高の4人と称されるフィロソフィーのダンスが、「ファンキー4」と呼ばれるSCOOBIE DOの胸を借りたライブでもあった。「ラブ・バリエーション」でコラボレーションをして、日向ハルが「今夜は好きにしてください」と発言したライブでもあった。

フィロソフィーのダンス/ラブ・バリエーションwith SCOOBIE DO @キネマ倶楽部

 フィロソフィーのダンスはソウルミュージックをも歌う。 『イッツ・マイ・ターン/ライブ・ライフ』が1990年代ソウルに舵を切ったように。『Girls Are Back In Town VOL,2』の本編ラストで披露された新曲「ハッピー・エンディング」が1960年代のソウルミュージックを彷彿とさせるように。

 考えてみれば、私たちが生きる2018年とは、Suchmosが『第69回NHK紅白歌合戦』に出場し、YouTubeにアップロードされた竹内まりやの「プラスティック・ラブ」が全世界で約2500万回再生されている世界である。ブラックミュージックをベースにした日本のポップスが、日本国内はもちろん世界に浸透している。ならばフィロソフィーのダンスがJ-POPのマーケットで抜きんでるためには? フィロソフィーのダンスが竹内まりやのように世界で聴かれるためには? それは決して絵空事ではないとも感じる。『Girls Are Back In Town VOL,2』で、十束おとははこう述べた。「世界中の人を踊らせたい」と。

 フィロソフィーのダンスは、2019年3月22日にニューアルバム『エクセルシオール』をリリースすることも発表した。置いていかれないようにしなくては。そんな焦燥感すら抱いた瞬間、ステージ両脇から銀テープが噴出され、歓声が沸くフロアに降りそそいだのだ。

■宗像明将
1972年生まれ。「MUSIC MAGAZINE」「レコード・コレクターズ」などで、はっぴいえんど以降の日本のロックやポップス、ビーチ・ボーイズの流れをくむ欧米のロックやポップス、ワールドミュージックや民俗音楽について執筆する音楽評論家。近年は時流に押され、趣味の範囲にしておきたかったアイドルに関しての原稿執筆も多い。Twitter

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