『EX_MACHINA WORLD TOUR 2018: JAPAN』東京公演レポート(12月1日)

Crossfaith、新作『EX_MACHINA』と欧州ツアーで遂げた進化 ワールドツアー東京公演レポ

 こうして40分におよぶa crowd of rebellionのパートは終了。約20分のインターバルを挟み、いよいよこの日のメインアクトであるCrossfaithの登場だ。オープニングSE「Deus Ex Machina」が爆音でスタートすると、フロアパンパンのオーディエンスは一気に前方へと押し寄せ始める。メンバーが1人、また1人とステージに現れ、最後にKoie(Vo)がフラッグを掲げて登場すると、場内の熱気は早くもヒートアップ。そのままライブへとなだれ込むと、Tatsu(Dr)のヘヴィなビートに合わせ、観客は思い思いの手段でバンドの演奏を楽しんでいく。Kazuki(Gt)やHiro(Ba)は自身のポジションから動き回りながら演奏し、目の前のオーディエンスたちの楽しげな様子に笑顔を浮かべ、Teru(Prog/Vision)は曲によってステージ前方に飛び出したり、あるいはフロアへとダイブしたりと彼らしいアクションで観客を煽り続ける。

 ツアー終了前ということでセットリストの詳細に触れることは避けておくが、新作『EX_MACHINA』からの新曲群を中心にしつつ、「Countdown To Hell」や「Wildfire」などライブの定番曲を挿入する構成は、ただ一言「最強」としか言いようがない。Crossfaithの“これまで”を総括した集大成的内容でありながらも、さらなる新たな可能性を秘めた『EX_MACHINA』というアルバムは、やはりライブでこそ活きる作品であることをこの日のライブは証明していたし、人気の既存曲と並んでも違和感なく、会場のテンションも一切落ちることはない。

 先にヨーロッパツアーを行なったのも功を奏しているのだろう。世界で戦ってきたバンドが見せる、終始200%級のパワフルなパフォーマンスは圧巻の一言だった。もしかしたら、『EX_MACHINA』という作品がライブにどう作用するのか、この新作を経てバンドはどう変わったのか、なんてことを気にしていたファンもいたのかもしれない。しかし、そういった様子見はCrossfaithというバンドや『EX_MACHINA』というアルバムには一切不要だということを、この日のステージを見て理解したはずだ。そのくらい、このライブで見せたCrossfaithの姿は清々しいものだった。

 また、新作からの「Milestone」や「Daybreak」というナンバーが、今後のCrossfaithにとって新たな武器になることも実感させられた1日でもあった。独特のエモーショナルさを持つ前者、激しさの中にもドラマチックさを内包する後者は、アルバムで聴いたとき以上にライブでその魅力を強く放つキラーチューンだった。こういった楽曲がアリーナやスタジアムで鳴らされたとき、どんな景色が見えてくるのだろう……そう想像するだけでも、ゾクゾクしてしまった。

 アンコール終了後、Koieがステージ去り際に「来年の3月4月に、ワンマンツアーやります!」と観客に告げると、フロアは喜びの声に包まれる。おそらく次のツアーでは、さらにスケールアップしたステージと、幾多のライブを経てより強靭なものへと進化した『EX_MACHINA』の楽曲たちに出会えることだろう。そして、Crossfaithという日本が誇るバンドがどんな未来を見せてくれるのか、早くも楽しみでならない。

■西廣智一(にしびろともかず) Twitter
音楽系ライター。2006年よりライターとしての活動を開始し、「ナタリー」の立ち上げに参加する。2014年12月からフリーランスとなり、WEBや雑誌でインタビューやコラム、ディスクレビューを執筆。乃木坂46からオジー・オズボーンまで、インタビューしたアーティストは多岐にわたる。

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