いきものがかりが国民的グループになり得た理由 ソロ活動から活動再開までを追う

 今年の大晦日に放送される『第69回NHK紅白歌合戦』(以下、紅白歌合戦)への出場と2年ぶりとなる活動再開を発表した、いきものがかり。現状では、この紅白歌合戦が本格復帰のステージと言われている。

いきものがかり『 超いきものばかり~てんねん記念メンバーズBESTセレクション~』

 紅白歌合戦といえば、過去に産休明けにステージ復帰した安室奈美恵や、病気による休養明けの桑田佳祐、グループからの卒業発表をしたAKB48の大島優子など、この場で活動を再開したり、または引退前の大事なステージになったり、そうした節目を刻んできたアーティストたちがたくさんいる。「放牧」という名の活動休止をしていた、いきものがかりが「集牧」の場として紅白歌合戦に出場するのも、彼らが国民的注目度の高いアーティストだからだ。

 何故、いきものがかりは多くの人に支持される国民的グループになり得たのか。そのポイントはいくつかあって、まずはデビュー当時から「時代に残る名曲を生み出したい」という確かな目標があったこと。特に水野良樹は歌謡曲への敬愛が深く、「1枚目からずっと、バンドとしてのコンセプトは変わってない。聴いてくれる人が感情や思い出を重ねられるもの、その人のものになっていく曲を作ることが僕らにとって重要なこと」(フリーペーパー『ぴあclip!』より)と取材で語っていたのは、もう10年も前のこと。日本の古き良き歌謡曲やポップソングを後世に語り継ぐ役割も担いたいということから、いきものがかりのシングルのカップリングに様々なアーティストの名曲カバーを収録するということもしてきた。

 幅広い年齢層に支持されるメロディや曲調、そして吉岡聖恵のボーカルスタイルは彼らがデビュー前に路上ライブで経験を積んできたことも大きい。通り過ぎる目の前の人たちの足を止めるには、どうしたらいいかを考えてきた下積み時代に、心を打つコード進行やメロディの展開、そして爽やかで耳馴染みが良くて聴き取りやすい歌という、いきものがかりの王道ポップ路線を確立させたのだ。

関連記事