パノラマパナマタウンは今、ミクスチャーの最先端にいるーー自主企画『渦:渦』を見て

パノパナは今、ミクスチャーの最先端にいる

 冒頭、挨拶代わりの「PPT Introduce」で始まり、続く「世界最後になる歌は」で岩渕は早くもオーディエンスで溢れるフロアに飛び込む。そして、フロア側面に設置されていた階段の手すりによじ登っていく。フロアにいる誰もが、階段の手すりにギリギリな感じの不安定な状態で立っている彼を見つめる。そこで演奏が止み、全員で合唱ーー〈世界最後になる歌は こんなもんでは伝わらない〉。演者と聴き手の、圧倒的なシンクロ感は、「いま、この場所が世界の中心なんだ!」と叫びたくなるほどの美しさ。この瞬間は、自分がここ最近見たライブの中でも、最も美しい光景のひとつだった。

 その後も、「リバティーリバティー」、「マジカルケミカル」、「パノラマパナマタウンのテーマ」、「Gaffe」と、序盤はファンキーでフリーキーなサウンドでフロアを揺らしていく。田村夢希(Dr)と田野明彦(Ba)のリズム隊は柔軟に、力強くグルーヴを生み出し、浪越康平のギターはキレッキレのカッティングを聴かせたかと思えば、ブルージーなリフを響かせた。こうした豊かな表現力が、このバンドの魅力をより多面的なものにしている。

 そして、後半は「ラプチャー」、「くだらnation」、「$UJI」、「フカンショウ」へと、よりストレートな楽曲の連打で、威風堂々としたバンドの現在地を見せつける。特に、このライブの翌日10月12日の午前0時より配信開始された新曲「くだらnation」と「$UJI」という最新シングル曲2曲の、聴く者の耳と心に一心不乱に殴り込んでいくようなド直球っぷりが素晴らしかった。怒りも疑問も反吐も血も涙も笑顔も愛も、それがどんなんに屈折したものであろうと、自分の中にあるすべての感情の存在をなかったことにしないために、この世界に突き刺すために、彼らの音は、どんどんと真っ直ぐに伸びていく。

 すさまじい熱狂空間の中、本編は「フカンショウ」で終了。アンコールでは「いい趣味してるね」が演奏された。本当にいい夜だった。パノラマパナマタウンは、好きなものを好きだと言いながら、やりたいことをやっている。そして、「お前もそうすればいいのに」と言われているようにも思えた。

(写真=浜野カズシ)

■天野史彬(あまのふみあき)
1987年生まれのライター。東京都在住。雑誌編集を経て、2012年よりフリーランスでの活動を開始。音楽関係の記事を中心に多方面で執筆中。Twitter

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パノラマパナマタウン オフィシャルサイト

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