サザンオールスターズと芸術花火が生む相乗効果 オーガナイザー浦谷幸史が語る『茅ヶ崎サザン芸術花火2018』

20年後、30年後も、きっと心に残り続ける体験になる 

ーーただ、そんなサザンだからこそ、当日の選曲はかなり難しいというか、いろいろプレッシャーもあるのでは?

浦谷:そうですね。今回は僕もいろいろアイデアを出しているんですけど、いろんな意味で本当に難しいです(笑)。もちろん、これまでもずっとサザンの曲は聴いてきたんですけど、“芸術花火”を前提として考えると、今まで聴こえなかった音が聴こえてきたり、今まで見えてなかったイメージが膨らんでいったりするので。花火前提で考えているので、ライブのセットリストとは、だいぶ違うものになるかもしれないですね。

ーー基本的には、アップテンポあり、バラードありみたいな。

浦谷:そうですね。ただ、“芸術花火”の場合、アップテンポなものがアップテンポに聴こえなかったりすることもあるんです。バラードのほうが、花火の印象と相まって、むしろ大きな音で聴こえてくるようなところがあって。花火と言うと、みなさん玉数が多いほうがすごいように思うかもしれないですけど、バラードに合わせて超巨大な美しい花火が一発上がったほうが、強く印象に残ったりするんですよね。“芸術花火”は、先ほども申し上げたように、一発一発の花火の質が世界最高峰なので。いずれにせよ当日は、日本最高のバンドの音楽と、日本の伝統技術のオールスターズが完全に組み合わさるので、本当にすごい体験になると思います。

ーー今回の花火大会は、全席有料のチケット制となっていますが、それはやはり音響面に力を入れていることと関係しているのでしょうか?

浦谷:それもあるんですけど、実はもうひとつ大きな理由があって。チケット制にすることによって、当日の警備計画がスムーズになるんです。というのも、すべて無料にしてしまうと、本当にものすごい数の方々が来てしまうんですよ。今回の茅ヶ崎は初めてなので未知数ですけど、これまでやった“芸術花火”は、すべてチケット制でやっているにもかかわらず、周辺で見ていた人たちも含めると、1箇所の花火大会で少なくとも30万人以上という報告が警察からきているんですよ。これを全部無料にしてしまうと、本当にとてつもない人数がきてしまって、非常に危険なものになってしまうんです。警備計画の範囲が、それこそ際限なくなってしまうので。チケット制にすることは、来場者の方の環境面での充実はもちろんですけど、安全面を考え警備範囲を絞って、危険をなるべく少ないものにしたいという理由があるんです。僕らのチームというのは、花火に関してはもちろん完璧なんですけど、実は警備も含めた安全対策に一番力を入れているんです。そういう意味でも、お金を払って観ていただく一つのショーエンターテインメントとして間違いない体験をご提供します。

ーーなるほど。ちなみに、“芸術花火”としては、今回が関東初の開催になるんですよね?

浦谷:そうですね。札幌、名古屋、福岡、京都と主要都市ではやってきているんですけど、関東では今回が初ですね。そう、質の良い大きい花火を上げるには、それ相応の保安距離というものが必要になって……なので、今回の企画も、最初は東京のお台場という話もあったのですが、やっぱりお台場では無理なんですよね。それは、神宮球場や墨田川であっても同じであげられる花火のサイズに制限がかかるんです。今回の会場は海岸なので、保安距離がものすごく広いんです。間違いなく、会場からみる花火は視界に入りきらないくらいの圧巻の光景になりますよ。なので、そういう意味でも、これまでの花火大会とは違う、本当に素晴らしいものをお見せできると思います。

ーー“芸術花火”は今回が初という来場者も多いと思いますが、当日はどんなところに注意して見れば良いでしょう?

浦谷:うーん……それは特に、こちらからは無いですね。というのも、見ていただいた方が、そのままの形で感じてもらうのが、きっといちばん良いと思うので。そのとき思ったことが、多分正解なんだと思うんですよ。もちろん、来ていただいた方全員に、幸せな気分になってもらいたいというのはあるんですけど、こういう気持ちになってもらいたいとか、何かに誘導したいというようなことは、僕らの側にはまったく無いので。そう、幸せな気分っていうのは、人それぞれだと思うんです。年齢によっても違うでしょうし、誰と見ていたかでも違うでしょうし。ただ、何かを感じてもらえるようなものには、間違いなくなっていると思うので、あとはもう、見た人それぞれの感覚に従ってほしいですね。

ーーむしろ、見たあとの感想を、具体的に聞いてまわりたいぐらいですね。

浦谷:そうですね(笑)。でも、花火大会っていうのは、そもそもすごくインパクトがあるものなので、10年後、20年後とかでも、みなさんきっと覚えていると思うんです。しかも今回は、“芸術花火”で、“サザンの音楽”で……しかも、その会場となるのが、サザンの聖地である茅ヶ崎の「サザンビーチちがさき」であるという。それはもう、20年後、30年後も、きっと心に残り続ける体験になると思います。サザンの歌じゃないですけど、そこから見た人それぞれの物語や思い出が生まれるんじゃないかっていう。

ーー確かに。

浦谷:誰と行くかはもちろん、その行き帰りにも、いろいろ物語があると思いますし……そうやって見た人それぞれにとって、素敵な思い出になればいいなって思っています。そう、花火っていうのは、見た人が絶対幸せな気分になるんですよね。ケンカしていたカップルだろうが家族だろうが、花火のあとは絶対会話が弾むと思うし、気分も良くなって……会場自体が、本当に良い空気に包まれるんですよ。で、さらに今回は、そこにサザンとその聖地である茅ヶ崎という要素が加わって、その相乗効果は僕らにとっても未知数というか、もう想像できないですね(笑)。

ーーでは最後、当日来場される方々に、改めて注意事項みたいなものは何かありますか?

浦谷:そうですね……当日は、なるべく早く来ていただくことをおすすめしますということでしょうか。一応、砂浜エリア・椅子エリアに関しては14時開場、立ち見エリアは16時半開場、18時開演というふうに設定させてもらっているんですけど、まずは茅ヶ崎駅の近くにある小学校に寄ってもらって、そこでチケットチェックをしていただき、リストバンドを受け取って、そこから歩いてビーチに移動していただくという、ちょっと特殊なオペレーションになっています。

ーーなるほど。サザンビーチは、そこまで大きいビーチではないので、リストバンド交換場所は、別の場所に設置されているのですね。

浦谷:そうなんです。他の芸術花火だとしっかりと用意されたイベント会場で実施をするんですが、今回は茅ヶ崎の街自体が会場になる必要があるといいますか、茅ヶ崎駅を出てからサザンビーチにつくまでの導線も、このイベント用に緻密に組み立てています。通常だったら、茅ヶ崎駅からビーチまでは、20分くらいで行けるんですけど、途中で小学校に寄って、そこでリストバンドと交換していただくことを考えると、やっぱりそれなりに時間が掛かってしまうと思うんです。ビーチに辿り着くまでには、信号もありますので。だから、時間に余裕を持って、なるべく早めに会場に到着していただけたらなと。あと、まだこれはオフィシャルでは言ってないんですけど、早目に来てもらえた方には、そこで特別な体験があるかもしれないので、そちらも是非楽しみにしていてください(笑)。

(取材・文=麦倉正樹/撮影=林直幸)

■イベント情報
『茅ヶ崎サザン芸術花火2018』
日時:10月27日(土) 開場14時00分 / 開演18時00分
会場:サザンビーチちがさき(神奈川県茅ヶ崎市サザンビーチちがさき海水浴場)
チケット情報:椅子指定席 4,300円(税込) / 砂浜ゾーン指定エリア(オリジナルビーチシート付き) 3,800円(税込)
※観覧には必ずチケットの購入が必要。チケットのない方は、観覧エリア入場不可。
※未就学児は、成人以上の保護者同伴に限り無料(大人1名につき未就学児1名まで)座席が必要な場合はチケットが必要。
チケットの詳細は公式HPにて。

■関連リンク
サザンオールスターズ オフィシャルサイト

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