ホットスタッフ 横山和司副社長が語る、コンサートビジネスの本質「変化の中で独自のものを作る」

ホットスタッフ 横山和司副社長が語る、コンサートビジネスの本質「変化の中で独自のものを作る」

アーティストやお客さんの層に合ったものでいい 

ーー現在だと『Ruby Tuesday』(2014年7月1日@新宿LOFTが初開催。10月2日の開催で33回目を数えるライブハウスに焦点を当てた最先端のバンドやアーティストを紹介するイベント)が、これからのアーティストと出会うきっかけになっていますね。

横山:そうですね。僕が入社した時からライブハウスを起点としたイベントはいろいろやっていました。他にも野外になりますが、池上本門寺の野外特設ステージで開催している『Slow LIVE』というイベントがあり、今年で15年目になります。

ーーサニーデイ・サービスとKIRINJIが出演した『Slow LIVE ’18 in 池上本門寺 15th anniversary』に伺いました。今年もまた最高でしたね。

横山:気候も良かったですしね。ゆったり座ってライブを観たいという方もいらっしゃるので、『Slow LIVE』では食事やドリンクも含めて観る方のニーズにも合わせてイベントを作っています。

ーー大人のライブファン、音楽ファンも増えているのかなという印象を持ちました。

横山:そうですね。『Slow LIVE』はお年を召した方もいらっしゃるので、インターネットだけではなく、告知も含めてチケットの買い方など工夫をして、いろんな形で手が伸ばせるところにあるよう意識しています。少子化問題もありますが、『Slow LIVE』含め、今後高年層の需要も高まるんじゃないかと思っています。自分の親もそうですけど、80歳になってもコンサートを観たいと言うんですよね。なかなか若い人みたいに行くことはできないけど、テレビとかではなく、コンサートを生で観るとエネルギーをもらえる。そのためにじゃないですけど、日々頑張っているということもあると思うんですよね。そのようなことを自分の親から聞いたりすると、そういう場も必要だと感じるんです。先日上野にある東京文化会館に『椿姫』というオペラを観に行ったんです。平日の15時開演だったんですけど、おそらく平均年齢50歳以上のお客さんで満杯でした。ライブの土日公演が昨今非常に多くなっていますが、平日の早い時間に開演した方が行きやすい方もいらっしゃる。いろいろな方法があると感じました。

ーーそのいろいろな方法のひとつに、今年のフジロックでのYouTube配信も挙げられると思います。

横山:そうですね。フジロックは、今年ライブの生配信に挑戦しました。初めての年は賛否両論あるんですけど、僕は成功したんじゃないかなとデータを見て思っていて。データでは海外、特に韓国やシンガポール、台湾などアジアで多く見られていました。もちろんケンドリック・ラマーやボブ・ディランがヘッドライナーだったということもあって、アメリカから見てる方もいたみたいですけど。

ーーなるほど。YouTubeでの配信をきっかけに、さらに広がっていきそうですね。

横山:見たこともない外国のバンドも生配信されていましたからね。THE FEVER 333っていうバンドが出てたんですけど、最後にパンツ一丁になっちゃって(笑)。ものすごくカッコいいライブでした。後日、このバンドはどこのバンドなんだっていう問い合わせがきていたようです。そういうふうに広がっていくっていうことを考えれば来年はもっと進化した形でできるんじゃないかなと思います。

ーーライブ産業の盛り上がりもますます加速していきそうですね。

横山:加速していくという言い方が正しいかどうかわからないですけど、フェス以外のワンマンコンサートも含めて、近くでアーティストを観たいとか、MCを聞きたいとかっていう感情は多分なくならないと思うんですよ。インターネットでデジタル化したものを見られるとしても、生のものは相変わらず簡単に観ることはできない。それはスポーツもそうですし、プロレスとか格闘技でもそうだと思います。あの生の感覚っていうのはその場所にいないとわからない魅力がありますよね。それとはまた別に携帯電話がこれだけ普及して今は小学生も持っているというのは昔からは想像できなかったことで。その子達は今、映像を通してコンサートを見ていますよね。5年後、10年後には違った形が出ているのかもしれないですけど、その子達がコンサートに来るようになると考えれば、これからさらに広がっていくんじゃないかなと思います。

ーーそのニーズの受け皿になる、例えば会場やチケッティングの問題も徐々に進化していくのでしょうか。

横山:チケットの不正転売の問題がここ何年かありましたけど、それは相変わらず今も続いています。もちろん不正転売をさせないような対策も考えていますし、ネットでチケットを買ってそれを入場時に認証させて、入っていくっていうシステムをやっぱり強化していかないとダメだろうなと思っています。とはいっても全ての会場でやるのはなかなか難しい問題があるんですけどね。チケットの価格も今後進化していくと思っていて、今回の『Hot Stuff Promotion 40th Anniversary MASAKA』では、それぞれの公演日でチケットの値段を変えています。例えば3日目は、東京スカパラダイスオーケストラとTHE BACK HORN、ポルカドットスティングレイとKing Gnuが出演しますが、どこのお客さんの層に合わせてチケットの価格を着地させるのかが問題でした。東京スカパラダイスオーケストラやTHE BACK HORNを普段見ているお客さんに合わせて5000円〜6000円にしてしまうと、ポルカドットスティングレイやKing Gnuのお客さんにとっては少し高い印象がありました。ポルカドットスティングレイやKing Gnuのお客さんに東京スカパラダイスオーケストラやTHE BACK HORNを見てもらえたほうが、可能性が広がるんじゃないかと思って、この日だけは一気に下げて4000円〜に設定しました。

ーー逆に2日目の岡村靖幸さんとYUKIさんのライブでは1万円の席もありますね。

横山:アーティストやお客さんの層に合ったものでいいと思うんですよ。『Slow LIVE』もそうですが、席種をいっぱい作って選べるような形にしていく。ゆっくり見たい人は後ろで座ってご飯を食べながら見てもいいですし。海外のフェスでももう導入していますからね。

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