Zeebraなど出演で話題の都市型フェスCMはどう生まれた? 映像作家・山田智和インタビュー

映像作家、山田智和インタビュー

 都市型音楽フェス『RED BULL MUSIC FESTIVAL TOKYO 2018』(9月22日〜10月12日)のテレビCMが話題を集めている。「音楽って誰のものだっけ?」というZeebraの問いかけから始まり、このフェスの舞台である渋谷の街で、向井太一、RHYMESTER、ちゃんみな、やくしまるえつこなど17組のアーティストが音楽について語るこのCMを手がけたのは、映像作家の山田智和。米津玄師の「Lemon」のMVのほか、サカナクション、水曜日のカンパネラといったアーティストの映像作品を数多く手がけてきた山田氏に、新たな都市型フェスの提案と音楽シーンへのメッセージをライブ感のある映像で表現したこのCMについて聞いた。(森朋之)

フェスのCMを通して、いまの音楽シーンのおもしろさを伝える

Red Bull Music Festival Tokyo 2018

ーー都市型音楽フェス『RED BULL MUSIC FESTIVAL TOKYO 2018』のテレビCMが大きな注目を集めています。まず、山田さんがこのCMに関わることになった経緯を教えてもらえますか?

山田智和(以下、山田):『RED BULL MUSIC FESTIVAL TOKYO 2018』のキャンペーンを担当している電通の田辺さんから「フェスのティザー映像を作りたい」と呼んでもらったのが最初ですね。東京の街のなかで開催されるフェスなので、街と音楽が一体となるような映像を作りたいということだったんですが、その内容がすごくおもしろいと思ったし、こちらとしても「ぜひやらせてほしい」という感じでした。まず、フェスを都市で開催するということ自体に共感したんですよね。これは以前から感じていたことですが、フェスのあり方はもっと多様化していいと思うんです。地方には個性的なフェスもありますが、全体的に画一化されてきている印象があって。『RED BULL MUSIC FESTIVAL』の、都市と人と音楽を繋げるというコンセプトは今までになかったし、個人的にも賛同できたんですよね。このフェスのCMを通して、いまの音楽シーンのおもしろさを伝えられるかもしれないということも考えました。最近は才能のあるアーティスト、バンドがどんどん出て来ているし、ヒップホップも再燃している一方で「やっぱり大御所のアーティストはいいね」という再評価もある。この企画はいまのシーンで起きている現象とも重なっていると思ったし、自分自身の意識ともマッチしていたということですね。そもそもフェスのCM自体、ほとんどないですからね。

ーー確かに。しかも渋谷の街のなかでZeebraさん、向井太一さん、RHYMESTER、ちゃんみなさんなどのエッジの効いたアーティストが音楽について語るという、非常に刺激的な内容に仕上がっています。

山田:このCMのクリエイションは、クライアント、広告代理店、制作会社を含めた信頼関係があったから実現できたと思っています。根幹の企画、コピーがしっかりしていたから、自由にアイデアをつなげられたというか。渋谷の街でCMを撮ることも、普通だったら「リスクが高い」と言われがちだと思うんです。今回の場合は“三脚を立てられない”“通行する人を妨げないように撮る”などの制限がありましたが、「このCMは渋谷の街で撮るべき」という共通の認識が出来ていたので。それは目立つ映像を作るためではなくて、あくまでもフェスのコンセプトを伝えるためなんですけどね。山手線の電車の中や新宿のカラオケ館などで行われるフェスだからこそ、親和性のある映像を撮るためには、街のなかで撮影することが必要だったので。

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