サザンオールスターズ『海のOh,Yeah!!』は一家に1枚の作品に 老若男女に愛される桑田佳祐の魅力
参考:2018年8月13日付週間アルバムランキング(2018年7月30日~2018年8月5日・ORICON NEWS)
夏本番の今週のチャート。RYUJI IMAICHI(from 三代目 JSB)や赤西仁など初登場アーティストの健闘が目立ちますが、他を引き離して目立っているのはサザンオールスターズ。最新シングル「壮年JUMP」や大ヒットシングル「TSUNAMI」、「HOTEL PACIFIC」、さらには3曲の新曲も収録したベスト的企画盤『海のOh,Yeah!!』が初登場1位。初週で32.5万枚という数字、もはや格が違います。
改めて考えると、サザンのファン層ってなかなかイメージしにくいもの。桑田佳祐は“エッチなおじさん”キャラを積極的に押し出していますが、そのわりに音は下劣ではなく全然古くもない。同世代の同性に向けた音楽だとは到底思えません。というか、ちょっとしたセクハラ発言も“古い考えのダメジジイ”認定されて大炎上につながる昨今、ここまでおおっぴらに“エッチなおじさん”が許されているのは桑田佳祐くらいでしょう。本当に老若男女、全国民から愛される稀なシンガーだなと思います。
『海のOh,Yeah!!』は20年前に発売された20周年ベストアルバム『海のYeah!!』の続編で、1997年から2018年に発売された楽曲が収録されています。アルバムに収録された一番古い曲は「01MESSENGER〜電子狂の詩〜」ですが、このとき桑田佳祐は発売されたばかりのRadiohead『OK Computer』に激しく呼応し、インターネット社会を風刺するようにシングルを書き上げています。当時40代だった彼が、60歳になって〈EDMたぁ何だよ〉とユーモラスに歌い出すとはまったく想像できませんでしたが、本当にそうなったから言葉もない。この人は20年前から、いやデビューした40年前からずっと最新の洋楽を追い続け、それを日本語のポップスに翻訳してきたわけです。しかも必ず自分らしい遊び心を添えて。これってどう考えても奇跡的。