ASIAN KUNG-FU GENERATION、『BONES & YAMS』ツアーの音から感じた“揺るぎない自信”
「世の中、ストリーミングやサブスクリプションが普及して、音楽はますますリスナーのものになったと思う。だからこそ、わざわざ俺たちの音楽を聴いて、わざわざCDショップでCDを買って、わざわざ聴き込んで。わざわざチケットを買って、わざわざここまで足を運んでくれて、本当にありがとう」
後藤がそう感謝の言葉を口にすると、会場からは割れんばかりの拍手が巻き起こった。
クロマチックなギターリフが耳に引っかかる「架空生物のブルース」(2010年、6thフルアルバム『マジックディスク』収録曲)から後半戦へ。先日リリースされたベストアルバム『BEST HIT AKG 2 (2012-2018)』収録の新曲「生者のマーチ」は、ジョン・レノンを彷彿とさせる奇妙なコード進行や、メロトロンの使い方などに後藤のThe Beatles愛が炸裂したヘビーな楽曲。喜多のハーモニーも絶品だ。イントロが鳴り出した途端、怒涛の歓声が上がった人気曲「サイエンスフィクション」(2008年、2ndミニアルバム『未だ見ぬ明日に』表題曲)、自然とシンガロングが巻き起こった「ローリングストーン」(2014年、コンピレーション・アルバム『フィードバックファイル 2』収録曲)、ユーフォリックなエレクトロチューン「Re:Re:」(2016年、22thシングル『Re:Re:』表題曲)などを畳み掛け、最後は「ワールドワールドワールド」(2008年、4thフルアルバム『ワールド ワールド ワールド』表題曲)と「新しい世界」(2008年、4thフルアルバム『ワールド ワールド ワールド』収録曲)を繋げて本編を終了した。
アンコールでは再びニック・ムーンがステージに登場し、彼のボーカルにアジカンの演奏という豪華な編成でRadiohead「High and Dry」のカバーを披露。再び5人になり、神聖さを感じさせる名曲「マーチングバンド」(2011年、16thシングル『マーチングバンド』表題曲)を経て「今を生きて」(2013年、19thシングル『今を生きて』表題曲)で掛け合いコーラスをシンガロング、そして「転がる岩、君に朝が降る」(2008年、11thシングル『転がる岩、君に朝が降る』表題曲)でしっとりと幕を閉じた。
ライブの間、後藤は何度もオーディエンスに「自由に楽しんで!」と呼びかけていたが、メンバーもファンも思い入れのあるセットリストということもあって、この日のステージは終始和やかで親密な雰囲気に包まれていた。
(写真=Tetsuya Yamakawa)
■黒田隆憲
ライター、カメラマン、DJ。90年代後半にロックバンドCOKEBERRYでメジャー・デビュー。山下達郎の『サンデー・ソングブック』で紹介され話題に。ライターとしては、スタジオワークの経験を活かし、楽器や機材に精通した文章に定評がある。2013年には、世界で唯一の「マイ・ブラッディ・ヴァレンタイン公認カメラマン」として世界各地で撮影をおこなった。主な共著に『シューゲイザー・ディスクガイド』『ビートルズの遺伝子ディスクガイド』、著著に『プライベート・スタジオ作曲術』『マイ・ブラッディ・ヴァレンタインこそはすべて』『メロディがひらめくとき』など。
■セットリスト
『ASIAN KUNG-FU GENERATION Tour 2018「BONES & YAMS」』
7月11日(水)東京・新木場STUDIO COAST
1. Right Now
2. エントランス
3. 荒野を歩け
4. 白に染めろ
5. 極楽寺ハートブレイク
6. マイクロフォン
7. サイレン
8. 無限グライダー
9. 永遠に
10. ノーネーム
11. 未だ見ぬ明日に
12. 架空生物のブルース
13. 生者のマーチ
14. 夜を越えて
15. サイエンスフィクション
16. ローリングストーン
17. Re:Re:
18. スタンダード
19. ワールドワールドワールド
20. 新しい世界
En1. High & Dry
En2. マーチングバンド
En3. 今を生きて
En4. 転がる岩、君に朝が降る