福岡から世界へ、Attractionsが考える“アジアで通用するということ”

Attractions、“福岡から世界へ”

「欧米圏でアジアがホットなうちにやっておかないと」

ーー曲を作る時に心がけていることは。

TAKE:さっきTAROが言ったように、たとえばエレクトロっぽいのとか、ダンスミュージックとか、ロックな楽曲とか、アラブっぽいとか、いろいろやりたいんですけど、そこで普遍的なものはボーカルだと思うんです。そこはきちんと立たせる。そこがブレたらブレブレになると思うんで、そこは気をつけて作ってます。

ーーTAROさんのボーカリストとしての特徴はどんなところにあると思います?

TAKE:ソウルフルなところじゃないですかね。なんといっても。声と歌と。

ーーご自分ではどう捉えてます?

TARO:そうですね……僕はソウルやR&Bも好きなんですけど、自分はロック感のあるソウルが好きですね。ジャンル的にちょっと違うかもしれないですけど、ブルース・スプリングスティーン的な。

ーーへえ! 意外な名前が出てきましたね。

TARO:それもうちの母親が好きで。あとはKings of Leonとか。サザンロック的なものも好きだし。そこに化学反応として自分がいるというのはちゃんと認識して、自分ができることを考えてますね。いかに目立つ曲にするか、意識してます。

ーーバンドをスタートさせるにあたって、何か参考にしたバンドやアーティストはいますか、内外問わず。

TAKE:いや、それは特にないですね。最初にどういう感じのものをやるか話をしたんですけど、まとまるはずもなく(笑)。5人が5人それぞれに好みもやりたいこともあるし。とりあえず曲を作っていけば、どういう方向にいくか自然に決まっていくだろうと。たとえばUKロックにソウルを組み合わせるとか、そういう発想が先にあるんじゃなくて、とりあえずバーン! とやってみる。それが狙いではなく、結果的にそうなったという話ですね。

ーー福岡のシーンにも、同世代でいろいろ切磋琢磨してる人たちもいると思うんですが、自分たちが福岡のシーンの一員であるという自覚はありますか。

TAKE:そういうどこかのシーンに属してるという自覚は個人的にはなくて。むしろ自分たちが福岡の音楽シーンを引っ張っていきたいと思ってます。

TARO:そうだね。

ーーどこかに所属するんじゃなく、自分たちでシーンを作ってリードしていきたい。

TAKE:そうです。

ーー地元でやっていくことはこだわりがあるんですか。

TARO:そうですね。福岡めちゃくちゃ好きだし。自分たちの音楽ってカテゴライズできない。ハードコアだったりレゲエだったりヒップホップだったり、いろんなハコがあるんですけど、自分たちがどこのハコに所属するかって言ったら難しくて、けどそこにいる、それぞれのバンドたちの背中を見てやってきてたんです。自分たちみたいな、ひとつのジャンルにこだわらずに自由にいろんな音楽に挑戦するようなバンドが増えればいいと思うし、そういう場所が増えればいいと思ってます。

ーーなるほど。

TARO:あとやっぱ、福岡ってアジアから近いし。釜山とか飛行機で15分ぐらいでめちゃくちゃ近いんですよ。そういった意味ではアジアの玄関口として福岡って絶対アリだと思ってて。

ーー釜山のフェスティバルに前のバンドで出たんですよね。YouTubeで見ました。

TARO:あ、ご覧になったんですか。お恥ずかしい(笑)。

ーーいえいえ(笑)。あれはどういうきっかけで出ることになったんですか。

TARO:福岡に「スタジオスタッフ」っていうところがあって。

TAKE:めんたいロック世代の方がスタジオを経営されていて、韓国とかアジアと交流を持ってるんです。毎年お互いのフェスに呼び合ったりしてるんですけど、前身バンドの時に声をかけてもらって出ることになったんです。

ーーやってみてどうでした?

TARO:最高でしたよ! 自分ら無名なのに、1万人2万人ぐらいのお客さんがワーッと盛り上げてくれるんです。スーパースターみたいでメチャクチャ勘違いしますよ(笑)。

TAKE:その時のフェスティバルのテーマソングみたいなのに俺らが選ばれたというのもあって、認知されてたというのも大きかったと思います。

ーーなるほど、それはちょっと考え方も変わりますね。ともすればロックみたいな音楽をやってると英米ばかりに目が向きがちですけど。

TAKE:うん、その経験はけっこう大きいです。

ーーアジアのシーンの中で頑張っていこうという気持ちも。

TARO:自分はインドネシアと日本人のハーフなんです。11年間インドネシアにいて、そこから日本で17年ぐらい住んでるんですけど、日本に来て思ったのは、「日本がすごい鎖国だ」ってことですね。ほかのアジアの音楽や文化と触れあってない。でも自分がインドネシアにいた時は日本のアニメだったりアニメソングだったりJ-POPだったりに親しんでましたから。アジアのMTVのミュージックアワードみたいなのがあるんですけど、日本人はほとんど見てないし、そもそも放映されてないし、日本だけでアワードをやってる。すごく変な感じがしますね。日本もアジアのひとつなのに。

ーーそうですね。

TARO:僕は、今の自分たちの音楽で、日本代表としてアジアを回って、各国のかっこいいバンドを連れてきて福岡や東京を一緒に回って、お互い認知されるようになったらいいなと思うんです。

ーーこないだBTS(防弾少年団)がビルボードで1位になったでしょ。あれは刺激されませんか。

TARO:いやあ、すごく刺激されますよ。嬉しいですね。インドネシアからリッチ・チガ(現在はリッチ・ブライアンと改名)ってラッパーも出てきて、今アメリカでめちゃくちゃ流行ってるし、ジョージっていう元々日本にいたシンガーも今アメリカにいるんですけど、めちゃくちゃ人気あるし。今欧米圏でアジアがホットなうちに、自分たちもやっておかないと、という気持ちはあります。今のうちに波に乗りたいんで。

ーーじゃあこれからアジアを中心に海外でどんどんやっていこうというつもりはある。

TARO:もちろんです! それが当初からの目標なんで。自分は英語しか歌えないんですけど……まだ日本語の曲を歌ってなくて。日本語で歌ってたら海外では受け入れられにくいと勝手に思い込んでたんですけど、最近ちょっと考えが変わって。日本語も英語も織り交ぜながら、日本人であること、アジアの一員であることをメッセージとして残して、それを世界中に広めたらいいなと思ってるんです。

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