新しい地図、全面広告の青空に見出した“希望” 朝日広告賞受賞に寄せて
「あの日のことは一生忘れないと思います」
2017年9月22日、新聞を開くとそこには大きな青空が広がっていた。浮かび上がるのは、手書きのシンボルマークと“新しい地図”の文字。稲垣吾郎、草なぎ剛、香取慎吾が新たな出発を発表した広告が掲げられたのは、ファンが彼らへのメッセージを掲載してきた朝日新聞・東京新聞だった。SMAPというかけがえのない日々から新しい世界へ。その門出を淋しく思いながらも、3人が手を取り合って進む姿に少しホッとしたと同時に、まったく新しい何かが始まるのではないかという期待が膨らんだ朝だった。
そんな多くの人が胸を踊らせた広告が、第66回朝日広告賞「広告主参加の部」最高賞を受賞した。7月12日、東京・築地の浜離宮朝日ホールで開かれた贈呈式には、稲垣がサプライズで登場し、受賞スピーチを行なった。広告が掲載された日のことを「第一歩というか、新しいスタートになりました。そのときのことは僕ら3人も忘れませんし、応援してくださるNAKAMAのみなさんも、あの日のことは一生忘れないと思います」と語った。
改めて振り返ると、あの日から1年も経っていないことに驚く。「さあ、風通しよくいこう」と歩き始めた彼らの目の前には、インターネットという新たな遊び場が広がっていた。そして、そこは想像していたよりもずっと多くの人が手を差し伸べる優しい世界でもあった。インターネットテレビで72時間の生配信番組を成功させ、SNSを通じて彼らとファンとの距離は縮まり、またファン同士の繋がりも強くなった。『72時間ホンネテレビ』(AbemaTV)はギャラクシー賞 フロンティア賞にも輝き、業界にも大きなインパクトを残した。
各界のトップクリエイターとタッグを組んだオムニバス映画『クソ野郎と美しき世界』は、マスコミによる試写を行なわないという異例のスピード感で公開までこぎつけたが、ファンたちの拡散活動によって約28万人を動員。7月6日からはAmazonプライム・ビデオで独占配信をスタートさせた。また、パラサポのスペシャルサポーターとしてチャリティソング『雨あがりのステップ』を配信リリースし、売上金2300万円超を全額寄付……など3人の取り組みは、日々多くの人の心を動かし、新しい風となって世の中に吹き抜ける。そんな彼らを見ていると、勇気が湧いてくる。私たちは、いつだって新しい地図を広げていくことができるのだ、と。