DA PUMP「U.S.A.」に似ている曲はどれ? ユーロビート系ハロプロ楽曲をチェック

トランス系

 日本でトランスブームが起こったのは2000年代初頭のことだったが、同時代の流行サウンドを取り入れた形の楽曲がいくつかある。志村けんとミニモニ。の共演企画曲「アイ〜ン! ダンスの唄」は、歌詞に〈HEY! カモン ドンストッ さあ トランス アイ〜ン!〉という一節がある。松浦亜弥「GOOD BYE 夏男」も同傾向のサウンド。

 オリジナル曲ではないケースだが、前述の「Say Yeah! -もっとミラクルナイト-」は、モーニング娘。さくら組/おとめ組のシングルカップリング曲にてセルフカバーされており、トランス寄りのリアレンジが施されている。また、2002年の企画アルバム『CLUB Hello! TRANCE REMIX』では、モーニング娘。「LOVEマシーン」やミニモニ。「ミニモニ。ジャンケンぴょん!」などの人気曲15曲がトランスアレンジでリミックスされたこともあった。

バカ殿様とミニモニ姫。「アイ〜ン! ダンスの唄」(編曲:鈴木Daichi秀行|収録:バカ殿様とミニモニ姫。『アイ〜ン体操 / アイ〜ン! ダンスの唄』|2002)

松浦亜弥「GOOD BYE 夏男」(編曲:鈴木Daichi秀行|収録:同|2003)

モーニング娘。さくら組「Say Yeah! -もっとミラクルナイト- (モーニング娘。さくら組 Version)」(編曲:守尾崇|収録:モーニング娘。さくら組『さくら満開』|2004)

モーニング娘。おとめ組「Say Yeah! -もっとミラクルナイト- (モーニング娘。おとめ組 Version)」(編曲:守尾崇|収録:モーニング娘。おとめ組『友情 〜心のブスにはならねぇ!〜』|2004)

パラパラ系

 先に述べたように「パラパラ」という用語自体は音楽ジャンルではなくダンスの様式だが、ハロプロ楽曲の振り付けでパラパラの要素が強いものがいくつかあるので、こちらにまとめた。Berryz工房「なんちゅう恋をやってるぅ YOU KNOW?」は、サウンド自体はトランス風味が強いが、振り付けは明らかにパラパラを意識したものだろう。

 モーニング娘。「SEXY BOY 〜そよ風に寄り添って〜」は、ユーロビートにおけるシンセリフをギターに変換したかのような風変わりなサウンド。なお、この曲のシングルCDには振り付けの一部をイラスト付きで解説し〈ちまたで超うわさで〜す!! おどってねっ〉と記載されたチラシが封入されていた。他にも娘。ではアルバム曲「OK YEAH!」もパラパラ色が強かった。そしてスマイレージ「有頂天LOVE」は、パラパラ的な振り付けもさることながら、ユーロビートをアイドルポップスとして昇華させる際の最適解と言いたくなるほどの傑作曲だ。

 厳密にはハロプロ外だが、ぜひ紹介しておきたいのがギャルル「Boom Boom めっちゃマッチョ!」およびカップリング曲の「女のウルトラ」。ギャル社長として有名だった藤田志穂プロデュースのユニットで、楽曲プロデュースがつんく♂、メンバーはギャル曽根・時東ぁみ・安倍麻美の3人。ギャルをテーマとした企画シングルで、サウンドは王道ユーロビートの楽しいものだった。

Berryz工房「なんちゅう恋をやってるぅ YOU KNOW?」 (MV)

Berryz工房「なんちゅう恋をやってるぅ YOU KNOW?」(編曲:平田祥一郎|収録:同|2005)

モーニング娘。 『SEXY BOY ~そよ風に寄り添って~』 (MV)

モーニング娘。「SEXY BOY 〜そよ風に寄り添って〜」(編曲:高橋諭一|収録:同|2006)

ハロプロ研修生MV初公開!モー娘。武道館、J=J新曲Dance Shot・対談 MC:高木紗友希【ハロ!ステ#44】

モーニング娘。「OK YEAH!」(編曲:大久保薫|収録:モーニング娘。『12,スマート』|2011)

スマイレージ 『有頂天LOVE』 (MV)

スマイレージ「有頂天LOVE」(編曲:大久保薫|収録:同|2011)

ギャルル「Boom Boom めっちゃマッチョ!」(編曲:鈴木Daichi秀行|収録:同|2007)

ギャルル「女のウルトラ」(編曲:田中直|収録:ギャルル『Boom Boom めっちゃマッチョ!』|2007)

ユーロビート関連系

 この他、ユーロビート要素が認められるものの、上記の楽曲群と並べるには若干異なるのでは……と思える微妙なものが多数あるので、ここでは曲名を列挙するのみにとどめておく。モーニング娘。「電車の二人」「元気+」「シャニムニ パラダイス」、後藤真希「来来!「幸福」」、プッチモニ「BABY! 恋にKNOCK OUT!」、W「デコボコセブンティーン」、Berryz工房「BERRY FIELDS」「抱きしめて 抱きしめて」「すっちゃかめっちゃか〜」「コイセヨ!」等々……。

 また、シングル表題曲でありがちな、いわゆるダンスチューンと呼ばれるようなタイプの楽曲は、打ち込みのリズムという意味では多かれ少なかれユーロビートと隣接している。℃-ute「都会っ子 純情」や「Kiss me 愛してる」以降のシングル群、スマイレージ「夢見る 15歳」や「好きよ、純情反抗期。」以降のアンジュルム改名前までのシングル群において特に多く見られる。これらもユーロビートと捉えると一気に数が増えてしまうので、本記事では別枠にしておく。つんく♂作曲以外では、℃-ute「The Middle Management 〜女性中間管理職〜」、つばきファクトリー「低温火傷」などもこれらの部類に入るだろう。

 というわけでユーロビート系ハロプロ楽曲を一通り見てきた。DA PUMP「U.S.A.」に似ている楽曲は、特にこれ一曲と絞るのはなかなか難しい。「ユーロビートサウンド」、「シュールな歌詞」、「キャッチーな振り付け」の3要素のうち、前2つを満たしているものは多数あるが、3つすべてを兼ね揃えているものは意外と少ないのだ。そういう意味ではカントリー娘。に紺野と藤本 (モーニング娘。)「浮気なハニーパイ」が一番近いのかもしれないが、サウンド的にはもうちょっとクール寄りなもの、美勇伝「FANTASY」かメロン記念日「かわいい彼」が近いだろう。正解は、本記事で挙げた楽曲たちを聴いてアレコレ楽しみつつ、あなたに考えてもらいたい。

■ピロスエ
編集およびライター業。企画・編集・選盤した書籍「アイドル楽曲ディスクガイド」(アスペクト)発売中。ファンイベント「ハロプロ楽曲大賞」「アイドル楽曲大賞」も主催。
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