兵庫慎司の「ロックの余談Z」 第21回

Theピーズの日本武道館から1年 休止状態にしびれを切らせ、「一人ピーズ」を観に行ってきた

 Theピーズの日本武道館から丸1年が経ちました。

 Theピーズのファンではない方のために、補足しておきますね。

 Theピーズが結成30周年の記念日に行い、満員御礼になって大成功を収めた、2017年6月9日の初の日本武道館ワンマンから、丸1年が経った、ということです。

 長いレポのようなものをリアルサウンドに書かせていただいた、あの日本武道館です。レポはこちら。

 で。Theピーズのファンではない方のために、もうひとつ補足しておきますね。

 つまり。バンドとしてのTheピーズは、その日を最後に丸1年間、一切活動をしていない、ということだ。

 上に貼った1年前のテキストにも、本人の発言を入れつつ書いたが、はること大木温之は、日本武道館が終わったらしばらく活動を休むと、前もって宣言していた。

『Theピーズ30周年日本武道館』

 曰く、50歳をとうに越えて、耳の問題や歌の音程の問題などのフィジカルな面で、勢いまかせ、青春まかせで爆音を出して、3人で合わせてぴったりいったら気持ちいいね、という今のやりかたでは、この先もうライブをやっていけない、と。もっと音量を絞って、3人のアンサンブルなどを考えて演奏していく方向に変えないといけない、と。

 でも当然、そんなの「じゃあ明日からそうしましょう」ってことにはならない。それぞれの演奏の仕方、音の合わせ方から変えなければ無理だろうし、30年「青春まかせ」でやって来たバンドが……あ、4年半休止してたから実際は26年くらいだけど、とにかく、そのように大きくライブのやり方を変えることが、簡単なわけはない。準備期間が必要だろうし、手間もかかるだろう。

 それには、「×カ月間、ライブの予定入れません」とかじゃなくて、「目処がつくまで一切ライブの予定を白紙にします」くらいの覚悟が必要なのもわかる。で、それをするには、日本武道館というのはとてもいい区切りであったことも、わかる。

 というわけで、2017年6月9日で、バンドとしてのTheピーズはいったん止まった。はるは、それまでも行っていたように、アコースティックギター弾き語りの「一人ピーズ」と、TOMOVSKYのサポートベーシストとしてライブを続行しているし、シンちゃんこと佐藤シンイチロウは本業のthe pillowsの活動がある。なので、「止まりました」「いなくなりました」というイメージを、僕もそんなに持っていなかったのだが。

 1年はさすがにストップしすぎじゃないか? 音源出せとまでは言わないけど、ぼちぼちライブやってもいいんじゃないか? というか、そもそも今本当に、ちゃんと「準備期間」になってます? 単に「止まってる」だけになってません?

 Theピーズが止まると同時に我々の眼の前から消えた、ギターのアビさんこと安孫子義一は、本職は(はる曰く)「セメント屋さん」である。現在の東京(かどうか知らないけど東京かその近郊でしょう)でセメント屋さんである、というのはどういうことか。忙しいでしょ、普通に考えたら。東京オリンピックの影響下にあるあれやこれやに、アビさんの会社がまったく関わっていない、と考える方が不自然でしょう。

 というような事情もあったりなんかして、バンドとしてのTheピーズの再始動、なんとなく先送りにしてませんか? はるさん。

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