山崎育三郎、“歌手”として踏み出した新たな一歩 初の作詞曲からアーティストとしての進化を読む

山崎育三郎、アーティストとしての進化

 山崎育三郎が今夜の『ミュージックステーション』(テレビ朝日系)に出演する。披露するのは、東京・帝国劇場にて5月26日より絶賛公演中のミュージカル『モーツァルト!』より、「愛していれば分かり合える」。2010年、2014年に続いて今回で3度目となるヴォルフガング・モーツァルト役を演じる山崎が、妻コンスタンツェ役を演じる生田絵梨花(乃木坂46)と共に歌い上げる。

 幼くして音楽の才能を開花させ激動の人生を歩んだ天才モーツァルトと、12歳でミュージカル初主演を経験して以来音楽の道をひた走る山崎は親和性が高い。1998年でミュージカルの主演を務めた山崎は、2001年から音楽大学附属高校で声楽を学び、2002年にはアメリカへ留学。全米高校生クラシック声楽コンクールの州大会にて上位入賞するなど、華々しいキャリアを誇る。

 気づけば、今年で芸歴20周年。現在ではミュージカルにとどまらず、積極的に活動の場を広げている。2017年のテレビドラマを振り返っても、『突然ですが、明日結婚します』(フジテレビ系)、『あなたのことはそれほど』(TBS系)、『宮沢賢治の食卓』(WOWOW)、『あいの結婚相談所』(テレビ朝日系)、『オーファン・ブラック~七つの遺伝子~』(フジテレビ系)と、目覚ましい活躍ぶりだ。ディズニー実写映画『美女と野獣』の野獣役の日本語吹替版声優を務めたことも記憶に新しい。

 そんな山崎が、さらなる進化を遂げている。それが歌手・山崎育三郎としてのアーティスト活動だ。6月6日には、ニューシングル『Keep in touch』をリリースした。今年、初のライブツアー『山崎育三郎 LIVE TOUR 2018 ~keep in touch~』を経験した山崎が、ファンへの想いを綴った初の作詞楽曲だという。同時に、そのライブツアーの模様を収録したBlu-ray・DVDも発売しており、山崎が歌手としての新たな一歩を踏み出した瞬間を共有することができる。

 ライブでは、伸びやかな歌声を堪能できることはもちろん、ラジオ『山崎育三郎のI AM 1936』(ニッポン放送)でもおなじみとなったピアノでの弾き語りも惜しみなく披露。立ち姿やターンも美しく、MCとなればしっかり観客を巻き込み笑いを取っていく。

 「全力の男なので」という発言通り、山崎はすべてのパフォーマンスに一切の妥協がない。常に昨日を超えていく気持ちで、日々を過ごしているのだろう。そのマインドが、彼の可能性を広げ続けているのだと納得した。そして特典映像のインタビューで、踊ること、演じること、しゃべることの中で、歌うことが一番好きだと語ったように、歌うことが好きで好きで仕方がないといった様子が伝わってくる。その“好き”のエネルギーが伝播して、会場にいる観客を笑顔にしていくのだ。

 初のツアー、そして今回リリースしたシングルのタイトル“Keep in touch”とは、山崎にとってアメリカ留学していたとき、別れ際に投げかけられた特別な言葉だという。「繋がっていようね」「またすぐ会おうね」そんな意味が込められている“Keep in touch”。ライブ映像作品に納められたドキュメンタリーでは、ライブ前後にはスタッフの手を握り、肩を組み、士気を高める山崎の姿も印象的だった。ファンや仲間との絆を確かめ、これからも繋がっていこうという想いを込めて、歌手としてのスタート地点に大事なこの言葉を掲げたのだろう。

 「Keep in touch」のMVでは、ピアノを弾く山崎を若者たちが囲んで歌うシーンがある。<ひとりじゃない そう気付かせてくれた>その音の重なりは、ライブツアーでステージから見えた客席のペンライトの海のように、山崎を包み込んでいく。そして、いつしか場所は彼を育てた帝国劇場に。「昔からの思い出から現在まで全部が繋がる楽曲なので、帝国劇場にも協力いただいて撮影が実現できて夢が叶いました」と山崎たっての願いだったという。

 これまで多くの作品を通じて、様々な人生を演じてきた山崎。もしかしたら私たちは、歌手・山崎育三郎を通じて、彼自身のライフストーリーをリアルタイムで観劇しているのかもしれない。持って生まれた才能と、その力を存分に発揮していく不屈の精神と、その想いに突き動かされる仲間やファン……誰もが進化を続ける彼の物語を盛り上げる役を担うことができる。今夜は、山崎がモーツァルトとして歌う姿をテレビで見守る役に徹しよう。山崎育三郎に注目することで、何気ない日常がよりドラマチックになりそうだ。

山崎育三郎「Keep in touch」Music Video short ver.

(文=佐藤結衣)

■リリース情報
『Keep in touch』
発売:2018年6月6日(水)
初回盤(CD+DVD)¥1,713(税抜)
通常盤(CD)¥1,204(税抜)
・CD収録内容(初回盤・通常盤 共通)
 1.Keep in touch
 2.Wonderland
 3.Keep in touch[Instrumental]
 4.Wonderland[Instrumental]
・DVD収録内容(初回盤のみ)
 Keep in touch Music Video+Making Video

■ライブ情報
『ニューシングル「Keep in touch」発売記念リリースイベント』
6月10日(日)大崎・大崎ゲートシティ アトリウム(地下1階)
詳細はこちら ※終了分は割愛

『ニッポン放送「山崎育三郎のI AM 1936」 presents 「THIS IS IKU」』
日時:2018年10月13日(土) 
開場 16:00 / 開演 17:00
会場:東京国際フォーラム ホールA
出演者:山崎育三郎/ゲスト Toshl(X JAPAN)
特設サイト

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