宇多田ヒカル、“恋の始まり”をどう表現? 『花男』シリーズ「Flavor Of Life」「初恋」聴き比べ

 クライマックスに向け、さらなる盛り上がりを見せているTBS系火曜ドラマ『花のち晴れ〜花男 Next Season〜』。King & Princeの平野紫耀と杉咲花が主演を務める『花晴れ』は、嵐の松本潤×井上真央による『花より男子』(2005年)、『花より男子2(リターンズ)』(2007年)と続いてきた『花男』シリーズの新章として、高い評判を呼んでいる。

 主人公である神楽木晴と江戸川音はもちろん、王道の学園モノドラマにふさわしく、主人公を取り囲む強烈かつ魅力的なキャラクターが多数登場。そして、恋のライバルから友達、家族、学校全体を巻き込んで進んでいくストーリーは、スリリングでありながら、セオリー通りにはいかない新鮮さと面白さに富んでいる。

 人気の理由のひとつとして、『花男』過去シリーズへの繋がりを感じる演出が多数見られることもあるだろう。道明寺司や花沢類の登場をはじめ、セット、ロケ地、カメラワーク、台詞など、細かいところにも『花男』を彷彿とさせるシーンがいくつもある。

 そして、音楽面においても、『花より男子2(リターンズ)』に続き、宇多田ヒカルがイメージソング(挿入歌)を担当し、劇中をドラマチックに彩っている。

宇多田ヒカル - Flavor Of Life -Ballad Version-

 『花より男子2(リターンズ)』で使用されたのは、「Flavor Of Life -Ballad Version-」(2007年)。発表当時、800万以上のダウンロード数を稼ぎ、当時の世界記録を樹立するなど大ヒットを記録したこの曲。ドラマ内でも、各話のエンディング間際、次の展開につながる重要なシーンで使用されていた。バラードナンバーである「Flavor Of Life」を聞くと、今でも『花男』の名シーンの数々が蘇る。

 松本潤演じる道明寺司と、井上真央演じる牧野つくし。啀み合いながらも互いの内面的な良さに気づき、二人は少しずつ歩み寄り、惹かれていく。「Flavor Of Life」では、<友達でも恋人でもない中間地点で 収穫の日を夢見てる 青いフルーツ>と、そのみずみずしい関係性が歌われている。また<「愛してるよ」よりも 「大好き」の方が 君らしいんじゃない?>というのは、司の不器用で子供っぽく、格好つけきれない人となり、そして、そんな司を受け入れるつくしの愛情が示唆されているようにも思う。

宇多田ヒカル 『初恋』(Short Version)

 一方、今回の『花晴れ』に使用されているのは「初恋」。とてつもなくストレートなタイトルが強い印象を残す。筆者がこの「初恋」というタイトルを聞いてまず思い出したのは、同じく“初恋”の意味をもつ「First Love」(1999年)だった。「First Love」がひとつの恋の終わりを歌った曲であったのに対し、「初恋」は、“恋を知る”瞬間が描かれている。

 『花晴れ』の晴や音、そしてその他の登場人物は、自身に芽生えた感情=“初恋”に戸惑い、傷つけ傷つき、それでも離れられずに次第に理解しあっていく。<もしもあなたに出会わずにいたら 私はただ生きていたかもしれない 生まれてきた意味も知らずに>。<狂おしく高鳴る胸が 優しく肩を打つ雨が今 こらえても溢れる涙が 私に知らせる これが初恋と>。そんな核心をつくような強いフレーズが並ぶ「初恋」は、この人だというたったひとりの人と出会った時の衝撃とかけがえのなさ、そして恋を知って未知の世界へと踏み出す喜びや怯えを映し出している。

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