SPANK HAPPY、小田朋美を迎え再結成! 菊地成孔主宰『GREAT HOLIDAY』レポート

菊地成孔主宰『GREAT HOLIDAY』レポ

 ここからイベントは終盤へ。まずは、シンガーソングライター青羊(あめ)のソロプロジェクト、けもの。洗練されたシティポップ系ナンバー「第六感コンピューター」から始まり、80’sテクノポップ風の「Fish京子ちゃんのテーマ めたもVer.」では、ものんくるの吉田沙良が登場し、貴重なコラボレーションが実現した。現在のけものはロックモードらしく(青羊は“NERD ROCK”と描かれたグッズのTシャツを着用)、披露された新曲はいずれもノー・ウェーブ、ポストロックをベースにしたエッジーでクールなロックナンバー。2ndアルバム『めたもるシティ』の近未来的ポップ感、鋭利なロックに向かいつつある新たなモードの両方を体感できる、きわめて刺激的なステージだった。

けもの
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JAZZ DOMMUNISTERS
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JAZZ DOMMUNISTERS
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 菊地、大谷能生によるJAZZ DOMMUNISTERSの即興的DJプレイでフロアを盛り上げた後、菊地はそのままメインステージに移動し、DC/PRGのライブが始まる。バンドの原点とも言える「Circle/Line」が演奏されると同時に、観客が一斉に身体を揺らし始める。さらに「Playmate at Hanoi」「構造 I」などの代表曲が惜しげもなく披露され、フロアの熱気は頂点に達した。エレクトリック・マイルスを中心に置き、ファンク、アフロ=ポリリズムを融合した音楽性により、20世紀の終わりから10年代にかけてクラウドを熱狂の渦に巻き込んできたDC/PRG。バンドを初期から支える坪口昌恭(Key)、大義見元(Per)、津上研太(Sax)、そして、2010年以降に参加した千住宗臣(Dr)、秋元修(Dr)、大村孝佳(Gt)、近藤佑太(Ba)、高井汐人(Sax)、類家心平(Tp)、小田朋美(Key)のリレーションシップもさらに充実し、バンドのコンディションは過去最高と言っても過言ではない。

 ライブ終盤、菊地はフロアに向かって“TABOO LABEL誕生以前の、エピソード01”として、こんな話をした。2011年に名門レーベル<impulse!>と契約し、オリジナルアルバム(『SECOND REPORT FROM IRON MOUNTAIN USA』)のリリースの際、ヒップホップアーティストとのコラボレーションを提案。レーベルからはアメリカのビッグアーティストを推薦されたが、菊地はこれを断り、当時はまったく無名だったSIMI LABをフックアップした。「あのときレーベルの言うことを聞いてたらと思うと、ゾッとするよ」という言葉とともにステージに呼び込まれたのは、SIMI LABのリーダー、OMSB。ラストの「Mirror Balls」が華やかに奏でられるなか、OMSBは冒頭からエンディング直前に至るまで強靭なラップを披露。ジャズ、ファンク、ヒップホップが肉体的に絡み合う圧巻のパフォーマンスによってイベントは幕を閉じた。

■森朋之
音楽ライター。J-POPを中心に幅広いジャンルでインタビュー、執筆を行っている。主な寄稿先に『Real Sound』『音楽ナタリー』『オリコン』『Mikiki』など。

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