森朋之の「本日、フラゲ日!」vol.97
LiSA、CHAI、のん、ポルカ、バンもん!…唯一無二の個性を示す女性アーティストの新作
一発で耳に残るギターリフ、高速のビートと意外性に富んだ展開、超キャッチーなメロディライン、深読みを誘う歌詞などを巧みに融合させた音楽性によって現在のバンドシーンに完璧にアジャスト、加速度的に支持を高め続けているポルカドットスティングレイの2ndミニアルバム『一大事』。「ICHIDAIJI」(映画&MBS・TBSドラマ『わたしに××しなさい』主題歌)をリードトラックに据えた本作は、このバンドの特性をさらにブラッシュアップした、バンドキッズだったら反応せざるを得ない作品に仕上がっている。正確なマーケティングに則ったプロダクションはほとんど完璧だが、雫(Vo / Gt)が予測を超えるような事象を生み出せるかどうかが今後の飛躍の鍵になってくるだろう。
HISASHI(GLAY)のプロデュースによるバンドじゃないもん!の両A面シングル『BORN TO BE IDOL/恋する完全犯罪』。「BORN TO BE IDOL」はポップに振り切ったメロディ、エレクトロ〜ギターロック〜ヒップホップなど情報量多めのサウンドメイクを両輪にした、バンもん本来の原色キラキラ感をたっぷり反映したアイドルポップ。そして「恋する完全犯罪」は、爆発的なギラつきを感じさせるロックサウンドとファンタジック&ミステリアスな歌詞世界がひとつになったアッパーチューンだ。バンもんの“らしさ”と“新しさ”を刺激的なバランスで提示したシングルと言えるだろう。ロックとアイドル、ネットとリアルが重層的に連なる音楽シーンを熟知した、HISASHIのプロデュースワークは流石のひと言。
■森朋之
音楽ライター。J-POPを中心に幅広いジャンルでインタビュー、執筆を行っている。主な寄稿先に『Real Sound』『音楽ナタリー』『オリコン』『Mikiki』など。