『NGT48 単独コンサート~朱鷺は来た!新潟から全国へ!~』&『北原里英卒業コンサート~夢の1115日 新潟の女になりました!~』レポート

NGT48はまた、春を一つ越えて強くなっていく 地元初単独公演&北原卒コンを振り返る

 そんな初日公演の余韻を残しながら始まった2日目『北原里英卒業コンサート~夢の1115日 新潟の女になりました!~』。AKB48・4期生以降のメンバーで大々的に卒業コンサートが行われたのは、北原が初めてだという。この日の公演は、北原とスタッフの間でセットリストや演出を組み上げたそうだが、そんな彼女の“特別さ”がひしひしと伝わってくるコンサートだった。

 ライブは北原がAKB48のメンバーとして、初のシングル表題曲選抜入りを経験した「大声ダイヤモンド」に始まり、彼女のヒストリーに焦点を当てたパートでは、研究生としてチームB・渡辺麻友のアンダーだった活動初期に出会った「パジャマドライブ」、チームA時代の楽曲である「ツンデレ!」と「愛のストリッパー」、横山チームK時代の「彼女になれますか?」と、劇場公演曲を次々に披露。「パジャマドライブ」公演は、北原にとっても“はじまりのステージ”であり、NGT48・チームNIIIの2nd公演でもある。そんな楽曲を、北原に憧れてオーディションを受けた本間と、北原が指名した荻野とともに歌い上げたり、「ツンデレ!」では日下部愛菜と清司麗菜がアクロバットダンスを考案したりと、後輩メンバーを立たせることも忘れない。こういった部分にも、北原の持つ人柄が出ているような気がしてならない。

 その後も、時間を遡るように、Not yetの「西瓜BABY」を太野彩香、村雲颯香、山田野絵とともに歌い上げたり、SKE48兼任時代の「強がり時計」が、その後にNGT48移籍前・AKB48メンバーとしてラストとなった公演の楽曲「RESET」が披露され、NGT48として初めて与えられた楽曲である「Maxとき315号」へと繋がる感動的なセットリストが、ステージの上で組み立てられていく。

 かと思えば、大家志津香と宮崎美穂が登場し、北原とのエアーバンド“kissの天ぷら”の楽曲「僕たちの地球」をパフォーマンスしたり、横山由依、峯岸みなみ、向井地美音、高橋朱里、小嶋真子、中西智代梨、阿部マリアが登場し「夕陽を見ているか?」を、指原莉乃が現れて「禁じられた2人」を歌ったりと、AKB48として過ごしてきた歴史にも輝かしいスポットライトが当てられる。この日は大家の家族や指原の母も観覧に訪れていたそうで、改めて大家・指原・横山ら“地方組”の絆の深さを思い知らされた。

 後半では、かつて「AKB48の自分の衣装の中で1番すき」と語っていた「恋のお縄」や、チームPB(センター・柏木由紀) vs. チームYJ(センター・北原里英)として“神保町決戦”を繰り広げた「遠距離ポスター」「Choose me!」が当時の衣装でパフォーマンスされたり、「AKB48で1番すきな曲」と各所で話していた「Dear my teacher」を歌うなど、またまたファンにはたまらないプレミアムな演出が続く。

 そんなコンサートの本編を締めくくったのは、「世界はどこまで青空なのか?」「春はどこから来るのか?」「青春時計」と、北原がNGT48のメンバーとして積み重ねてきたシングルの楽曲たち。「青春時計」のラストでは、メンバーがサプライズで北原へ抱きつき、メンバーとともに涙をみせる。

 アンコールでは、メンバーの手書きメッセージがスクリーンに映し出されたあと、いよいよ迫る卒業の時を象徴する、真紅のドレス姿で北原が登場。自身の卒業曲「私のために」を力強く歌い上げ、間奏部分では「決して楽しいことばかりではなかった10年間、私を救ってくれたのは新潟県です」と、感謝を述べ、壮行会でも歌われた「草原の奇跡」から、「Maxとき315号」へ。悲しさも寂しさも、すべてを美しくエモーショナルに運んでいくこの曲とともに、北原はトロッコに乗り、会場を去っていった。はずだった。

 そんな鮮やかな幕引きにならないのもまた、彼女らしいといっていいだろう。トロッコは長きに渡る移動を経て、NGT48がお披露目ライブに使用した船・べアトリス号の側に到着。ゆるやかに出航するまでの模様がモニターに映し出されていたのは、なんともシュールな光景だった。

 ここで公演は終了、と思いきや、「このままじゃ終われませんよねー!?」と本間日陽が叫び、再び「春はどこから来るのか?」へ。北原のいない寂しさを振り払うかのように、グループはしっかりと現在地と次の可能性を最後に提示し、2日間の幕を閉じた。

 この2日間を改めて思い返すと、1日目の始まりと2日目の終わりには「春はどこから来るのか?」がそれぞれ披露されていたことに気づいた。もちろん最新シングル曲だからということでもあるだろう。しかし、この間に詰まっていた出来事を経て、2日目の最後には楽曲もNGT48も数段成長していたのが、誰の目にも明らかだった。NGT48はこうしてまた、春を一つ越えて強くなっていくのだ。

(取材・文=中村拓海)

■セットリスト
『NGT48 単独コンサート~朱鷺は来た!新潟から全国へ!~』@新潟県 朱鷺メッセ・新潟コンベンションセンター
0. overture
1. 春はどこから来るのか?
2. 誇りの丘
3. みどりと森の運動公園
4. ナニカガイル
5. てもでもの涙(荻野由佳&西潟茉莉奈)
6. 青くさいロック(小熊倫実&中井りか&村雲颯香&山田野絵&中村歩加)
7. Blue rose(北原里英&菅原りこ&長谷川玲奈&西村菜那子)
8. 赤いピンヒールとプロフェッサー(荻野由佳&加藤美南&山田野絵)
9. パレオはエメラルド(北原里英&菅原りこ&太野彩香&西潟茉莉奈&山口真帆&髙橋真生&中村歩加)
10. Glory days(長谷川玲奈&本間日陽&奈良未遥)
11. 制服のマネキン(佐藤杏樹&高倉萌香&角ゆりあ&日下部愛菜&清司麗菜)
12. RIVER
13. NGT48
14. 下の名で呼べたのは…(NGT48研究生)
15. 友達でいましょう(チームNIII)
16. 反省ソーダ(荻野由佳&中井りか&長谷川玲奈&山田野絵&高橋真生&中村歩加)
17. あとで(加藤美南&菅原りこ&高倉萌香&奈良未遥)
18. Whatcha Gonna Do(太野彩香&西潟茉莉奈&村雲颯香&山口真帆&西村菜那子)
19. 青春のラップタイム
20. 片想いFinally
21. 思い出せてよかった
22. 10年桜
23. 桜、みんなで食べた
24. 青春時計
25. 春はどこから来るのか?
En1. Maxとき315号
En2. 君のことが好きだから
En3. チームNGT推し
En4. 世界はどこまで青空なのか?

『北原里英卒業コンサート~夢の1115日 新潟の女になりました!~』@新潟県 朱鷺メッセ・新潟コンベンションセンター
0. overture
1. 大声ダイヤモンド
2. 言い訳Maybe
3. みどりと森の運動公園
4. フライングゲット
5. パジャマドライブ(北原里英&荻野由佳&本間日陽)
6. ツンデレ!(北原里英&日下部愛菜&清司麗菜)
7. 愛のストリッパー(北原里英&柏木由紀&加藤美南&菅原りこ&中井りか&西潟茉莉奈&長谷川玲奈&山口真帆&西潟茉莉奈
8. 彼女になれますか?(北原里英&荻野由佳&小熊倫実&佐藤杏樹&高倉萌香&本間日陽&角ゆりあ&高橋真生&中村歩加&奈良未遥
9. 西瓜BABY(北原里英&太野彩香&村雲颯香&山田野絵
10. 強がり時計(北原里英&荻野由佳&村雲颯香&加藤美南&佐藤杏樹&菅原りこ&高倉萌香&中井りか&西潟茉莉奈&長谷川玲奈&本間日陽&山口真帆&角ゆりあ&日下部愛菜&清司麗菜&高橋真生&中村歩加&奈良未遥&西村菜那子
11. RESET(北原里英&荻野由佳&村雲颯香&加藤美南&佐藤杏樹&菅原りこ&高倉萌香&中井りか&西潟茉莉奈&長谷川玲奈&本間日陽&山口真帆&角ゆりあ&日下部愛菜&清司麗菜&高橋真生&中村歩加&奈良未遥&西村菜那子
12. Maxとき315号
13. 僕たちの地球(北原里英&大家志津香&宮崎美穂
14. 夕陽を見ているか?(北原里英&横山由依&峯岸みなみ&向井地美音&高橋朱里&小嶋真子&中西智代梨&阿部マリア
15. 禁じられた2人(北原里英&指原莉乃
16. ヘビーローテーション(北原里英&指原莉乃&大家志津香&宮崎美穂&横山由依&峯岸みなみ&向井地美音&高橋朱里&小嶋真子&中西智代梨&阿部マリア
17. 恋のお縄
18. 絶滅黒髪少女(北原里英&高倉萌香&本間日陽&村雲颯香&山田野絵&日下部愛菜&高橋真生&奈良未遥&西村菜那子
19. ハート型ウイルス(北原里英&加藤美南&中井りか
20. 遠距離ポスター(小熊倫実&柏木由紀&佐藤杏樹&菅原りこ&長谷川玲奈&角ゆりあ&中村歩加
21. Choose me!(北原里英&高倉萌香&西潟茉莉奈&山口真帆&高橋真生&奈良未遥&西村菜那子
22. Dear my teacher
23. 世界はどこまで青空なのか?
24. 春はどこから来るのか?
25. 青春時計
En1. 私のために(北原里英ソロ)
En2. 草原の奇跡
En3. Maxとき315号
En4. 春はどこから来るのか?

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