あいみょん「君はロックを聴かない」が表す“青春と音楽” シンガーソングライターとしての幅広い魅力

 シンガーソングライターのあいみょんが、本日2月16日に『ミュージックステーション』(テレビ朝日系)に初出演し、「君はロックを聴かない」を披露する。

あいみょん『青春のエキサイトメント』

 1月21日放送の『関ジャム 完全燃SHOW』(テレビ朝日系)にて、「売れっ子音楽Pが選ぶ2017年のベストソングランキング10」という特集が放送された。スタジオにはいしわたり淳治と蔦谷好位置が登場。音楽プロデューサーの2人が、独自の目線でメジャー/インディーズ、国内外問わず、その年に発表された楽曲の中から素晴らしいと思った10曲をそれぞれ選出するという企画で、いしわたりと蔦谷がともにベスト10にあげたのが、あいみょんだった。

 いしわたりは、9位に「君はロックを聴かない」をセレクト。「『ロックを聴かない人』と『ロックを聴く人』は明らかに違う人種だという実感のある世代が書いた歌詞という感じがして、新鮮に聴こえました。特に何も説明していないのに、『君はロックなんか聴かない』とい一言だけで、“君”という女の子の性格やライフスタイル、もしかしたら容姿までも想像できそうな感じがする。たくさんの要素を、たった一言で表現できていて、この言葉を見つけた彼女の感覚が素晴らしい」と絶賛した。

あいみょん - 愛を伝えたいだとか 【OFFICIAL MUSIC VIDEO】

 また、蔦谷は7位に「愛を伝えたいだとか」を選んだ。「歌詞に注目されることが多いシンガーソングライターだけど、メロディーメイカーとしての才能も光っている曲。Just The Two Of Us進行と呼ばれる有名なコード進行を使った曲で、邦楽では椎名林檎の『丸の内サディスティック』など名曲も多いが、コード進行自体の色が強いのでメロディーが負けてしまい、平凡な曲になりがちな諸刃のコード進行。その中で、自身の声の魅力をいかした印象的なメロディーを作れるところが彼女の強みの一つだと思います」とコメントし、そのコード進行について分析した。

 その後の2月11日放送回でも、あいみょんは、関ジャニ∞とともに「愛を伝えたいだとか」をジャムセッション。日本を代表する音楽プロデューサー2人に選ばれたこと、そして実際のTVでの歌唱を通して話題になり、その後2曲ともに配信チャートなどでも上位にランクインし続けている。

あいみょん - 君はロックを聴かない 【OFFICIAL MUSIC VIDEO】

 今回Mステで披露される「君はロックを聴かない」は、ミドルナンバーでアレンジもシンプル。その中で伝わってくるのは、前述のいしわたり淳治の発言のように、“作詞家”としてのあいみょんの才能だ。音響の仕事をしていた父の影響で、幼少期から浜田省吾やフリッパーズ・ギター、小沢健二などを聞いてきたというあいみょん。ロックを聞き、事あるたびに音楽に励まされてきた“僕”と、ロックに興味のない“君”。おそらく、“僕”には、あいみょん自身の経験も投影されているのだろう。“僕”が“君”を思う気持ちや2人の関係性、そしてロックが好きな気持ちが重なり合い、同時に伝わってくる歌詞の構造になっているのも特筆すべき点だ。この曲が収録されているアルバムのタイトルは『青春のエキサイトメント』。その言葉通り、青春時代の恋愛や、ロックに心酔する気持ちが、あいみょん独自の視点で切り取られている。

 『関ジャム』で、いしわたり淳治と蔦谷好位置がそれぞれ違う楽曲を選んだように、その曲ごとに、作詞家、作曲家、シンガー……とシンガーソングライターとしての多様な実力が発揮されるところが、あいみょんの魅力だろう。さらに、バンド編成と弾き語りでは、また違った印象を与えるライブも行っている。回を重ねるごとに、それまでのイメージを塗り替えるような新しい挑戦に挑んできたあいみょん。このTV出演をきっかけにあいみょんの存在を知った人は、ぜひ他の曲も聞いてみてほしい。

(文=若田悠希)

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