森朋之の「本日、フラゲ日!」vol.85

赤い公園、SCANDAL、Mrs. GREEN APPLE、NCIS、凛として時雨…それぞれの“今”を感じる新作

 活動を続けるなかで、さまざまな出来事を経験し、そのたびに変化していくロックバンド。当然すべてをコントロールすることは不可能であり、“何が起きるかわからない”というドキュメント性もまた、バンドというスタイルの魅力なのだと思う。今回は2018年現在、キャリアのなかでもっともスリリングな時期を迎えているバンドの新作を紹介。赤い公園、SCANDAL、Mrs. GREEN APPLE、Nothing's Carved In Stone、凛として時雨の“今”をぜひ感じてほしい。

赤い公園『赤飯』(通常盤)

 メジャーデビュー作『透明なのか黒なのか』(2012年2月)から最新アルバム『熱唱サマー』(2017年8月)までをまとめた、赤い公園初のベストアルバム『赤飯』。「のぞき穴」「絶対的な関係」「KOIKI」などの全シングル曲、これまでに発表された全アルバムからセレクトされた本作には、オルタナ、パンク、ファンク、ソウルといったカラフルな音楽性を自在に取り込みながらスリリングな変化/進化を続けた5年間の軌跡が詰まっている。フリーキーかつポップなソングラインティング、卓越したテクニックと破天荒な勢いを共存させたバンドグルーヴ、そして、楽曲によって表情を変える芳醇なボーカルが生み出すケミストリーはまさに唯一無二だった。2017年8月末でボーカリストの佐藤千明が脱退、3ピースバンドとして再始動した赤い公園にも大いに注目してほしい。

赤い公園 - 「カメレオン」 Music Video
SCANDAL『HONEY』

 ベストアルバム『SCANDAL』、キャリア初の47都道府県ツアーなど2017年、バンド結成10周年を駆け抜けたSCANDALから通算8作目のオリジナルアルバム『HONEY』が到着。シングル「テイクミーアウト」、デジタルシングル「恋するユニバース」を含む本作は、前作『YELLOW』に続き全曲メンバーによるオリジナル曲。性急なギターリフを軸にした「ふたり」、歌謡曲とディスコパンクが融合した「エレクトリックガール」など10曲中9曲の作曲を担当したMAMI(Gt/Vo)の覚醒ぶりがすさまじく、“シャープかつスウィートなロックバンド”としてのSCANDALのイメージを増幅させることとに成功している。メロコア、ガレージロック、ニューウェーブ、エレポップなどをナチュラルに反映させたバンドサウンドもきわめて魅力的。このバンドは明らかに新たなピークに突入している。

SCANDAL 『プラットホームシンドローム』
Mrs.GREEN APPLE『Love me, Love you』(通常盤)

 EDM系ダンスミュージックと生々しいバンドサウンドを融合させた前シングル曲「WanteD! WanteD!」が配信チャートを中心にヒット、バンドシーン以外のリスナーにもアピールすることにつなげたMrs. GREEN APPLEのニューシングル『Love me,Love you』表題曲は、まるで往年のミュージカル音楽のような華々しいポップチューン。ドラマティックに展開するメロディライン、ストーリー性のあるラブリー&ブライトな歌詞、ホーンセクションを取り入れたビッグバンド風のサウンドがひとつになったこの曲は、ロックバンドの枠を完全に超え、あらゆる音楽ファンにリーチできるナンバーに仕上がっている。カップリングにはシンガーソングライターの坂口有望をフィーチャーしたソウルポップナンバー「Log (feat.坂口有望)」、卒業シーズンにぴったりのミディアムチューン「春愁」を含め、新たなチャレンジが満載。何よりもポップであることを恐れない姿勢が素晴らしい。

Mrs. GREEN APPLE - 6thシングル「Love me, Love you」ダイジェスト

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