The Mirrazの“予測不可能”なバンド像 ギターロックを再び鳴らした2017年を振り返る

 10月にはまたしても、全7曲のミニアルバム『ヤグルマギク』をリリースする。『ヤグルマギク』はリフのアルバムだ。The Strokesを思い起こさせるようなギターの掛け合いは過去のアルバムでもやっていたことだが、それをド頭のリフでやっているのはあまりなかったように感じる。畠山承平によるミックスは隙間を埋めながら音の分離がはっきりしていて、リフの一つでもただのそれに収まらない生々しさを備えている。甲高い音で鳴り響くサイレンか、今にも破裂しそうな何かのような。

The Mirraz - ヤグルマギク (Official Music Video)
The Mirraz『RED JACKET』[Explicit]

 12月、ミイラズは11曲からなるフルアルバム『RED JACKET』をリリースした。2017年の集大成のようで、その細やかな部分には畠山承平の新しいことへの試行錯誤が垣間見れる、まぎれもない新作だ。畠山承平は先行公開された「DAWN」で<どうせ終わりなんてないから ただ進み続けるだけ 止まんな>と歌った。

 ほぼ毎月のようにアルバム単位の楽曲を発表しながら、そこには必ず「The Mirrazが鳴らすべき新しい音楽」への試行錯誤があった。今回はリリースのみを挙げ列ねたが、バンドは2度のツアーを行い、YouTubeに長尺の番組を投稿したり、ライトノベルゲームを製作したり、およそロックバンドらしくないユニークな活動も行っていた。2017年のミイラズは、走りまくった。

 そしてそれは2018年も走り続けるために他ならない。今月からは全国ツアーも始まる。会社の後ろ盾などないにも関わらずの、ものだ。2018年のThe Mirrazは本当にどうなるかわからない。だから、最高に面白い。

The Mirraz - DAWN (Official Music Video)

(文=池田 誉)

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