アルバム『Heart Mining』リリースインタビュー

accessが語る、チャレンジし続けた25年と音楽への思い 「ラブ&ピースを共感したかった」

「本当の意味で、アルバムの価値を感じた」(浅倉)

――最新アルバム『Heart Mining』を聞かせていただいたんですけど、極めてaccessらしい、しかもフレッシュな作品でした。

浅倉:本当の意味で、アルバムの価値を感じたのが本作なんですよ。なんていうんだろう……一般的な形でいうと、アルバムを作って、さぁライブやってっていう流れになりますけど、今回は25周年イヤーの中で、春と秋にライブツアーをやって、途中ベストアルバムを出して、その集大成というか、いま感じている音を残しておきたい気持ちでアルバムを作ったんです。そんな意味では過去も入ってるし、今の瞬間もある。これからのaccessの未来を感じられる瞬間も切り取ってアルバムに残せました。そんな部分では、長く活動をしてますけど新鮮な気持ちで取り組めましたね。

貴水:音楽って基本的にラブ&ピースが大事だと思っていて。そんな部分も臆することなくみんなと共感したかったんです。アルバムでは、エッセンスとして不透明な未来への不安だったり、不穏な空気も描いてます。それを全部受け止めたうえで一歩でも1㎜でも前に進んでいけるような、一緒に歩んでいけるようなアルバムにしたかったんです。そんなところを感じていただければ嬉しいですね。

――今回、アルバムを作るにあたってテーマやキーワードはありましたか?

浅倉:アルバムタイトル『Heart Mining』をいち早く決めました。最新のキーワードと相反する言葉を組み合わせた造語にしたかったんです。なので“マイニングとハート”。前にも、CDが配信に移り変わるタイミングで作ったアルバムのタイトルが『Rippin' GHOST』だったり、趣味が多彩化してクラスタ化される様を描いたアルバムが『Secret Cluster』だったり。今回、僕の中で“マイニング”って言葉が新しいと思ったんですよ。IT業界でも、“マイニング”って言葉はビッグデータ時代に重要性が高いです。それこそビットコインのことについて調べようとすると、マイニングっていう言葉がでてくるんですよ。採掘する/ 発掘するっていうIT用語であり、そこに心や精神の部分を司る“ハート”のイメージをかけ合わせて世界観を創り上げたかったんです。

貴水:そうだね。

浅倉:人と人との繋がりも今の時代、リアルな繋がりだけじゃなくてネットを介してのアクセスで繋がる人も多くて。いろんな繋がりがあると思うんです。そんな中、心の持ち方や精神性などと一緒に作品としてパックできたらいいなって思ったんです。

――『Heart Mining』って、まさしくアクセスするって感じですよね。

浅倉:accessとして今の時代の音を鳴らしたかったんですよ。

――今回のアルバムで貴水さんが手ごたえを感じた曲はどれでした?

貴水:「Heart Mining」っていうアルバムタイトル曲は大事かな。accessは煌びやかな世界を表現していきたいんですけど、そんな中で、これからの現実の未来を見据えた不安感や不安な空気だとか、実は、結構シビアに歌詞を書いているんです。それはリスナー側の日常に置き換えてもらってもいいですし。ある意味、問題提起をしてます。それでもノリノリなビートなのは、accessだからですよね。

浅倉:本当に、どの曲も思い入れは大きいよね。

――「Heart Mining」の歌詞で投げかけられてましたが、今の世の中、SFとリアルが混在した時代になってきてます。そんな中、「Friend Mining」という曲がaccessにおいて、レプリカントっぽいというか新鮮さを感じました。

浅倉大介

浅倉:パッと聴きは「アンプラグド系の曲もあるんだ!」って感じるかもしれません。コンピューター上で作られたギターのカッティングに歌が乗って、そこにハーモニーをいろいろ付けています。当初、こんな和声のコーラスでとスタジオに持っていったら、音源に入っていた無機的な声が面白いってなって。それは、5年前にサンプリングしたHIROの声だったんです。ある種ボーカロイド状態? 

貴水:僕もコーラスを重ねずにすむし(笑)。

浅倉:ガイド用に作ったトラックが面白かったから、異質な世界観になりましたね。ふっと気をぬける曲なんです。アルバムでは異彩を放ってるかもしれませんね。

――あと、僕は「Discover Borderless」という曲が好きなんです。この曲のリズムの展開が面白いなと。どのように生まれたんですか?

浅倉:嬉しいなぁ。やっとこの曲のリズムをわかってくれる人に出会えた。

貴水:僕も好きだよ、この曲。最終的な形になるまで、こんな仕上がりになるとは思わなかったですね。

浅倉:制作途中に、1回ツアーで演奏したんですよ。その時はすごいベーシックな馴染みのあるリズムで。もちろん、ライブでテンションが上がるチューンであることは確かなんですが、いかにドラム以外の楽器でグルーヴを作り出せるかにこだわりました。スネアも鳴ってなきゃ、ハットもシンバルも鳴ってない。キックが1拍目と3拍目に鳴ってるだけで、あとはブラシのスネアだけでグルーヴを作っているんです。自分の中でもトライだったし、大人のライブ感ですね。

――途中、ドラマティックにシンセソロが決まるところが好きで。

浅倉:嬉しいです。それこそ「~に似てるね」って言われるのが僕は1番嫌で(苦笑)。いつも新鮮な気持ちで受け取って欲しいので、いろんなチャレンジをしています。

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