uchuu,の“現在地”映したMV撮影に密着 「FLY」が示す8Kカメラの新たな使い方とは?
撮影当日、クルーの拠点はとあるビルの6階だった。撮影は、人通りの多い原宿の交差点での演奏シーンからスタート。メンバー間の距離も、メンバーとカメラの距離も離れているため、タイミングを合わせるのが非常に難しい。撮影中、スタッフ同士でトランシーバーやスマートフォンで細かく連絡を取り合う様子が見られた。松本氏は「現場にはメンバーの近くにスタッフはいるのですが、モニターも確認できず撮影されるのは不安だったと思います。さすがにこれが初回のお仕事だったら厳しかったかもしれません」と振り返る。
筆者もメンバーの近くで撮影を見守っていたが、いつ撮影が始まるのか、今何が行われているのかがわからず、戸惑う場面もあった。しかし「GROUNDRIDDIMチームへの信頼だけでお願いしました(K)」というメンバー。普段のライブとは異なる環境に開始直後は緊張していたというが、「最終的には気持ちよく、大道芸人気分でした(Sujin / Ba)」「周りの人を気にせず楽しんで演奏する事を心がけてました(Airi / Dr)」と意外にもリラックスして演奏できていたようだ。
その後も「普段見せない顔の表情はライブと違い不安でした(Hiroshi / Seq,Per)」という歩きながらの演奏シーン、普段から自転車が主な移動手段のため、撮影中で一番自然体でいられた、というKが自転車に乗るシーンなどの撮影が続く。夜間、歩きながらメンバーが演奏する場面では、8Kカメラを持ったカメラマンを別のスタッフが後ろから引っ張り、幅の狭い道を小走りで移動して撮影していたのだが、メンバーとの距離感や移動スピードなどに苦労していたように見えた。しかし結果としてHiroshiがシンバルを叩いたり、Airiも気に入っているという、Kが一度立ち止まって再び歌いだすといった場面が、映像の中に躍動感をもたらし、MVの中でも重要な役割を果たすこととなったように思う。
「8Kでの撮影が決まり、カメラへの期待はもちろんですが、それとともにデータの重さ、編集ワークフローへの不安も正直ありました」という松本氏の予想通り、編集作業にかなりの時間を要して完成したMV。「曲と歌詞を大事にして、『FLY』の飛び立つ感じを表現してほしい」という松橋氏のリクエストもあり、楽曲にマッチした躍動感あるものとなった。同時に8Kカメラの新しい使い方を示したMVであり、バンドにとっても新たな挑戦となった映像だと言える。