2ndアルバム『エロティシズム』リリースインタビュー
アカシックが2ndアルバムで確立した、バンドの個性と通底するポップセンス 「メロディは大衆向きに作ってる」
アカシックの2ndフルアルバムのタイトルは『エロティシズム』。どんな音なのだろうかと聴いてみると、冒頭から「憂い切る身」の激しさに驚くことになった。さらに、ディスコの要素まであるなど、サウンド面で新機軸に挑戦した作品となっている。
「愛×Happy×クレイジー」がドラマ『ラブホの上野さん』(フジテレビ系)、「マイラグジュアリーナイト」が『ラブホの上野さん season2』(同)の主題歌となり、知名度を上げてきたアカシック。彼らにとって、ポップであることと、最新作『エロティシズム』との関係性はどんなものなのだろうか? そして、アカシックのふたりのソングライター、奥脇達也(Gt)と理姫(Vo)の関係性はどんなものなのだろうか?
このインタビューの途中では、『エロティシズム』の制作にあたって、アカシックが「ポップ」を志向していなかったという意外な事実も明らかになる。それなのに、ポップな楽曲も生み出し続けるアカシック。では、アカシックはどこへ向かっているのだろうか?
アカシックの理姫、奥脇達也、バンビ(Ba)、山田康二郎(Dr)に話を聞いた。(宗像明将)【※インタビュー最後にチェキプレゼントあり】
「今ある全部に影響された平成の28歳なら、こういう歌詞を書く」(理姫)
ーーアルバムタイトル曲「エロティシズム 」は刺激的なタイトルですが、アルバムのテーマとはどう関係しているのでしょうか?
理姫:曲ができたとき、アルバムタイトルがまだ未定で、最後の曲がアルバムの雰囲気を表してるかなと、そのままアルバムタイトルにしました。
奥脇:バチコンだね。それでフィットした。
バンビ:すぐに「それでいきましょう」となりました。
奥脇:「アウトロが長くなる症候群」で、アウトロを長くする癖がありまして(笑)。けっこう前に書いてアレンジもしなかった曲をメンバーに送って、やってみたらかっこよくて。この曲はアウトロが長いんです、3分半ぐらい(笑)。
バンビ:アルバムのエンドロールみたいでいいかなと思って。YouTubeでアルバムのトレイラー映像を公開してるんですけど、最後の「エロティシズム」はアウトロだけで(笑)。
奥脇:「アウトロだけ聞いてください」ぐらいで(笑)。アウトロも8小節から16小節で転調してて、3分半で5、6回転調してます(笑)。
バンビ:転調も癖だからね(笑)。
奥脇:そうだね(笑)。
ーー冒頭の「憂い切る身」での生々しく狂おしい歌詞とこれまで以上にダイナミックなバンドサウンドには、冒頭から軽いショックを受けました。意識的なものでしょうか?
奥脇:意識しましたね。ミックスの段階で音圧がパツパツになっていて、最後のマスタリングで一番音を大きくしてもらって。ポップスにはダイナミクスが必要で、波形の凹凸がないといけないとされているけど、あえてそうしました。普通は再生するとメーターが揺れるけど、「憂い切る身」は動かないんですよ、振り切れっぱなしで。「ダイナミクスなんていいや、振り切ろう」と。
ーーその「憂い切る身」をなぜ1曲目にしたのでしょうか?
奥脇:「エンジェルシンク」を1曲目にしようとしたけど、会議をしてイントロがキャッチーな「憂い切る身」にしたんです。
理姫:スタッフとの会議で気づけたんですよ。
奥脇:僕たち頭でっかちなんで、自分たちだけで考えていると危険でもあるんですよね。
理姫:危険!
奥脇:4人で考えたことを違うところで話すと、「マジ!?」って言われるときもあるし。今回もそういうところが多かったです。
ーー理姫さんは作詞家としての自分はどんな作家だと考えていますか? 「憂い切る身」はタイトルからして最高だし、今回も素晴らしい歌詞ばかりだと感じました。
理姫:イェーイ、嬉しいです! 自分のことは作詞家とも思ってないですけど、どういう作詞家なのかな?
山田:独特だな、メンバーから見ても。
理姫:いろんなものから影響を受けきった最終点なんですよ。昭和歌謡から平成のJ-POP、女の子が好きなカルチャーの漫画や小説、今ある全部に影響された平成の28歳なら、こういう歌詞を書くんじゃないですかね? 空想が広がりすぎて妄想してるのかな?
奥脇:理姫の歌詞を見て「この言葉だよ!」と納得できますね。僕は「好き好き愛してる」とかしか書けない(笑)。情景描写や表現に気づかされますね。「憂い切る身」は一番好きかも。
理姫:この歌詞の意味わかる?
ーー理姫さんからメンバーに歌詞の意味は伝えるんですか?
理姫:歌詞は教えるけど、意味は言わないですね。
奥脇:説明する会を開いて(笑)。
理姫:やだー、そういうの苦手! 今みたいに「どのような作詞家なのか」という質問は初めてだから、気づかされて良かったです。
奥脇:すぐ気づかされる人達だから(笑)。