ニューアルバム『proof』インタビュー
NoGoDが語る、10年の歩みとバンドの真価「人前に立つ以上メッセージを届けないといけない」
「“NoGoDというジャンル”をこのアルバムで証明できたのでは」(団長)
ーーそして最後にボーカルが乗るわけですが、歌い方や節回しが演奏によって変化することはあるんでしょうか?
団長:そこもサウンドアレンジと一緒で、ある程度できあがったアンサンブルに対してどの音が一番合っているのかを当てる作業ですね。まずは何パターンか、ワンコーラスつるっと歌うんです。そこで声の年齢を老けさせたり、逆に若々しく歌ったり、ディストーションを多めにしたりクセを強めに歌ったり、少し歌謡曲っぽかったらネットリ歌ってみたり、カラッとしたアメリカンサウンドだったらちょっとはハスキーに歌ってみたり、その楽曲で一番映える歌い方をいろいろ試してみるわけです。だからアルバムとして一貫して同じ歌い方をしている曲が1曲もなくても、その曲にとって最適な歌い方をするほうがベストだと思ってます。
ーーまさにさっきおっしゃったように、アルバムのトータル性を重視するよりも1曲1曲の完成度を極めていくと。
団長:はい。だからうちの場合、アルバムというのはトータリティがなくてバラバラでいいと思うんですよ。そういうこだわりとか、音に対する真摯な姿勢とか全部ひっくるめて“NoGoDというジャンル”になるわけで、それをこのアルバムで一番“証明(=proof)”できているんじゃないかな。
ーーでもリスナーとしてアルバムを聴くと、そこにしっかりと一貫性が感じられる。それこそが、10年このメンバーで続いた説得力なんだと思います。
団長:世の中にはずっと同じことを続けてらっしゃる方もいるじゃないですか。それは素晴らしいことだと思うんですけど、我々はそこに飽きてしまうので、お客さんはこのバンドにかなり振り回されてると思うんですよ。肉料理しか出さない安心の老舗じゃなくて、日替わりメニューで急に変なもの出して戸惑わせることが多々あるバンドですから(笑)、そこで好き嫌いが生じて聴いてもらえないこともあるけど、味には自信があるので。残さず食ってもらえばわかるようなものは作っているつもりです。
ーー今作の歌詞を読んで気づいたんですが、NoGoDの歌詞はこれまで肝心なところを英詞で歌うことが少なかったですよね。それが伝わりやすいメッセージにつながっていたと思うんですが、今回は「Tonight!」で……。
団長:はい。生まれて初めて、俺の全英語力を使いました(笑)。最近の激しめのバンドさんって、英語が流暢な方が多いですよね。中学生まで海外にいたとか、反則じゃないですか。
K:反則じゃねえよ(笑)。
団長:俺も小学1年生から6年生まで子供向け英会話スクールに通い続けたので、これが渾身のサビなんですけどね。正直、この曲に関しては俺の中での皮肉なんですよ。「どいつもこいつも英詞を使いやがって。ど日本人の俺が本気で英詞を書いたら、これぐらいしか書けないんだぞ、ちくしょうめ!」っていう勝手な当てつけです(笑)。
華凛:今の人はみんな英語できちゃうからね。
Kyrie:我々みたいにイングリッシュ・コンプレックスの世代とは違いますから。特にロックは英語と密接なところにあるので、僕ら世代のロックミュージシャンの中には英語にコンプレックスを持っている人が多いと思うんです。喋れないことに対するコンプレックスというよりも、英語っていうものに対しての憧れが強すぎるのかな。でも、それを今の若い方たちは普通に喋れるんからすごいなと思いますよ。
団長:俺がそういう聴き方をしてきたのもあるんですけど、洋楽をすごく聴いていた時期って俺は歌詞を受け止めたくないからというのもあったと思うんです。洋楽のリスナーとしての俺は、歌詞をいちいち噛み砕いて聴いて、意味を受け止めたくないというのもあるんですけど、作る側としての俺はやっぱりメッセージを聴いてもらいたいんですよね。一方で、英詞で歌っている日本人のバンドを好んで聴いている人たちって、俺が洋楽を聴いているときみたいに、歌詞の意味よりもっと音に酔っていたいじゃないかな。それは楽しいことですし、素晴らしいと思うんです。でも、俺の場合は同じ日本語がわかる人にはメッセージを伝えたいですし、英語を使ったとしても小学生にもわかるような単語しか使いたくないんですよ。そうやっていろんなことを考えたら、こうなったわけです(笑)。
「まだ可能性を秘めていることを証明するツアーにしたい」(団長)
ーーなるほど(笑)。でも、NoGoDの楽曲は聴いていて耳に残る言葉やフレーズが多いぶん、流し聴きできないし、ちゃんと聴く体制になれるんですよ。
団長:だからうちの音楽は疲れるんですよ。環境音楽には向かないですし、きっと一生カフェでは流れないんですよね。でも、それぐらいの熱量でやっているので、同じぐらいの熱力で聴いてほしいとも思うし。流し聴きなんかされてたまるかっていう。それぐらい暑苦しいものでいたいなとは思いますね。最近はみんなで盛り上がれる曲、祭りだパーティだと、ノリで成立しちゃう曲も多いし受け入れられやすいと思うんです。もちろん俺も祭りやパーティっぽいノリのものも書くこともあるけど、それ以上にやっぱり響いてほしいし感動してもらいたいんですよ。曲によっては盛り上がらなくてもいいから、泣いてもらえたほうが俺はやっていて嬉しいなと思っちゃう。海外のハードコアバンドのライブみたいに、泣きながら拳を上げるおじさんがいたら最高ですよね(笑)。
ーーそこと真正面から向き合ってきたのがNoGoDだったと。
団長:若い子にもウケると思うんですけどね。同世代から上の方々には受け入れられてると思うんですけど。今までなんとかやって来れてますし(笑)。そもそも、若い子は白塗りってどうなんでしょう……?
Kyrie:この前も10歳児に「気持ち悪い」と言われたばかりだし。
団長:このメイクだからね(笑)。別に我々はいいものをずっと作り続けていればいいんじゃないかな。例えば今の若い子たちが20代後半ぐらいになって、「もうちょっといい音楽がないかな?」と思ったときにたどり着ける音楽として俺らがいればいいんじゃないかなと。だから、俺たちは俺たちがいいと思うものを作り続ければいいんです。
ーーここから12月まで続くツアーも始まります。
団長:10年間アンサンブルし続けた結果、今が一番良い状況に仕上がっていると思うんです。やっぱりバンドを10年、12年と続けていると、どこかのタイミングでNoGoDのライブを観に来られなくなるお客さんもいるはず。そういう人に後生の頼みで、このツアーでどこか一回でも観に来てくれないかなと思うんです。「やっぱりいいバンドじゃん!」と思わせることができる自信があるので。それに、ツアーファイナルが渋谷CLUB QUATTROなんですが、今のメンバーで初めてやったワンマンライブがQUATTROだったので、10年前に来た人にもう一度観てほしい。俺たちが果たして足踏みしてたのか、後退してたのか、それとも先に進んでいたのか、ここでハッキリすると思います。と同時に、このツアーでNoGoDというバンドがこれから先、まだ可能性を秘めていることを証明するツアーにもしたいですね。アルバムではそれができているので、このバンドが少しも鈍ってない、少しも日和ってない、研ぎ澄まされていることを生で見せつけたいです。
(取材・文=西廣智一)
■リリース情報
『proof』
発売:2017年9月20日
【初回限定プレス盤(CD+DVD)】¥3,600(税抜)
〈CD〉
01. In the cage...(Instrumental)
02. break out!
03. Arlequin
04. 蜃気楼
05. ヘンリエッタ
06. proof
07. 矜持と共に (Instrumental)
08. forever
09. 煽動
10. Missing
11. Tonight!
〈DVD〉 ※初回限定プレス盤のみ同梱
「Missing」「Arlequin」「break out!」Music Video
【通常盤(CD)】¥3,000(税抜)
01.In the cage... (Instrumental)
02. break out!
03. Arlequin
04. 蜃気楼
05. ヘンリエッタ
06. proof
07. 矜持と共に (Instrumental)
08. forever
09. 煽動
10. Missing
11. Tonight!
12. DREAMER ※通常盤のみ収録
■ライブ情報
『NoGoD TOUR -2017- AUTUMN prùf』
9月30日(土) 横浜 BAYSIS
10月1日(日) 町田 THE PLAYHOUSE
10月7日(土) 苫小牧 ELL.CUBE
10月8日(日)札幌 CUBE GARDEN
10月14日(土) 高崎 CLUB FLEEZ
10月15日(日) 浦和ナルシス
10月21日(土) 仙台 HOOK
10月22日(日) 新潟 GOLDEN PIGS -RED STAGE-
10月28日(土) 名古屋 Electric Lady Land
10月29日(日) 神戸 VARIT.
10月31日(火) 広島 SECOND CRUTCH
11月3日(金 . 祝) 福岡 DRUM Be-1
11月4日(土) 熊本 Be-9 V2
11月5日(日) 鹿児島 SR HALL
11月12日(日) 長野 JUNK BOX
11月18日(土) 本八幡 ROUTE14
11月19日(日) 水戸 LIGHT HOUSE
11月23日(木 . 祝) 金沢 AZ
11月25日(土) KYOTO MUSE
11月26日(日) OSAKA MUSE
12月2日(土) 渋谷 CLUB QUATTRO