NoGoDが語る、10年の歩みとバンドの真価「人前に立つ以上メッセージを届けないといけない」

NoGoDが語る、バンドの真価

 「「proof」が自分たちにとってターニングポイントになると思った」(Kyrie)

Kyrie

ーー今の言葉、すごくわかりやすく伝わりました。ここからはニューアルバム『proof』について聞かせてください。このアルバムに到達するまで、昨年末から楽曲を小出しに発表しましたよね。

団長:そうですね、配信シングルを2曲(2016年10月配信の「Passion Play」、同年11月配信の「emotional disorder」。両曲ともアルバム未収録)出して。今年に入ってからはCDシングルを2枚(4月発売の『Missing』、7月発売の『Arlequin』)出しましたし。

Kyrie:昨年末の配信シングルに関しては、ひとつ挑戦というか。これから先、NoGoDでこういうこともできたらいいなという、レコーディング環境も含めた新しいチャレンジでした。そして今年に入ってからのリリースに関しては、パッケージとしてシングルを出すということは僕たちにとって以上に、それこそレーベルや事務所にとって、もっと言ってしまえばリスナーにとってすごく特別なことになる。「Missing」や「Arlequin」という曲が普通にアルバムの1曲だったとしても、作る上での思いは何も変わらないんです。ただ、そこにシングルとしてのリリースがあればMVを作ったり、こうやってインタビューでお話させてもらう機会があったりしますし、それをリスナーが観たり聴いたりすることでその作品が特別なものに感じられるようになるんであれば、それは作る意味があるんじゃないかなと思って。だからそれぞれのシングルには3曲の新曲が入っていて、ライブテイクも2曲ずつ入れたし、今回のアルバムでも限定プレス盤にはMVが3曲収録されている。そうやってお客さんに楽しんでもらえるものがひとつでも多く届けられるのであれば、それはみんなにとって良いことなんじゃないかなと思うんです。

団長:唯一気にしてしまうのは、それぞれお客さんに買って頂くということ。なので、我々も曲を作るにあたってもちろん労力もお金もかかるけど、かといって「○○ミックス」みたいなテイクで水増しするのは違うと思うんです。

K:楽しそうだな、それ(笑)。

団長:「featuring ○○」とかね……って、やろうと思っても絶対にできないでしょ、うちの曲でそういうこと(笑)。だから、自力でやるしかないし、お客さんのためにも自分たちのためにも、それを大変なことだと思わずに当たり前のこととしてやってますね。

K

ーー今回の『proof』というアルバムタイトルも非常に象徴的な言葉ですよね。

Kyrie:そうですね。アルバムタイトルはレコーディング終盤に決まったんですけど、「proof」というタイトルが付いている曲自体は今回の制作で最初に書いたんです。自分がこの歌詞や曲を書いていく上で、その内容が自分たちにとってターニングポイントになると思ったので、これがアルバムタイトルでいいんじゃないかなと、わりとすんなりと決まりました。

ーーこの曲のどういったところが、Kyrieさんにとってターニングポイントだったんですか?

Kyrie:まさにこの曲の歌詞のようでありたいとか、そういう存在であろうという意思がまず最初にあって。この曲よりも後から出てきたものが、たとえ全然別の世界観のものだったとしても、それもまたひとつの“proof”という枠の中に入れられるんじゃないかなと思ったんです。だから、この曲が最初の時点でできていたのは、自分の中ではかなり大きかったですね。

 「ここ最近は1曲単位で完結させることを目標にしている」(団長)

ーーこのアルバムを聴いて感じたことなんですが、全体の流れや構成が古き良きロックバンドの王道感が強い作品だなと思って。例えば、冒頭のインスト曲「In the cage...」でじわじわ盛り上げて、2曲目「break out!」でガツンと攻める流れもそうですし、アルバム中盤に別のインスト曲(「矜持と共に」)を配置することで、アナログ盤のA面B面みたいな雰囲気も感じられる。CDや配信が主流の現在はこういった構成を意識していないアーティストも増えているのかもしれませんが、僕はこういった点がすごく良いなと思ったんです。

Kyrie:ありがとうございます。やっぱり最初に再生したときに、それがゆったりと入ってくるものであっても激しく入っていくものであっても、アルバムのイントロダクションにふさわしい曲かということは選曲するときに考えてしまいますよね。7曲目のインストに関しては特にA面B面を意識したわけではないんですが、ちょうどアルバムの折り返し地点に配置することでアルバムを構成しやすかったというのもあります。

ーーそうだったんですね。あと、これはここ最近のアルバムに総じて言えることなんですが、非常に聴きやすい長さなんですよね。

団長:そこは年々、1曲1曲が短くなってるからですかね。時とともに無駄が少しずつ削ぎ落とされている感じはします。そこは自分たちがライブでやっていて「長いな」と思う曲を、だんだんとライブでやらなくなってくるというのもあって、意識して作ってるところもあるんです。やっぱり長い曲って、ライブではセットリストに入れづらいんですよ。そうなるとライブでの稼働率が減っていくし、せっかく作ったのに勿体ないよねというのも多少はあるかな。

Kyrie: 6分ぐらいある曲が悪いってわけじゃなくて、単純に対バンイベントなどで30分しかないときとかだとやりにくいというのがある。そうなると、短尺でちゃんと起承転結があって振り幅がある曲のほうがやりやすいんです。

団長:昔はよく、アルバムのコンセプトに合わせて曲がいくつか長くなることはあったんですけど、ここ最近は本当に1曲単位で完結させることを目標にしているので、アルバムのトータリティよりもその曲にとってベストな方法を探した結果、短くなったのかな。

華凛

ーーでは、以前と比べるとアレンジする上でも変化があった?

華凛:アレンジに関してはKyrieが全部やっているので、申し訳ないながらお任せしてますね。僕個人でいったら、余計なことを削ぐ方法をこの12年で学びました。曲を良くしようということに注力できているっていうのは、特に激しい曲だとパッと聞きでは難しいかもしれないですけど、実際聴きやすくはなってるかなと。昔にこのアルバムを作っていたら、相当聴きづらいものになってたんじゃないかと思いますし。僕も若さに任せて好き勝手なことをやっていただろうから、そういう意味では洗練されていると思います。

K:僕は曲を組み立てる段階の話ですけど、すり合わせが以前よりもナチュラルなイメージが強いですね。持ってきてくれる曲に対して、こういうふうにしたいのかなっていうことが、やりとりしなくても理解できるというか。もちろん100%理解できてるわけではないですけど、80%ぐらいまではきたかなとは感じています。

Shinno

ーーKyrieさんとShinnoさんはギターに関して、相手がこうするから自分はこうすると意識して弾くとかディスカッションすることはあるんですか?

Shinno:例えばデモで「○○っぽい感じで弾いて」みたいな指示があったときに、俺はその「○○っぽい」をより具体化するのか、良い意味で裏切るのかでまた変わってくると思うんです。レールは敷いてもらっているので、あとはそこに何を走らせるかなのかな。

Kyrie:僕はアレンジする際、まず「きっとこの人はこういうふうに弾いたら、カッコ良く弾けるんじゃないか、カッコ良く叩けるんじゃないか、カッコ良く歌えるんじゃないか」ということを考えるんですよ。そういう自分の中にあるイメージを一回デモに落とし込んで、それを聴いてもらってからプリプロ作業を進めていくんです。そこでの消化の仕方も人それぞれだけど、結果僕が思っているものと全然違うものが出てくることもあるし、まったく同じものが出てくることもある。どっちが良いというわけではないんですけど、結局はどちらも僕が思うその人らしさだし、それが最終的にバンドの作品として成立していたらまったく問題ないと思うんです。

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