GLIM SPANKYが語る、3rdアルバムで迎えた状況の変化「より存在しやすい環境になってきている」

GLIM SPANKY、最新作で迎えた変化

海外進出のビジョンに少しずつ近づいている(亀本)

ーー確かに歌詞だけじゃなくて、曲調とかアレンジも含めて「何をやってもいいんだな」っていう感じになってきたなあとアルバムを聴いて思ったんですね。それは徐々に結果がついて来たから?

亀本:いや……なんでだろう? まあもともと、何をやってもいいと思ってたんですけど。でも、現実的に考えて、国内でのセールスだったりとか、フェスとかイベントでちゃんと居場所を作っていく、っていうことは確実にやっていきたいという思いで活動しているし、その上で、海外にもどんどん出て行きたいっていう思いもあって。それには、少しずつ変化していくことが必要だと思っているので。自分が思い描いている将来的なビジョンに向けて……こういう曲で、こういう音で、GLIM SPANKYが欧米でもやっているーーっていうビジョンに少しずつ近づいている感覚ではあるんです。

最初は、将来的には海外にも行きたいけど、まず国内で形にならないとどうしようもないな、バイトしながらじゃ海外でライブできないな、みたいなところから始まって。その最低ラインは突破できたかな、っていう感じは、今はあるので。

その次のステップに行く時に……たとえばみんなと横並びになって「どっちがいい?」っていうポジションじゃなくて、「自分たちはこうです!」っていうポジションというか。「あのバンドがああだから、僕らはこうなんなきゃ」みたいなこととは関係ないところに、自分たちのポジションを作らなきゃいけないな、という考えになってきて。国内でそういうポジションを作って、なおかつ将来的に海外へも出て行ける音に、どんどん仕上げて行かなきゃいけない、っていうところで、自然とこのアルバムのような音になってきた、っていうのもあると思うんですけどね。

松尾:サウンド面はそうですし、歌詞の部分でもーーメジャー1枚目のミニアルバムを作った時に、いしわたり淳治さんがプロデューサーで。それまで私は、業界の人はみんな敵だと思っていたので、殻が何百枚とあった状態で、誰に何を言われようとはねつける、みたいな感じだったんですけどーー。

亀本:そうなの?

松尾:(笑)うん。自分が歌詞で使いたいかっこいい言葉っていうのも、自分の中に答えがあって、それ以外は使わないと思いながら歌詞を書いていたら、ある時、淳治さんが雑談の中で「俺さあ、この歳になってやっと最近わかったことがあってさ」って話し始めて。「今までは『愛してる』とか『ありがとう』みたいな歌詞ってクサいって思ってたんだけど、同じ『愛してる』でも伝わる『愛してる』と、クサいと感じる『愛してる』があるんだな、ってことに気づいて。本当に心の底から思って歌ってる人の『愛してる』はクサく聞こえないんだよなあ」って。その淳治さんの言葉でハッと思って。歌う本人の技量によるんだな、同じ「愛してる」でもかっこよく聴かせることができるボーカルにならなきゃいけない、ってすごく思った時に、言葉の壁がなくなったんですよね。

私がかっこよく歌える、自分が本気で思ってることを伝えたいって思って、ちゃんとそれを表現すれば、それはファッション的な「愛してる」じゃなくて、本気の魂の叫びになるんだな、っていうことを理解できてから、「この言葉は使いたくない」「この言葉はストレートすぎるからやりたくない」っていう壁がなくなったのが、1stを作った時だったので。そこからより、すべては自分次第って思えるようになりました。

ーーサウンド面でもそういうことはありました?

亀本:いや、めちゃくちゃありすぎて。このアルバムにしても、日々トライ&エラーをし続けていて、今回の盤を作って学んだこともあるし、まだもう一歩行きたいなっていうところも当然あるんですけど。たとえば、今までの曲だったら……ドラムとベースがいて、松尾さんエレキギターで、僕もエレキで、バンドの体をなして曲が進行して行って、間奏でソロなりリフなりがある。そういう時でも、僕のギターの伴奏は消えず、まんなかからリフが登場する、みたいな。バンドの音作りとしては、普通はだいたいそうで、そこで伴奏が消えてリフだけになるっていうことは、ほぼほぼないんですけど。

でも、このアルバムの8曲目の「ビートニクス」、今までやってきた「怒りをくれよ」とか「ワイルド・サイドを行け」みたいな曲調なんですけど、間奏になっても僕のギター1本しかない状態で、リフだけになってもそれはそれでよしとしていこう、っていうか。

やっぱり海外の、僕らが好きなアーティストは、音が全然埋まってなくてもOK、むしろ埋まってないことによってキックであったりスネアであったりの厚みが……音が重なっていたら聞こえない部分が、逆にしっかり聞こえてる。っていうような音源を聴いてると、いっぱい音を敷き詰めて、コード感を出した中で歌を入れる、みたいなことを続けていては、とてもじゃないけど勝負にはならんぞ、みたいなことをすごく思って。安易にエレキギターのコードで埋めないようにする、っていうのは考えましたね。それでもちゃんと楽曲として成立している曲をまず書かなきゃいけないし。作曲の段階からそういうことを考え始めたのは、今回からですかね。

GLIM SPANKY-「THE WALL」LIVE Music Video(Short.ver)

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