足立佳奈の歌はなぜ人を惹きつける? メジャーデビューで示した天性の“ユーモア”と“明るさ”に迫る
今作の2曲目の「ココロハレテ」では<これでいいのだっ!>という歌詞がちりばめられている。ここには、どんな結果でもこの言葉で全てがプラスになるように、という願いが込められており、くよくよしている感情を一掃してくれる。また、<そんなに嫌ならやめちゃえば>という歌詞は、「やめないで耐えて頑張れ」という風潮を軽やかに蹴散らす「本当に辛ければやめても良いんじゃない?」というメッセージになっており、ありきたりの「頑張れソング」に食傷気味な人さえも笑顔にしてくれる力を感じる。歌詞や曲、ビジュアルやイメージ以前に「歌声」の個性を持っているシンガーは、強い。彼女の場合、それに「キムチ~笑顔の作り方~」で早々に発揮されたような着眼点や、「ココロハレテ」ようにの歌声とリンクしたメッセージ性が加わることで、さらに個性を強いものにしているのだと思う。
そして、その歌声の個性も、もしかしたら彼女が日々の経験を積み上げてきたことで生まれたものなのかもしれない。3曲目の「だいじょうぶっ!」には<悔し涙とか 嬉し涙とか/その意味を知る度に/笑顔は素敵になる ほら!!>という歌詞がある。笑顔そのものと言える歌声だからって、ただ、能天気に明るい歌声というわけではないのだ。笑顔も、歌声も、一日にして成らず――彼女は、それを知っているのではないだろうか。だとしたら、これからどんどん表情や歌声が豊かになっていく可能性がある。
SNSでも、「可愛い」「歌が上手い」「声がいい」などといったポジティブな意見が並んでいる。キラキラの笑顔と、そのイメージのままの歌声、自身が携わることも多いポップなメロディ、そしてユーモアや人懐っこさに、ドキリとさせるひと匙のスパイスを交えた歌詞という、全てひっくるめて裏表のない彼女の存在感は、このSNS時代にもぴったりだし、それでいて普遍的とも言える。「音楽って、歌って、どういう力があるんだっけ?」という原点に立ち返らせてくれるようなシンガー、足立佳奈。これからも注目していきたい。
■高橋美穂
仙台市出身のライター。㈱ロッキング・オンにて、ロッキング・オン・ジャパンやロック・イン・ジャパン・フェスティバルに携わった後、独立。音楽誌、音楽サイトを中心に、ライヴハウス育ちのアンテナを生かしてバンドを追い掛け続けている。一児の母。
■リリース情報
『笑顔の作り方~キムチ~/ココロハレテ』
発売日:8月30日(水)
価格:初回生産限定盤(CD+BD)¥1,500(税込)
通常盤(CD)¥1,300(税込)
〈収録内容〉
【CD】
1. 笑顔の作り方~キムチ~
2. ココロハレテ ※大塚製薬 エールプロジェクトテーマソング
3. だいじょうぶっ!
【BD】※初回生産限定盤のみ
1. 笑顔の作り方~キムチ~ビデオクリップ
2. ココロハレテ ビデオクリップ
3. 足立佳奈スペシャル映像
※初回限定仕様:ファンクラブ「あだっちーず」オープン記念 CD購入者&入会者全員プレゼント企画 ID封入
■店舗特典
【セブンネットショッピング】
初回生産限定盤、通常盤のいずれかをセブンネットショッピングで予約で、セブンネットショッピング限定特典「ボトルキャップ」を配布
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