嗣永桃子はプロフェッショナル・アイドルだった 後輩に“未来”託したラストステージ
ありがとう、ももち
最後の最後、「ありがとう!おともだち。(Berryz工房)」ならぬ、「ありがとう!おとももち。」を歌い終えた嗣永桃子は沈みゆくステージの中、小指を折りたたんだ。
ハロー!プロジェクト・キッズオーディションの合格発表、2002年6月30日からちょうど15年、日にちにして5479日。歴代ハロー!プロジェクトメンバーの中で最長の在籍日数だった。
アイドル人生をまっとうしたーー。
そんな言葉がしっくりくる。
思い返してみれば、バラエティ番組で加藤浩次に思いっきり蹴飛ばされたことで彼女を取り巻く状況は一変した。あの光景をテレビの前で冷や冷やしながら見ていたことを昨日のことのように思い出す。もっとも、彼女の才覚は古くからファンの知るところであったが、これを機に彼女の存在はお茶の間にまで一気に広がった。「うざい、キモイ」など言われながらも、次第に世間も彼女の凄さに気づきはじめていった。そんな彼女のことを我々ファンはいつだって誇らしく思っていたのだ。その思いはきっとこの先も変わらない。小指を折りたたんだその手が、しっかりと握りこぶしに変わったのを我々は見たのだから。あの瞬間、誰もが皆心の中で呟いたはずだ、「ありがとう、ももち」と。
■冬将軍
音楽専門学校での新人開発、音楽事務所で制作ディレクター、A&R、マネジメント、レーベル運営などを経る。ブログ/twitter