(K)NoW_NAMEメンバー&プロデューサーが語る、「アニメに寄り添う音楽」をチームで作る理由

(K)NoW_NAMEの考える「アニメに寄り添う音楽」

「才能をかけ合わせることで、音楽性の幅を広げる場所にしたい」(齋藤)

ーーそのイメージ共有は、やはり2作目になってどんどんスムーズになってきましたか?

NIKIIE:楽には………ならないですね(笑)。でも、始まった当初よりは仮歌を貰った段階で曲の意図を汲み取れるようになったり、わからないことを遠慮しないで訊けるようになったりと、ディレクションへの応えるにあたっての自分の引き出し方が上手くはなってきたかもしれません。とはいえ、(K)NoW_NAMEは作品ごとに楽曲の色が変わっていくので、その都度挑戦なのかなとは思いますが。

Tachibana:付き合いが伸びたからやりやすいという感覚はありますが、前よりも歌いやすくなったという印象は特にないです(笑)。でも、前作よりプロデューサーやクリエイターさんたちが私の声をより理解してくださってるなとは感じていて、レコーディングはどんどんやりやすくなっているかもしれません。

Miyazaki:そういえば、僕って(K)NoW_NAMEのなかで一番歌モノを担当することが多いんですよ。なのでAIJくんを含めた3人の声には一番多く接しているので、一方的にかもしれませんが……見えてきた部分はありますね。

NIKIIE:私は曲を受け取るたびに見えなくなります(笑)。Miyazakiさんの曲ってすごく難しいんですよ。「ここでこういくか!?」という展開が結構多くて。それが面白い部分でもあるんですけど。

Miyazaki:それは、自分の中でのサディスティックな部分が出ているからかもしれません。素晴らしいシンガーなので、「これくらいやっちゃおうかな」と遠慮なくトライできますし。

ーーでは、今後関係性が深くなるにつれて、よりサディスティックな一面が強調されるかもしれませんね。

Miyazaki:『灰と幻想のグリムガル』の制作途中の段階ではまだボーカリストの3人と顔合わせをしていなかったんですよ。ただ、会っちゃったので逆に緩和されていくかもしれません(笑)。

ーーそういう遊び心も持たせつつ、ポップに仕上げているのは流石ですね。劇伴と主題歌・挿入歌の表現については、どこまで意識して作り分けていたのでしょうか。

Miyazaki:劇伴のほうは、あえて遊び心を封印したんですよ。僕はこれまで劇伴でハリウッドライクというか、ハンス・ジマー(『パイレーツ・オブ・カリビアン』や『バットマン ビギンズ』などの映画音楽を手がける作曲家)的な音を好んで作っていたんです。今回のように女の子が主人公の日常ものは初めてで、騒がしくなりすぎた部分もあったみたいで。そのぶん、カップリングや主題歌では遊びを重要視しました。

ーーカップリングは本編の劇伴をアレンジしたものですが、実際に使っている劇伴曲よりも派手なサウンドが印象的です。

Miyazaki:基本的な構成はあまり変えてないんですけど、エンジニアにも「攻めてくれ!」とお願いしてコンプを掛けまくってもらったりと、かなり印象が変わるようにはしました。

NIKIIE:ボーカルに関しては、使うチャンネルは同じだったという感覚です。世界観がガラッと変わったというよりは、歌詞もアニメの内容に寄り添ったものなので、そこまで作品から離れた印象はなかったです。たとえば「Lantana」だと、劇中でも使われている特徴的なタムの音から入っていったり。「やることはいっぱいあるけど頑張っていく」という女の子の気持ちも歌詞では表現されていますし、コツコツ頑張っていく主人公たちの姿にあわせて、自分の歌もどんどんクレッシェンドさせています。

ーーアニメに寄り添った音楽を作り歌うユニットとして、カップリングを劇伴から作るというやり方は異例ですがピッタリですね。

齋藤:作品に合う音楽を作るというコンセプトですので、その世界観の中にはどういう音楽が存在するかという枠だったり、具体的なお題を設けています。その方が実はクリエイターもボーカリストも研ぎ澄まされて最大限のパフォーマンスが発揮できますし、楽曲にもしっかりとした軸ができるじゃないかなと思っています。また、ユニットのメンバーにとって、それぞれが普段の個人活動では空けていない引き出しを空けたり、他のメンバーの才能をかけ合わせることで、新しい経験や音楽性の幅を広げるような場所を(K)NoW_NAMEにしたいんですね。そんなこんなで、カップリングでは、作品の世界観から逸脱せずに遊び心が出せてクリエイターもボーカリストも面白がってもらえるようにもしたいんです。

ーークリエイター側のMiyazakiさんとしても、このやり方は新鮮に感じますか?

Miyazaki:そうですね。劇伴で使った曲をそれっぽい歌モノにすることはあるんですけど、そのまま作った曲を直接使うということはこれまで無かったですから。

ーーちなみに、クリエイティブユニットとして幅を広げるために増員という選択肢を考えたりもするのでしょうか。

齋藤:いえ、基本はメンバーは固定していきます。今回だとAIJはボーカルとして参加していませんが、「Blue Rose」や「thyme」で英語詞の作詞・ディレクションに関わってもらったりと、それぞれが持つ能力を発揮してもらいながら、チームの中でスイッチして、作品に最大限寄り添った音楽を作っていきたいですね。

ーー今後トライしてみたいジャンルは……といっても、ジャンルも流行りもあまり気にしないで出来るのが(K)NoW_NAMEの強みですもんね。

Tachibana:そうですね、アニメに合った曲と歌をしっかりと届けていきたいですし、そのなかで今回のように自分の可能性を広げる音楽にも出会っていきたいです。

NIKIIE:次はなんだろう……演歌とか?(笑)。

齋藤:そう考えると、楽になることは今後も無いかもしれないね(笑)。

(取材・文=中村拓海)

■リリース情報
『Morning Glory』
発売:6月7日(水)
価格:豪華盤(CD+Blu-ray) 1,900円+税
※キャラクターデザイン・関口可奈味描き下ろし三方背ジャケット&so-bin描き下ろしインナージャケット&三方背スリーブケース/ジュエルケース&オープニングムービー絵コンテブックレット(2コーラス分・封入特典)
   通常盤(CDのみ) 1,200円+税
※so-bin描き下ろしジャケット&ジュエルケース

<収録内容>
・CD
1. Morning Glory
2. Lantana
3. thyme
4. Morning Glory(Instrumental)
5. Lantana(Instrumental)
6. thyme(Instrumental)

・Blu-ray
ノンクレジットオープニング(2コーラス、TV size)
※1コーラス目までは放送にて使用の映像

『Freesia』
発売:6月7日(水)
価格:豪華盤(CD+Blu-ray) 1,900円+税
※キャラクターデザイン・関口可奈味描き下ろし三方背ジャケット&so-bin描き下ろしインナージャケット&三方背スリーブケース/ジュエルケース&エンディング原画ブックレット(封入特典)
   通常盤(CDのみ) 1,200円+税
※so-bin描き下ろしジャケット&ジュエルケース

<収録内容>
・CD
1. Morning Glory
2. Lantana
3. thyme
4. Morning Glory(Instrumental)
5. Lantana(Instrumental)
6. thyme(Instrumental)

・Blu-ray
ノンクレジットエンディング(2コーラス、TV size)
※1コーラス目までは放送にて使用の映像

<収録内容>
・CD
1. Freesia
2. Blue Rose
3. ASTER
4. Freesia(Instrumental)
5. Blue Rose(Instrumental)
6. ASTER(Instrumental)

■関連リンク
(K)NoW_NAME公式サイト

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