ファン参加MVは新たな段階へ? ハジ→の“親子参加”型映像を検証する

 国内でも前年度比68.1%増の363億3,400万円の規模にまで成長しているクラウドファンディング市場(参考:矢野経済研究所)。クラウドファンディングの仕組みを利用し、エンターテインメント作品をファンとともに作り上げる取り組みが増加する昨今、ハジ→の楽曲「おやじ。」と、レコチョクによる共創・体験型プラットフォーム『WIZY』のタッグによる、ファン参加型ミュージックビデオの新たな試みが行なわれた。

普段は言えない父親への感謝を歌った「おやじ。」

 ハジ→が今年10月にリリースした『超ハジバム3。』の収録曲「おやじ。」は、彼がインディーズ時代に母親への感謝を綴り、『母のためだけに開催されたコンサート』をテーマにミュージックビデオで母親との共演も果たした人気曲「あなた。」の父親バージョンと言える楽曲。「あなた。」を制作した際、彼はファンや父親に「いつかおやじに向けた曲を書く」と約束しており、その言葉が晴れて現実となった、ファン待望の楽曲でもある。歌われているのは、普段はなかなか気恥ずかしくて言えない父親への感謝。その想いがハジ→らしい真っすぐな言葉で綴られており、彼自身も、『超ハジバム3。』の中で最も思い入れがある曲だと語っている。

ファンの想いを乗せた「おやじ。」のMVを作りたい

 その楽曲の世界観をファンとともにより広げることができるのが、『WIZY』を使った今回のプロジェクトだ。『WIZY』はアーティストが実現したい企画とそれに共感したファンとを繋ぎ、企画の実現をサポートするプラットフォーム。サービス名は「with you」から作られた造語で、クラウドファンディングを使ったアーティスト/ファンの「共作/共創」をサポートする。もともとファンとの距離が近いハジ→には最適のサービスと言えるだろう。今回ハジ→は、ファンとその父親(=「おやじ。」)が出演するファン参加型のミュージックビデオ制作を提案。さらに、ミュージックビデオに加えて当日の撮影風景を記録したオリジナル動画を『WIZY』で公開した。ファンのサポートのかたちはミュージックビデオ出演だけでなく、グッズ購入やエンドロールに名前を載せるものまで、多種多様な構成によって企画参加への間口の広さが用意されていた。

“アーティストだけが主役”ではない、新しいファン参加型ミュージックビデオの形

ハジ→ 「おやじ。」MUSIC VIDEO

 完成したミュージックビデオでは、ファンが日頃の父親への感謝を肩もみで表現。それぞれ微妙に異なる親子の距離感や表情が、ひとつとして同じ形は存在しない親と子の関係を浮かび上がらせていく。また、当日の会場入りからミュージックビデオ完成までを追ったメイキング・ムービーとも言えるWIZYの動画コンテンツ「W SIDE STORY」では、アーティスト・サイド、ファン・サイドの2つの視点を用意。ハジ→と参加者の両方から、当日の撮影風景や企画に臨む想い、撮影後の感想が語られる。今回参加者の中からフィーチャーされた野田たけしさんの父親からのコメントも加えられるなど、「おやじ。」に向けた想いのみならず、「おやじ。」からの想いまで語られるのも印象深い。また、スマホ版では上下2分割の画面でハジ→とファンのそれぞれの物語を同時に追える他、PCでは視聴者が「W」キーを押すことで両画面を自由に切り替えられるブランディングムービーとして日本初の技術を採用。企画に参加したファンだけでなく、映像を楽しむ人々との「共作/共創」にまで広がりを見せた。

W SIDE STORY(ディレクターズカット版)

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