NICO Touches the Wallsが築き上げたサウンドの“深み” 4人揃った「1125の日」レポート

 NICO Touches the Wallsが、11月25日に赤坂BLITZにて『1125/2016』を開催した。同ライブは、11月25日にを“1125(イイニコ)の日”と称して、毎年恒例となっているイベントで、今年は2006年にリリースした1stミニアルバム『Walls Is Beginning』と2ndミニアルバム『runova × handover』を中心にライブを構成。古村大介(Gt.)が怪我で欠席した昨年以来、2年ぶりに全員がそろった“1125の日”はNICO Touches the Wallsの音楽の深みを改めて感じたライブが繰り広げられた。

 SEが流れ暗転したステージに登場するメンバーを、観客が拍手と歓声で迎え入れる。光村龍哉(Vo./Gt.)が「ようこそ」と言葉を発し、ギターの音色に乗せた歌声が会場に響き渡り、ライブが幕を開けた。

坂倉心悟(Ba.)

 1曲目の「行方」では坂倉心悟(Ba.)のグルーヴィーなベースラインに、歌い出し同様、光村の伸びやかな歌声が重なる。「行方」のジャズ風の曲調や、次に披露した曲のフレーズごとに強弱をはっきり表現した「壁」では、彼らがメジャーデビュー以降に発表した代表曲「手をたたけ」「夏の大三角形」とは雰囲気の異なる、インディーズ時代のバンドのムードが色濃く感じられた。

 はじめのMCで光村は「今、当時の音を聴いてみるとですね、やっぱり若いなぁという感じは否めないわけで。今日はあの日から10年経ちましたけど、30代になった僕らがあの時の曲たちを今奏でると一体どういう風になるのかと自分たちも含めて確かめたい」と今回のコンセプトの経緯を説明。すると、後に披露した「僕がいなくても地球はまわってる」では、光村が歌詞を忘れてしまうハプニングも発生。光村は「結構練習してきたけど歌詞が飛ぶっていう(笑)」と話したが、その先には久々に披露される楽曲たちがどのようなかたちで披露されるのか、温かく楽しみに見守るファンの姿があった。

古村大介(Gt.)

 「梨の花」では古村が奏でる幽玄なギターとより深みがかったアンサンブルが場内に広がり、観客を楽曲の世界へと引き込んでいく。発表した当時はやや背伸びをしていた印象もある楽曲たちが次々と現在のバンドサウンドで披露されていくと、キャリアを重ねたことで豊かになった彼らの表現力の高まりを感じた。光村が、「実際に10年前、妙に渋い人たちから対バン誘われるなと思ってたんですよね。おかしいなと思ってたけど、10年経って、今改めて演奏してみると、その理由がよくわかりました」と話し始めると、対馬祥太郎(Dr)から「これで20歳だよ」、古村が「怖いよね」と重ね、場内が笑いに包まれた。

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