CHEERZ×KKBOX×TuneCoreが目指す“アイドル楽曲との接点作り” 多様化するシーンとサービスはどう結びつく?

CHEERZ×KKBOX×TuneCore、3社特別インタビュー

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「昔のアイドルとは違う感じの曲調も多く、多様化が進んでいる」(野田)

──それぞれ、アイドル楽曲に対する認識はどうでしょうか。

野田:僕らは自分たちのサービスを使ってくれるアイドルを聴くことが多いのですが、音楽にこだわりを持ってる人たちが僕たちのサービスを使ってくれる傾向にあるので、クオリティはどんどん高くなってきているという印象があります。昔のアイドルとは違う感じの曲調も多く、多様化が進んでいるというか。

伊藤:CHEERZを使ってくれているアイドルの中でも、ハードロック、メタルとか、エレクトロなどのジャンルも増えてきていて、特に名古屋シーンはロック色の強いアイドルが多くなるなど、地域性も出てきているんですよ。

山本雅美:アイドルソングは、クリエイティブクオリティも高いので、もっとみんなに聴いてもらえればいいのにという曲が多いですね。

──今回、KKBOXでは「Listen with」において、アイドル自身がミュージックキュレーターになり様々なジャンルの音楽を紹介していきます。キュレーターに選ばれたアイドルのみなさんが、第1弾に神宿の小山ひなさん、ピンク・ベイビーズの櫻井優衣さん、FES☆TIVEの青葉ひなりさんとMaison book girlの和田輪さんの4人です。こちらはどのようなセレクションなのでしょうか。

伊藤:僕が山本さんにCHEERZ参加アイドルの名前と特色を一斉にお送りして、山本さんにセレクト頂きました。今回選ばれたのは、音楽的な趣向を持つ子たちが中心ですね。海外展開を視野に入れているFES☆TIVE、カルチャー感のあるMaison book girl。現行シーンのネクストブレイク組で王道路線ともいえる神宿、昔と今の楽曲を繋ぐピンク・ベイビーズと、良い感じで色もバラバラになっていると思います。

山本:今回の取り組みを始めたのは、「アイドルの中でも、ミュージシャンと同じくらい音楽に詳しい人もいたりするんじゃないか」と考えたことがきっかけで。自分たちの活動から離れて、より音楽的な選曲をしてもらうことがそのまま個人のキャラクターに繋がっていくし、すごく面白いのではないかと考えました。実際に神宿の小山さんと話をしていたら「My Hair is BadがKKBOXにないのが残念です」と言っていて、「知ってるんだ!」と驚かされたり(笑)。4人の方が選曲してくれたプレイリストを見たら、今回の4人が間違いじゃなかったと確信しましたね。

伊藤:グループの特性とは別に、その子の音楽性を見てもらえたりすると面白いですよね。「あの子、◯◯◯◯に詳しいみたいだよ」という事象は、すぐにネットで「まとめ」として取り上げられたりすることもありますし。

──このような場でアイドルがキュレーターとして音楽を広めていくというのは、アイドル自身もそのファンも改めてその音楽ジャンルを聴く機会になります。

野田:キュレーターとして素晴らしいアイコンになることができるはずですね。

山本:今回の企画とは別の話ですが、最近ミュージックキュレーターとして中学生インスタグラマーとして人気のあるmappyさんが参加してくれたんです。彼女に「好きなアーティストは?」と聞いたら「ジェームス・ブラウンとパティ・スミス」と答えてくれて。実際に掘り下げてみたら、僕より詳しいんです(笑)。彼女は70年代のファッションが好きで、YouTubeでどんどん掘っていった結果、そこに到達したらしく、彼女のような子がジャズ、クラシック、ロックを語ったりする機会は滅多にないですし、ファッション誌ではそのような取り上げ方をすることが少ないので、いろんな方にもっと普段は見せない顔を紹介できればと思います。

──今回のプロジェクトを進めていく中で、目指しているところを聞かせてください。

野田:まずは、音楽ファンに目を向けてもらうことが第一で、その環境を作っていけたらいいかなと考えています。その先に関しては、「この企画を通して売れた」というアーティストが出てきてくれたら最高ですね。まずは知られることが重要だと思っていますし、CHEERZでのトップアイドルはもっと聴かれるポテンシャルがあると感じているので、これをきっかけにブレイクしてくれるといいですね。

──続いて各社の現状についても訊いていきたいのですが、CHEERZは最近、生配信が出来る機能「ちあスト」をリリースしました。

伊藤:ちあストに関してはまだ試行錯誤の段階で、細かい部分を調整しているところです。将来的に自分たちでもちゃんと配信出来るシステムを整備して、物語性を帯びるものになればいいなと思っています。先日には、CHEERZ内での映画オーディション企画もちあストを通して実施し、台本を実際に読んでもらっている動画をアーカイブ化して審査してもらうなど、様々な可能性が広がっているので、どんどんアイドルの子たちに使ってもらえたら嬉しいです。

──山本さんはKKBOXにおいてListen withなど、様々な企画を平行してらっしゃいます。

山本:ミュージックキュレーターもそうですが、サービスとしてもお預かりしてる楽曲をどのようにキュレーションしていくのかが1番のポイントなので、新曲とか目先の曲だけではなく、様々な作品と真摯に向き合っていきたいです。これはアイドルでもどのジャンルであろうと同じですね。

野田:TuneCoreはまだまだ浸透しきれてないように感じるので、ゆくゆくは若年層や地方の若い子に楽器感覚で使ってもらえるようなWebツールになりたいです。海外でも配信先は広げていこうと思っていますし、5月にローンチした動画広告収益をマネタイズする仕組みも認知させていきたいですね。

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TuneCore Japan 野田威一郎

──基本的には楽曲をアップして終わりですもんね。

伊藤:僕らは最終的にはアーティストが自分の楽曲で食べていけるということを実現したいので、そこに対していろんなツールを用意してあげたいと思っています。

──もともとKKBOXとTuneCoreは海外法人があって、日本にそれぞれ来たという背景があります。現在はアイドルを海外展開という形でイベント出演などして、持ち出す方の役割も果たしていますが、今回の取り組み自体も目的としては、海外にアイドルの楽曲を広げるということもあるのでしょうか。

伊藤:そうですね。昨年は5カ国に渡り、アイドルの皆さんにパフォーマンスしてもらっているんですけど、実際海外の人たちが本人たちの楽曲を手にすることができないんですよ。「彼女たちの曲はどこに行ったら手に入るんだい?」と言われて、それに答えられるようになるっていうのはすごく大きいなと思っています。アイドルシーンは、近年、アジアに積極的に進出はしているのですが、行ったのだけどそこから先に中々繋がらないというのが現状の問題かなと思ってます。今回の取り組みでアイドルを知った人たちが、香港、台湾で認知率9割のKKBOXで検索して、曲を聞くことができる。求めた時にちゃんと曲がそこにあるという形が理想ですし、正常な仕組みを整えたいですね。

山本:スタマリのみなさんが台湾でListen withをおこなった時には、現地の人たちからコメントをかなりもらいました。プレイリストにも台湾の曲とかが選曲されていたり、すごく素敵な使い方をしていましたね。離れていてもちゃんとコミュニケーションができる。音楽を通して本人に触れ合いながら音楽を知るということができるようになるんじゃないかなと思っています。Listen withは台湾、香港でも共通で観ることができるんですよ。あまり構えず、例えば寝る前に、自分が聴いている音楽を共有するだけで、実はそれがアジアのリスナーに繋がる。そのフォーマットがKKBOXにはあるので、もっと僕らもPRしていってそのきっかけを一緒に作っていかないといけないと思っています。

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