TRUSTRICKがたどり着いた“トリック”ではない強み「化学反応を継続できている実感がある」

TRUSTRICKの“トリック”ではない強みとは?

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「外せない曲に縛られるのはもうやめてもいい」(神田)

――今回の制作を振り返ってみての感想はどうですか。前作『TRUST』の時は、実はデビューから7カ月しか経っていなかったわけで、まだ不安もあったかもしれません。

神田:『TRUST』の時は、確かに不安もありました。それに心残りもあったし、(デビュー・アルバムの)『Eternity』から7カ月しか空いていなかったので、今考えると上手く畑を耕せないまま作り始めちゃったんです。今回は1年9カ月ぶりで「すごく空きましたね」という話になりますけど、コンスタントにリリースはしてきたので実はそんなに空いたという感覚もなくて(笑)。だからとにかく、今回は満足感や充実感があるんです。私のボーカルは先に録り終わるので、この人(Billy)が地獄だったと思うんですけど(笑)。

Billy:『TRUST』が出て、それからEPを出しましたけど、たとえば『beloved E.P.』は、新録曲が多かったこともあって、自分の中ではアルバムを作るような感覚だったんですね。そして収録内容が『ダンガンロンパ』の関連楽曲づくしだった『Recall THE END』も、「REBORN AT CAUTION AREA -theme of DANGANRONPA THE STAGE 2016-」ではそれまでの『ダンガンロンパ THE STAGE』のテーマ曲からテイストを変えて打ち込みにしてみたり、「永遠 (78th last hope Remix)」のリミックスでは方向性について悩みに悩みながらボサノヴァ×エレクトロに辿りついたりして……。つまり、僕としては『TRUST』以降も、アルバムに近いものを沢山作ってきた感覚だったんです。それを乗り越えたからこそ「つねに新境地でありたい」という思いが強くなりましたし、今回の『TRICK』は、それをクリア出来た3枚目だと思います。ドヤ顔が出来る作品ですし(笑)、小さな成功体験を積み重ねて、その結果出来た作品でもありますね。

神田:それに、今回はボリューム感も含めて満足しているんです。EPの表題曲がすべて収録されると、普通の(アルバム並みの)12曲入りだと知っている曲が半分近くになるので、聴いてくれる人のことを考えて、せっかくなら15曲入りにしたいと思ったんです。でも、それだけ曲を増やすというのはスケジュール的に厳しいところもあって「無理だったら12曲入りにしよう。この曲とこの曲を削ろう」という“プランB”も考えて臨んでいました。そこに発売延期ギリギリまで挑んで勝ったという意味でも、今回は勝利を収めた感がありますね。

――今回『TRICK』というアルバムを作ったことで、TRUSTRICKにとっての「トリックではない部分」が分かったところもありますか?

神田:私が担当している歌詞と歌の面で言うと、今回は(トリックとして)「恋愛」だけに特化したことで、まだ他にも歌えることが沢山あるなって逆に気づかされたというか。ひとつのテーマに特化しきったことで、毎日を過ごしていても「ああ、こういうものも歌詞に出来るかも」と気づくアンテナがより立った感じがしているんです。

Billy:僕の場合は、そもそもずっと大事にしてきたのが、「自分らしいものでありつつ、歌い手が輝くためのメロディラインを作る」ということで。その人だけに合うメロディラインを探し当てて、一緒に作品に昇華していくことを考えてきたんです。さっき「歌の難易度が上がっている」という話がありましたけど、でも何だかんだで神田さんは出来てしまうんですよ。だから、歌い手さんによっては諦めないといけないことがあるけど、TRUSTRICKではそれがあまりない。これは幸せなことだと思うんです。曲を書いているのは自分ですけど、ボーカルに引き出してもらっている部分もあるというか。そういうTRUSTRICKならではの化学反応を継続出来ているという実感があるのは、トリックではない部分なんだと思いますね。

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――アルバムを携えた『TRUSTRICK TRICK TOUR 2016』ではキャリア最大規模となる中野サンプラザでの単独公演も決定しています。神田さんが結成初期に「渋谷のクラブクアトロでやるのが最終的な目標」と言っていたことを考えると、これはもはやエクストラ・ステージですね。

神田:(笑)。もう奇跡の領域ですよ。本当に。

Billy:僕はライブってコミュニケーションだと思っているので、(お客さんの)数が多い/少ないというよりも、ひとりひとりとどれだけ深くコミュニケーションが出来るかが大切で。中野サンプラザでも変に背伸びをせず、1曲1曲楽しんでもらえたら嬉しいですね。あと、ライブはライブでまた違うものになると思うので、アルバムを聴き込んで来てもらえると嬉しいです。ライブなどを通して曲が育っていく過程で、よりコミュニケーション力やユニット力が強いものになっていったらいいなと思いますし。

神田:『TRICK』は15曲なので、まるごとやっても普通のライブの3/4は完成するような曲数です。『TRICK TOUR』としてアルバムの曲を中心にやるとしても、外せない過去の曲との兼ね合いがあって。でも、その外せない曲に縛られるのは考えてもいいのかなと思うんです。「FLYING FAFNIR」をやらなくても、「ATLAS」をやらなくてもトラトリだ!という頑としたものを持ってもいいんじゃないかな、と(笑)。外せない曲は『UNION』でもやることが出来たので、今回のツアーではライブ自体のまとまりや流れに着目してもいいかな、と思います。新しく来てくれた人が、「よく知らなかったけど、すごくいい曲ばっかりだった」と思ってくれるならとても嬉しいですし、とにかく「スッキリ聴けるようにしたいな」と考えているんです。

(取材・文=杉山仁/撮影=三橋優美子)

■リリース情報
『TRICK』
発売:2016年10月26日(水)
価格:Type-A(CD+DVD)¥3,333+税
Type-B(CD)¥2,778+税

<CD収録内容>
01. TRICK feat.chelly (EGOIST)
02. Recall THE END
03. I wish you were here.
04. blur blur
05. pixie
06. mint gum (sugarless version)
07. LOVELESS
08. 星の無い夜
09. beloved
10. 寂しさの宙から
11. innocent promise
12. Honey Complex
13. 未来形Answer
14. So long
15. Proud

<DVD収録内容>※Type-Aのみ
01. I wish you were here. (Music Video)
02. blur blur (Music Video)
03. TRICK Jacket Making Clip
04. I wish you were here. (Making Clip)
05. blur blur (Making Clip)

■ライブ情報
『TRUSTRICK TRICK TOUR 2016』
2016年11月26日 (土) 宮城・仙台darwin  開場 17:00 開演 17:30 席種:スタンディング 問い合わせ:キョードー東北 022-217-7788
2016年12月3日 (土) 愛知・ボトムライン  開場 17:00 開演 18:00 席種:スタンディング 問い合わせ:サンデーフォークプロモーション 052-320-9100
2016年12月4日(日) 福岡・BEAT STATION  開場 17:00 開演 17:30 席種:スタンディング 問い合わせ:キョードー西日本 092-714-0159
2016年12月10日(土) 大阪・なんばHatch 開場 17:00 開演 18:00 席種:全席指定 問い合わせ:サウンドクリエーター 06-6357-4400
2016年12月17日(土) 東京・中野サンプラザホール 開場 17:15 開演 18:00 席種:全席指定 問い合わせ:SOGO TOKYO 03-3405-9999

チケット料金:仙台、名古屋、福岡:スタンディング 5,000円(税込・ドリンク代別途)​
大阪、東京:全席指定 5,800円(​税込)​ ※大阪のみドリンク代別途    
※未就学児童入場不可
チケット一般発売日:11/5(土)10:00~​

■イベント情報
TRUSTRICK 3rdアルバム『TRICK』発売記念イベント
2016年10月26日(水) 池袋 サンシャインシティ アルパB1F噴水広場 18:00~
内容:ミニライブ&握手会 ※観覧フリー
2016年10月30日(日) 渋谷 HMV&BOOKS TOKYO 5F店内イベントスペース 14:00~
内容:握手会&3ショット撮影会

■関連リンク
TRUSTRICK Official Website

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