SHE'S『Tonight / Stars』レビュー
SHE’S『Tonight / Stars』で表現された、“ピアノロック”であることの必然性
一方の「Stars」は、まさに星の輝きのイメージにぴったりなピアノのフレーズとたくましい筋力で駆動するトライバルなバンドアンサンブルが、「Morning Glow」などこれまでのSHE’Sのブライトなサイドのアップデート版として高らかに打ち鳴らされる楽曲。新人としては異例のスピードでドラマ『拝啓、民泊様。』(MBS / TBS系)のオープニングテーマに起用されていることも話題だ。北海道から八戸へフェリー移動した際、闇夜にみた星とその時出会った流星群から「懸命に生きた命が燃え尽きた証として星が輝くなら、僕たちの歌も、僕たちそのものも同じなんだろうと思いました」と、井上はライナーノーツに記している。
ヒーローやカリスマの比喩としての”スター”と比べて、なんて地に足のついた発想なんだろうと思うが、同時に歌詞にはこうある。<憧れを越えて 一歩踏み出すなら 勇気より覚悟が必要だろう>。つまりもっと大きな存在になりたいという素直な野心は、燃え尽きるほど生きて音楽を作るという覚悟から来ているのだ。そして「Tonight」のピアノのリフレインが鎮静を促すものだとしたら、「Stars」のピアノはバンドという船を漕ぐエンジン部のようにたくましい。曲が求めるアレンジに沿ったら自然とこうなったとも取れるが、単に編成の中にピアノが存在しているとか、曲のアレンジの一部としてピアノが入っている曲があるバンドや作品と何かが違うとしたら、井上はまるで双子の兄弟のように自分の声とピアノを肉体と感情に沿って鳴らすミュージシャンだからだと想像する。というか、今回の表題曲2曲でさらにその思いを強くした。
なお、カップリングの「Isolation」では、ハードロック的な曲調でピアノ以外に少々懐かしいオルガン・サウンドを聴くことができ、「君らいったいいくつなの?」とツッコミを入れたくなるのだが、自分らしくあり続けることができないことへの苛立ちと変わることへの覚悟が、緊張感のあるピアノの旋律で表現されている。まさにピアノエモな楽曲だ。
飛び道具やテクニカルな見せ場、もしくは過度な情緒の表現のためじゃないピアノ。SHE’Sがピアノロックバンドである必然がよく分かるシングルだ。
■石角友香
フリーの音楽ライター、編集者。ぴあ関西版・音楽担当を経てフリーに。現在は「Skream!」「NEXUS」「EMTG music」「ナタリー」などで執筆。音楽以外にも著名人のテーマ切りインタビューの編集や取材も行う。
■リリース情報
『Tonight / Stars』
発売:10月19日(水)
価格:初回生産限定盤1形態(CD+DVD)¥1,836(税込)
<iTunes>
・プレオーダー
・「Tonight」先行試聴
・「Stars」先行試聴
・「Isolation」先行試聴
<CD収録内容>
1.「Tonight」
2.「Stars」※MBS / TBSドラマ「拝啓、民泊様。」オープニングテーマ
3.「Isolation」
<DVD収録内容>
Document”The Everglow –chapter.1-”
※2016年7月に行われた東名阪クアトロ対バンツアーのドキュメント映像
<CD購入特典 詳細>
A賞:抽選で各会場150名様を下記スペシャル・アコースティックライブ招待
B賞:抽選で50名様に直筆サイン入りポスタープレゼント
【A賞】
スペシャル・アコースティックライブ ※各会場150名様 ご招待
東京会場
2016年11月23日(祝・水)
OPEN 13:00 / START 13:30
大阪会場
2016年11月26日(土)
OPEN 13:00 / START 13:30
応募締切
2016年10月24日(月)消印有効
※ライブ会場は当選者にのみ案内
※応募詳細は商品封入内チラシ参照
※各会場、入場時にドリンク代500円別途
【B賞】
直筆サイン入りポスター ※50名様へプレゼント