太田省一『ジャニーズとテレビ史』第二十二回:ジャニーズにおける2人組の魅力
KinKi Kidsとタッキー&翼、ジャニーズにおける「二人組」の魅力を分析
かつてジャニー喜多川は、蜷川幸雄と対談したラジオ番組で、「アイドルづくりは人間づくり」であると語ったことがある。「成長しない子はいない」というのがジャニー喜多川の持論だ。
その意味で、ジャニーズJr.が成長していく姿こそが、ジャニー喜多川、ひいてはジャニーズの哲学を物語るものと言っても過言ではない。Jr.時代からの絆をベースに、一歩一歩階段を確実に昇っていくタッキー&翼の姿は、いわばそんな「ジャニーズらしさ」の象徴である。
考えてみれば、KinKi Kidsの二人が『薔薇と太陽』で見せたダンスとバンドのコラボにしても、ジャニーズの歴史をかたちづくってきた二つのパフォーマンススタイルを融合させたものととらえられるだろう。つまり、それもまた「ジャニーズらしさ」のひとつの象徴だ。
二人組であるデュオには、そのシンプルな編成ゆえにジャニーズの理念や歴史がより純粋なかたちで表れるということだろうか。ジャニーズの活動分野は、ますます多彩なものになってきている。そのなかでKinKi Kidsとタッキー&翼は、ジャニーズの忘れてはならない「原点」を、それぞれの魅力的なパフォーマンスを通じて思い出させてくれる存在だといえるだろう。
■太田省一
1960年生まれ。社会学者。テレビとその周辺(アイドル、お笑いなど)に関することが現在の主な執筆テーマ。著書に『中居正広という生き方』、『社会は笑う・増補版』(以上、青弓社)、『紅白歌合戦と日本人』、『アイドル進化論』(以上、筑摩書房)。WEBRONZAにて「ネット動画の風景」を連載中。