『RockCorps』インタビュー

『RockCorps』が提唱する、音楽と社会貢献の新たな結びつき プロジェクト創設者インタビュー

 音楽とボランティアが融合した『RockCorps』をご存知だろうか。これはボランティア活動に参加すると、その後に行われるアーティストのライブに無料で参加することができるという社会貢献プロジェクトだ。2003年にアメリカで誕生し、すでに世界10カ国・34都市で開催され、のべ16万人が参加しているという。日本では2014年より福島にて開催されており、3回目をむかえる本年は、アンバサダーに高橋みなみ、出演者にカーリー・レイ・ジェプセン、ASIAN KUNG-FU GENERATION、HY、Aqua Timezが決定している。今回リアルサウンドでは、来日中のRockCorps共同創設者 兼 CEO・スティーブン・グリーン氏にインタビュー。『RockCorps』が取り組む、音楽と社会貢献の新たな結びつきについて詳しく話を聞いた。

誰でも参加できるのがRockCorps

ーーこのような取り組みを始めたきっかけは?

スティーブン:7人のメンバーでRockCorpsを立ち上げて、そのうちの2人が「なにか音楽を使って世の中に貢献したい」と言ったのがきっかけです。よくあるチャリティーコンサートは参加者がお金を払ってライブを見に行き、集まったお金をNPOなどに寄付するというスタイルですね。そのやり方はチケットを買える人にとってはいいけれど、チケットは高額なものもあり、生活に余裕のある人・買える人のためだけのものになっている。一方、時間は誰にとっても共通。億万長者でも貧しい人でも1日24時間は変わらない。それであればお金ではなく、時間を寄付してもらうのはどうだろうという発想です。そういった、通常のチャリティーと音楽の結びつきとは違うことに挑戦したくて始めました。

ーー誰でも参加できるチャリティーイベントを作り上げたということですね。

スティーブン:そうですね。誰でも参加できるのがRockCorpsです。

ーー開始当初はどのようなアーティストに声をかけていったんですか?

スティーブン:1回目はニューヨークで開催することを決めていたので、ニューヨークで人気があるヒップホップアーティストに声をかけていって、初回から7組のアーティストに参加してもらいました。

ーー参加をお願いするときに苦労されたことは。

スティーブン:あまりにも新しい試みだったので、アーティスト自身、事務所のマネージャーに趣旨を理解してもらうことが難しかったですね。さらに「ライブに出てほしい」ということだけでなく、「ボランティア活動にも参加してほしい」とお願いをしなければいけなかったので、それを理解してもらうのが大変でした。でも今は、レディー・ガガやリアーナなどが参加してくれたことで、その交渉は楽になりましたね。有名なアーティストがたくさん参加して共感してくれているので、昔ほど理解してもらいにくいことはなくなりました。

レディー・ガガ
リアーナ

ーーとくに積極的に参加してくれたアーティストは?

スティーブン:レディー・ガガの影響力や彼女の協力的な姿勢は一番すごかったですね。レディー・ガガは親日家で、日本初開催(2014年)のときにもセレブレーション(ライブイベント)に参加したボランティア対してビデオメッセージをくれました。それは会場に来てくれた人たちのためだけのメッセージだったので広く公開はされていませんが。それくらい協力的で、ボランティアに対する思いが強い人ですね。あとは、バスタ・ライムスというラッパー。見た目は強面な感じだけど、ボランティア活動を一生懸命やってくれました。そのギャップにも影響力がありましたね。彼はRockCorpsのコンセプトにすごい共感してくれていて、ニューヨーク、ロンドン、パリ、ヨハネスブルグ、ロサンゼルスでの開催に参加してくれました。

ーーすごいですね!

スティーブン:彼は自分なりの言葉でボランティアに対する思いを伝えてくれる。その姿勢が素晴らしい。本当に純粋な言葉こそがパワーを持って広がっていくんです。彼のことは大好きです。

ーーライブだけではなく、アーティストもボランティア活動に参加するということもRockCorpsの特徴のひとつです。

スティーブン:音楽だけでメッセージを発することはもちろんできますが、実際にボランティアを体験した人の言葉というのは、よりリアルに伝わる。一昨年、ニーヨが浪江町の仮設住宅でボランティア活動をしましたが、そのときの写真や言葉は世界中に広がりました。音楽の力はもちろん大事ですが、実際にボランティアをすることによる伝達力や影響力は全然違ってくるんです。

ニーヨ
ウィル・アイ・アム

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