メジャーデビューミニアルバム『SUNDAYS』インタビュー

セレイナ・アンが語る、人生の転機と音楽観「小さな一歩を踏み出せたことでここまで来た」

 日本人の父、アメリカ人の母を持つハーフの現役女子大生シンガーソングライターのセレイナ・アンが、7月13日にメジャーデビューミニアルバム『SUNDAYS』をリリースした。セレイナは、今年の4月より『ZIP!』(日本テレビ系)のレギュラーコーナー「あおぞらキャラバン」へ出演。彼女の魅力のひとつである笑顔とポジティブなオーラで、朝から多くの人々に元気を届けている。そんな彼女が人生の転機を迎えるきっかけとなったのが、勇気を出してアップした1本のYouTube動画。一歩を踏み出すことの大切さや前向きな思いを音楽にのせて届けたいと彼女は語る。(編集部)

「自分の思っていることを伝えたい」

ーーまず、音楽を始めたきっかけについて教えてください。

セレイナ:父が若いときに音楽をやっていたこともあって、幼いときから家の中にずっと音楽が流れているような環境で育ちました。音楽が小さい頃から体の一部のような感じだったので、幼稚園ぐらいから「将来、歌をうたう人になりたい」と漠然と思っていたんです。そのときは職業にしたいとまでは考えていなかったけど、なれたら楽しいだろうなと思っていました。それから中学生のときに、YouTubeで見たギターを弾きながら洋楽カバーを歌う女の子に憧れてギターを本格的に始めるようになって。でも、高校生までは音楽をやりたいということを素直に言い出せず、独りで歌やギターの練習をしていました。それから大学生になってすごく視界が開けて、まわりの人たちに刺激されながら「私も音楽をやってみようかな」と改めて思えるようになりました。自分の音楽を外に出していくためにまずなにをしようかと考えたとき、私がギターを始めるきっかけになったYouTubeに動画をあげるということだったんです。

ーー具体的にどのような音楽を聴いていたんですか?

セレイナ:小さいころは、父が好きだった60〜70年代の音楽をたくさん聴いていました。中高にあがって自分でインターネットを使えるようになって、そこで新しい音楽にたくさん出会いましたね。高校生のときにすごく好きになったのは、エド・シーランというUKのシンガーソングライター。私が一番最初に行ったライブもエド・シーランで、彼の『+』という作品が人生の中で一番聴いたアルバムだと思います。

ーー聴いていた音楽から受けた影響は。

セレイナ:音楽性については具体的に思いつかないけど、「シンガーソングライターになりたい」という思いがすごく強くなりましたね。“シンガー”は曲を伝える人、“曲を作る人”は伝えたいことを作る人。誰かの思っていることを伝える人じゃなくて、自分の思っていることを伝えたいと思うようになりました。

ーーご自身で曲作りを始めたのはいつ頃からですか?

セレイナ:誰かに最初から最後までフルで聴かせられるような曲は、大学生になってから作り始めたんですけど、断片的な歌詞は中高時代から書いていて。大学1年生の秋に、小さいライブをする機会があって、そこでオリジナルを歌ったのが初めて私が作った歌を披露した場ですね。

ーーYouTubeを介してご自身の曲を聴いてもらうのと、ライブで披露するのとではまったく感覚が違うと思うのですが。

セレイナ:違いますね。人が目の前にいると、本当に緊張します(笑)。でも反応が目に見えるのがうれしくて。インターネットでは、聴いている人が笑顔になったとしても言葉だけではリアルに伝わってこないから。反応を目の前で見られることは、すごく貴重なことだなと思いました。いったんライブをあまりやらなかった時期もありましたけど、昨年あたりからまた増えてきて、だんだんライブも「緊張」から「楽しい」というふうに変わってきた気がします。

 

ーー『SUNDAYS』についておうかがいしたいのですが、今作はどのように作られましたか。

セレイナ:作っているうちにテーマが見えてきたという感じです。数曲集まったところでテーマが決まって、そのあと何曲かそれにあわせて曲を書きました。

ーー偶然集まった曲から「日曜日」というテーマが見えてきたと。

セレイナ:そうなんです。夏らしいタイトルにしたいなとは思ってはいたんですけど、イメージだけで何となくサマー、ではなくて、しっかりした意味のあるタイトルにしたいという思いもあったので。『SUNDAYS』というのが一番しっくりきました。

ーー1曲目の「Sunday Love」から、サウンド的にも日曜日のドキドキ・ワクワクするような楽しさが表現されています。

セレイナ:「Sunday Love」は、日曜日の朝に片思いをしている男の子に告白をしに行く女の子というストーリーです。私の家から駅までの上り坂とか下り坂とかがひらけているところがあって、実際にその風景を見ながら歩いている女の子をイメージしました。

ーー2曲目「My Own Way」は切なさがありながらも、独特のメロディー展開が耳に残りますね。

セレイナ:これは、土曜日に付き合って数カ月くらいの彼氏に振られて「ちょっと寂しいけど、でも前を向いて歩いていこう」という決意を日曜日にした女の子の曲です。全曲に共通しているんですけど、「前向きな女の子」というのが歌詞のテーマにありますね。作っているときは夢中で出てきたメロディーを書いただけでしたが、客観的に聴いてみるとアルバムの中で一番個性的なメロディーの曲になりました。

ーー3曲目「Sweet Sweet Love」はいかがでしょう。

セレイナ:収録曲の中では「Sweet Sweet Love」だけ作曲家の方からいただいた曲ですね。メロディーが気に入っています。歌詞はレギュラー出演している『ZIP!』の移動中にロケバスの中で書きました。のどかな感じとか、ゆったりしている感じとか、川辺とか、ロケバスの窓から見た情景そのもので、東京で暮らしていたら出てこないような恋愛観の曲が書けたと思います。

ーーもともとあるメロディーに歌詞を乗せるのも、今回初めての経験だったんですよね。

セレイナ:そうですね。誰かの力を借りて曲を作るときもありますが、基本的に私がその場にいて一緒に作るというスタイルなので、まるごとできているものに歌詞だけつけるというのは初めてでした。でも、この曲も「私らしい」というか、歌っていてすごく楽しくて。自分で作った曲を歌っていくというスタイルは大切にしたいと思っていますが、私が尊敬するどのアーティストもーー例えばビートルズでも、はじめは提供してもらった曲を歌っていたことを考えると、私の今回の経験も曲づくりの刺激になったし、自分にとってプラスになったと感じています。

ーーそして4曲目「So in Love」では、しっとりとした曲調でセレイナさんの歌声を聴かせます。

セレイナ:「So in Love」は、タイトルが決まってから断片的にできていたフレーズをつなげて完成させました。この曲は遠距離恋愛がテーマで、男女間だけではなくて家族や友達が離れ離れになったり、それこそペットと人間……今のそら(『ZIP!』でセレイナと旅をしている犬)と私みたいな状況だったり。いろいろな愛情のかたちがあると思うんですけど、大好きな人が離れた場所にいるということをイメージして書きました。

ーー5曲目と6曲目は前向きなメッセージが詰め込まれていますね。曲を通して「女の子を応援したい」というセレイナさんの前向きな思いがとても伝わってきました。

セレイナ:「CHANGE」はガールズパワー満開!な曲だと思うんですけど、私の実体験をもとに曲にしました。変わりたいのに、変われるタイミングが来ると一歩引いちゃうというか。それって女の子特有の悩みだと思うんです。私も高校生のときは音楽をやる機会があっても「ああ、大丈夫です、いいです」と引いてしまっていたけど、大学生になってYouTubeに動画を1本上げるという、その小さな一歩を踏み出せたことで今日ここまで来たので。その“一歩”をほかの女の子にも踏み出してほしいなという気持ちをこめて、「CHANGE」というタイトルで応援ソングのような曲を書きました。自分が本当に体験したことを言葉にすると説得力があると思うし、「CHANGE」「19」はリアルな言葉で書くことができたので、みんなに伝わってほしいなという思いが強いですね。

ーーこのアルバムを通して聴くと、日曜日を明るく過ごしているような曲と自分と向き合う時間を表現するようなしっとりとした曲が交互に現れて、女の子の日常が過ぎていくようで面白かったです。

セレイナ:ありがとうございます。曲順もどういう順番にするかすごく悩んで、プロデューサーさんたちとお話しして決めました。私、聴き手によって捉え方が違う歌って、すごく素敵だなと思うんです。抽象的じゃないですけど、全員が全く同じようなイメージが浮かぶんじゃなくて、聴いた人それぞれが、それぞれの風景を浮かべて聴くことができるというか。そうやって聴いてもらえるのは嬉しいですね。

セレイナ・アン - Sweet Sweet Love (MV short ver.)

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