ニューシングル『サラバ アタエラレン』インタビュー

KEMURI 伊藤ふみお&津田紀昭が明かす、不屈の音楽精神「未来は明るいと言いたかった」

 

こういう時代だからこそKEMURIだろう」(伊藤ふみお)

ーー「Dancing in MOON LIGHT」は、どんな気持ちで書いた曲ですか?

伊藤:この曲は、落ち込んでいる友だちに「元気出せよ」って声をかけたいんだけど、面と向かってはなかなか言いにくいので歌にしたもの。太陽の下でガンガン踊るっていうより、青い月明かりの下で静かに踊るような、そんな感じの曲です。そういうテーマで書いてたら、熊本の地震が起きて……。日々当たり前に過ごすことすらままならなくなった方々が、またこんなに増えたのかと思ったら、ちょっと考え込んでしまったんですよね。「音楽やってる場合なのかな」って思った瞬間もあったし。

ーーそうだったんですね。

伊藤:それで、しばらく歌詞が書けずにいたんですけど、でもこういう時代だからこそ音楽だろう、こういう時代だからこそKEMURIだろうって、徐々に思えるようになってきた。僕らの音楽を聞いて、少しでも元気になってくれる人がいるならやるべきだろうって。この曲には、そんな気持ちも込めて完成させました。

ーー振り返ってみると、阪神淡路大震災があった95年にバンドを結成し、04年に新潟県中越地震が起きたときにはKEMURI主催のチャリティ・イベント「YOUGO」を立ち上げ、11年の東日本大震災を機にKEMURIは再結成を果たし。そして今回は熊本の地震と、その都度「音楽の意味」みたいなものを考えさせられた感じですか?

津田:ありきたりな言い方かもしれないけど、音楽って、どうしようもない精神状態のときに、元気づけてくれるものじゃないですか。今日もNHKの番組を見てたら、震災の後ピアノの音だけで気持ちがあたたかくなって、元気が出てきたっていうのをやってたんですよ。ピアノの音一つで落ち込んでいる気持ちを救ってくれるのであれば、KEMURIにだって貢献できることはあるんじゃないか? と。まあ、一生懸命曲を作ってレコーディングして、ツアーを回ることくらいしか僕らにはできないのだけど。それが伝われば嬉しいですね。

ーー今年は海外進出にも力を入れていきたいとのことですが。

伊藤:昨年4月にカリフォルニアのみでライブを行ったのだけど、今回は9日間で9公演。デンバーから始まって、ラスべガスとかアリゾナの方へ行って、最終的に太平洋側を北上してシアトルで終わるというスケジュール。10月はレス・ザン・ジェイク(米国フロリダ州のスカコア・バンド)と一緒に初UK上陸します。念願のUKツアー! それに、米国のツアーもコーチ(長距離バス)で移動するからこれも楽しみなんですよ。ここに来て結構、夢が叶ってる(笑)。コーチの中はこんな感じで……(と、写真を見せてくれる)。

ーーおお、すごく広い! この中で寝泊まりや食事も出来るんですね。

伊藤:そうそう。最初にデンバーで、次にラスべガスだから、800マイル(1300キロ)くらいあるのかな(笑)。ライブ終わってコーチに乗り込んで、寝て起きたら到着しているっていう。快適だよね。

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