1stフルアルバム『good morning』インタビュー
藤原さくらが語る、プロとしての覚悟と成長「歌っている瞬間がいちばん輝いている」
2015年3月にミニアルバム『à la carte』でメジャーデビュー。オーセンティックなカントリー、ブルースのテイストをポップに昇華した楽曲、アコースティック楽器の響きを活かしたサウンドメイク、キュート&スモーキーなボーカルによって、幅広い年齢層の音楽ファンの支持を得ている藤原さくら。史上最年少の20歳でBillboard LIVE TOKYOでのワンマンライブを開催するなど、そのステージングにも評価がある彼女から1stフルアルバム『good morning』が届けられた。先行配信曲『「かわいい」』を含む本作には、YAGI&RYOTA(SPECIAL OTHERS)、Curly Giraffe、高田漣、Ovallからmabanua、関口シンゴ、Shingo Suzukiの3人、青柳拓次(Little Creatures)などのプロデューサー陣が参加。シンガーソングライターとしての彼女の魅力を存分に引き出すことに成功している。「1曲1曲に真摯に向き合えた」という彼女自身にとっても、ターニングポイントとなる作品と言えそうだ。(森朋之)
「いま出来る限りのベストを尽くせた」
ーーまずは今年1月9日に行われたBillboard LIVE TOKYOのライブについて。あの会場でワンマンライブを行ったアーティストとしては、史上最年少だったそうですね。
藤原さくら(以下、藤原):そうみたいです。ライブが始まる直前に「最年少では?」という話になって、「あ、そうなんだ」って思いながらステージに出ていって(笑)。Billboardでライブをやるのはひとつの夢だったし、すごく嬉しかったですね。緊張もしましたけど、歌い始めたら大丈夫でした。バンドの方々(菱山正太(Key)、SPECIAL OTHERSの宮原“TOYIN”良太(Dr)、柳下“DAYO”武史(G)、SOIL&“PIMP”SESSIONSの秋田ゴールドマン(B)、スペシャルゲストとしてCurly Giraffe、高田漣)も素晴らしい方々でしたから。
ーーそして2月17日には1stフルアルバム『good morning』がリリースされます。
藤原:1曲1曲に真摯に向き合えたし、いま出来る限りのベストを尽くせたアルバムだと思いますね。楽しくレコーディングできたし、すごくいいものが生まれて。万々歳です!
ーーアルバムのタイトルもそうですが、朝をイメージさせる曲が多いですね。
藤原:最初からテーマを決めていたわけではないんですよ。(アルバムの収録曲は)『à la carte』のリリース後に作った曲がほとんどなんですけど、この1年は、朝、曲を書くことが多かったんですね。夜に曲を書くと暗い感じになることが多いんですけど(笑)、日が昇ってる時間に作るようになってから、明るい曲が増えてきて。そこから「good morning」というタイトルが決まって、アルバムの方向性が固まってきた感じですね。あと、19歳から20歳になったことも大きかったですし。
ーー20代の最初のアルバムでもありますからね。
藤原:そうですね。思い描いていた20歳とはだいぶ違ってますけど…。私、小学校の頃にYUIさんに憧れてたんですけど、当時のYUIさんはちょうど20歳くらいだったんです。すごく大人なイメージがあったし、「こんなふうになりたい」と思ってたんですけど、実際に自分がその年齢になると「あまり変われてないな」って思ったり。私の場合は年齢のことよりも、福岡の親元を離れて、独り立ちしたときに大人っていうカテゴリ—に入ったのかもしれないですけどね。ただ、20歳になると世間の目も変わってくると思うんです。いままでは「10代の子が大人っぽい音楽をやってる」って言われることが多かったけど、そうじゃなくなったわけだし。それでも聴いてもらえるのが、いい音楽だと思うんですよね。
ーーデビューからの1年で音楽に対する取り組み方も変わってきた?
藤原:そうですね。ライブもいろんなところでやらせてもらえたし、ステップアップできた1年だったと思います。楽器に対する興味もさらに湧いてきたんですよ。いろんな音楽を聴くなかで「これは何の音だろう?」って自分なりに研究したり、まわりのミュージシャンの方々に「ウーリッツァー(エレクトリックピアノ)を買うとしたら、どこで買えばいいですか?」って質問したり。足元(エフェクター類)のことも以前はよくわからなくて、「まあ、アコギだからいいか」っていう感じだったんですけど、最近はギターの音作りもしっかりやろうと思うようになりました。音楽の細部にまでこだわりたいなって。
ーー前は気付けかなったところにも意識が届くようになったのかも。
藤原:少し余裕が出てきたのかもしれないですね。ずっと楽しんでやってたんですけど、“いっぱいいっぱい”になることも多かったので。気持ちにも余裕が出来たから、明るい曲が増えたのかもしれません。アレンジのやり取りも、いままでは「お願いします!」ってお渡しして、返ってきたものに一生懸命ついていくだけだったんですけど、今回は自分から「こうしたいです」ということもだいぶ言えるようになって。そこはかなり変わりましたね。