空想委員会が語る、チームの結束と音楽への自信「自分の素を出した方が、お客さんと向き合える」

空想委員会が語る音楽への自信

 自ら「低恋愛偏差値」と名乗り、ダメダメなラブソングを歌う3人組ギターロック・バンド、空想委員会が、メジャーデビュー作となった『種の起源』からおよそ1年半ぶりとなる2ndアルバム『ダウトの行進』をリリースする。シンプルなギターロック・サウンドだった前作とは打って変わり、今作では様々な音色を散りばめたバラエティ豊かなアレンジを展開、バンドとしての引き出しの多さを見せつけている。また、ヴォーカル三浦隆一の書く歌詞の世界も、音楽への感謝を歌にした「ミュージック」をはじめ、自らの死生観と真っ向から向き合った「新機軸」、Perfumeにインスパイアされて(!)書いたという「ワーカーズアンセム」など、内向きの妄想系ラブソングばかりでなく外の世界へと目を向けた楽曲がグッと増えているのが印象的だ。メジャーデビューから1年以上が過ぎ、活躍の場を広げていくことによって、3人の見える景色も変わりつつあるのだろうか。『安全かつ健全にはしゃぎ、全員で楽しむ事』をテーマにしたライブも、着実に成果を上げているという空想委員会。彼らに新作についてはもちろん、心境の変化や自らの結婚観(?)など、ざっくばらんに語ってもらった。(黒田隆憲)

「届いた先の顔も見えるようになった」(三浦隆一)

ーー前作『種の起源』でメジャーデビューを果たして、1年半以上経ちます。自分たちを取り巻く環境はどのように変化しましたか?

岡田典之(以下、岡田):ここ最近は、お客さんの年齢層が広がりましたね。今まで見に来てくれたファンの子たちの、親御さんとかあるいは妹さんとか。そういう幅広い年齢層に広がっているのが、やっていて如実にわかりました。

佐々木直也(以下、佐々木):僕らは、ライブのテーマとして『安全かつ健全にはしゃぎ、全員で楽しむ事』を掲げているので、そこが認知されてきたのかなって思います。初めて見にきてくれた人も、以前からのファンの人も、みんなで楽しめるような空間づくりっていうのを心がけているから、「空想委員会のライブだったら、子どもたちが見に行っても心配ないな」って考えてもらえるようになってきたのかもしれないですね。「娘と一緒にライブを見に行って、それから親子の会話が増えました」という感想をもらったり、車椅子で遊びに来た人も一緒になって楽しめる空間を、お客さんたちが率先して作ってくれたりしたのが、とても嬉しいです。

三浦隆一(以下、三浦):今までは、バンドが何か一つアクションを起こしても、うまく伝わらなかったり、長続きしなかったりすることが多かったんですけど、最近は手応えも感じるし、届いた先の顔も見えるようになったので、やり甲斐みたいなものも感じますよね。バンドとして存続させてもらっているような、そんな気持ちもあります。「生かされている」というか。

ーー「観客ゼロ」だった頃と比べたら……(笑)。

三浦:もう、全然違いますよね(笑)。いてくれるだけで、感謝しかないです。最近は歌う内容も変わってきていて。それは、今言ったように「届ける相手」が見えてしまったので、その相手に「何を届けるのか?」、「どう届けるのか?」っていうのを、考えざるを得なくなったんです。お客さんだけでなく、メンバーに対する責任もありますし、スタッフさんに対してもある。責任だらけなんですけど(笑)、責任を「与えてもらっている」とも感じるので、そこに応えつつ、そこを超えなきゃなっていう意識もありますね。自分にプレッシャーを与えながら作業していくことが多くなったというか。

ーープレッシャーが、モチベーションにもなっている感じですね。

三浦:そうですね。必要のない人間だったら、責任感なんて与えてもらえないと思うので。

ーー主に佐々木さんと岡田さんが手がけているサウンド面も、『種の起源』から大きく進化しましたね。

岡田:「前作とは大きく変えていこう」というふうに、最初から考えていました。新しい音もどんどん取り入れているし、曲調に関しても今までやってなかったことにどんどん挑戦していきましたね。

ーー確かに、ギターバンドというフォーマットにこだわらない曲が増えました。

佐々木:僕の曲に関しては、例えばグロッケンシュピールのような音を入れたり、インスト曲「Silver Bullet -instrumental-」では、KORG KAOS PADで音を重ねたりしました。バンドサウンドでは出来ないものを作りたかったんですよ。他にも、シングル曲ではバイオリンを入れてるし、「物見遊山」では、「なんじゃこの音?」って驚くような音を入れています。「新機軸」のギターソロの前では、ポール・ギルバート(Mr.Big)にインスパイアされて電動ドリルの音をピックアップで拾って録りました(笑)。

ーー他にインスパイアされたことはありましたか?

佐々木:僕の場合は、ライブ映像が多いかもしれないですね。ライブで盛り上がる曲を書きたいときは、誰かのライブ映像を見ながら書くんです。音声を消して、そこに自分で作った曲を当てはめながら(笑)。普段よく聞いていたのは、フォール・アウト・ボーイとかマルーン5とか、テイラー・スウィフトとか。結構アゲアゲの曲ですね(笑)。

三浦:今回のアルバムだと、「ワーカーズアンセム」は完全にPerfumeですね。僕は広島にPerfumeさんのワンマンを見に行って、そのときに観たライブがあまりにも凄すぎて。特に「だいじょばない」に衝撃を受け、それを空想委員会でやりたい!と思って作った曲なんです。遅い4つ打ちのビートで、Perfumeに提供して踊ってもらえるような曲、っていうイメージを勝手に想定して作りました。

佐々木:「ワーカーズアンセム」のレコーディングのとき、三浦くんメッチャ楽しそうだったよね(笑)。

三浦:それこそPerfumeさんのライブ映像に、「ワーカーズアンセム」を重ねて喜んでました(笑)。

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「インタビュー」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる