丸本莉子が見せた多彩な顔 メジャーデビュー後初のワンマンライブを観た

 丸本莉子が12月3日、メジャーデビュー後初となるワンマンライブ東京公演「丸本莉子ワンマンLIVE〜ココロ予報 雨のち晴れ〜」を渋谷TSUTAYA O-EASTにて行った。

 ビクターエンタテインメントが設立した新レーベル「AndRec」の第一弾アーティストとして6月に「ココロ予報」でハイレゾ配信デビューをした彼女。デビュー以降、イベントへのライブ出演は多数あったが、わずか半年で1000人キャパを超える会場でのワンマンに辿り着いた。そのライブは、彼女の地元広島で路上ライブをしていた時の弾き語り、バンドセット、同郷の先輩ミュージシャン・手島いさむ(ユニコーン、電大)とのスペシャルセットなど、様々なパフォーマンスがあり、シンガーソングライターとしての多様な魅力を観ることができた。

 会場には丸本と同年代くらいの女性、会社帰りのスーツの男性、子供を連れた親子など幅広い層のファンが詰めかけていた。ファンの大歓声で迎えられた丸本は、「歩いてゆけ」「片思いライダー」とポップな楽曲でライブをスタート。筆者は7月に行われたスタジオライブ「丸本莉子 LIVE at Victor Studio『一本勝負!!』」も観たのだが、その時の緊張した表情とは違い、フロアの隅々、2階席にも目を配り、手拍子を誘ったり、はつらつとした表情で堂々と歌う姿があった。

 その後のMCで語られていたように、彼女はメジャーデビュー前に地域活性化プロジェクトに参加し、日本全国を歌い歩いてきた経験を持つ。「初めて訪れる土地でもその土地の良さを知って、心から楽しんで、本当にいいと思ったものをそのまま素敵ですと伝える」とインタビューでも話していたが、彼女の歌は、そんな真っ直ぐな思いと人と接することでその魅力を増す力があるのかもしれない。高知県観光特使に就任し、「2016奥四万十博」のテーマソングに書き下ろした「がんばる乙女〜Happy smile again〜」では“女子旅”をキーワードにした応援歌を歌い、伸びやかで温かみのある歌声が印象的な「やさしいうた」は家族や、聴く人にとっての大切な人を想う歌を歌う。デビュー曲となった「ココロ予報」は、“自分と一緒に頑張ろう”と観客の心に寄り添うように歌う。誰かに宛てたそれらの歌は、ライブという生の場で届けられることによって、より楽しく、温かく、切なくも感じられた。

 

 中盤は、手島いさむを招き、2人による息のあった弾き語りで「YOU」を披露。丸本の楽曲の中で一番のハイテンションナンバー「ご機嫌ベイベー★」では、手島のギターソロも飛び出し、観客を盛り上げた。そして、12月16日に配信リリースとなる「つなぐもの」も初披露。「ご機嫌ベイベー★」から一転バラードを聴かせ、恋愛中の矛盾を抱えた感情を歌い上げる。切なさがある楽曲だが、ぬくもりを感じるのは彼女の独特の安らぎのある歌声によるところがあるのだろう。聴き入るように静かにステージで歌う丸本を見つめる観客を見ていると、「つなぐもの」には丸本莉子の表現者としての魅力が詰まっているように感じた。

 

 アンコールでは、タイトル通り「なんて歌って素敵なんでしょう」をファンと一緒に大合唱。ラストは「心のカタチ」を〈枯らさないで笑顔の花〉と笑顔で歌い締めくくった。東京でのこれまでの最大キャパでのワンマンライブだったが、軽快なトークでファンと共に楽しむ姿や様々な楽曲でリスナーの心に寄り添う歌を歌う彼女を見ることができた。その堂々たるパフォーマンスはさらに大きな会場で、観客を巻き込み歌う丸本莉子の姿を想像できるものだった。

 

(文=高木智史)

「丸本莉子ワンマンLIVE〜ココロ予報 雨のち晴れ〜」
12月3日@渋谷TSUTAYA O-EAST
【セットリスト】
1.歩いてゆけ
2.片思いライダー
3.愛した人
4.がんばる乙女〜Happy smile again〜
5.やさしさに包まれたなら
6.てるてるBOY
7.やさしいうた
8.コトバ
9.YOU
10.ご機嫌ベイベー★
11.つなぐもの
12.愛しい日々
13.青春ヒーロー
14.ココロ予報
〈アンコール〉
1.なんて歌って素敵なんでしょう
2.心のカタチ

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