兵庫慎司の『Deka Vs Deka〜デカ対デカ〜』視聴会レポート
マキシマム ザ ホルモン『Deka Vs Deka〜デカ対デカ〜』視聴&試聴会に行った! 行ったけれども!
マキシマム ザ ホルモンのDVD&Blu-ray&CDボックス(という呼称でいいのだろうか)『Deka Vs Deka〜デカ対デカ〜』。そのリリース日=11月18日の半月前、10月31日土曜日。ホルモンの所属レコード会社であるバップの会議室にて、音楽メディア関係者を対象とした本作の視聴会(試聴会でもある)が行われた。
僕は『予襲復讐』のブックレットの解説を書いたのだが、その時、まずレコーディングスタジオに呼び出され、行ったらマキシマムザ亮君が待ちかまえており、マンツーマンで1曲ずつみっちり本人の解説と共に大音量で音を聴き続ける、ということになり、5曲目くらいで「ちょ、ちょっと待って亮君、これなんの時間? 俺は何をすればいいの?」と訊き、ようやくこれが解説文の依頼であることを知った──という経験をしているので、ホルモン関連なら少々のことでは驚かない自信があったのだが、木っ端微塵に打ち砕かれた、参加して。
当日の集合時間は朝10時。集まったのは計10名。リアルサウンド編集部久蔵、そのライターである私、ロッキング・オンのいろいろえらい人=山崎洋一郎、ロッキング・オン・ジャパン副編集長小川智宏、あとの6人は面識ないが間違いなく同業者。
会議室には大型のテレビモニター、その前にテーブルが3列。1列目と2列目は3席、3列目は4席。「山崎さんはそこにどうぞ。あ、兵庫さんはこちらに」と、座る場所も指定される。席につくと、卓上には「銀座十石」のおむすび弁当と水、あとお菓子の入ったカゴが。部屋の隅にはコーヒー等のドリンクも用意されている。手厚い。
そして。正面のテレビモニターの両側に、我々の方を向いたマイクが左右に2本と、映像カメラが1台。どういうことかは言うまでもない。別室で亮君が我々を見ているということだ。
時間になり、視聴が始まった。やはり亮君は別室にいて、こちらの様子を見ながら、その内容について、解説や案内を入れてくれる(地底人のようにエフェクトがかかった声で)。
視聴会が終わる頃には、僕はボロ雑巾のようにクッタクタになっていた。「爆笑」「激笑」「失笑」と「驚愕」「仰天」「茫然」「あるいは呆然」が、次から次へと息つく間もなく襲いかかってくる時間だったからだ。この作品の、画期的にもほどがあるし常識破りにもほどがある内容に、そのラジカルさに、そしてありえなさに、深く驚き、激しく興奮しながら、しかし同時にわきあがる疑問を、僕は抑えられなかった。
なんのためにやったの? この視聴会!
というのもですね。この視聴会で我々が何を観たのか、どのような体験をしたのかについて、ちょっとでも書いた瞬間にネタバレになってしまうのです。ちょっとだけでもです。いかなる角度から、いかなる表現で書いても、です。レコード会社に「ネタバレなしでお願いします」とか言われなくても、「バラさんわ! だいなしじゃんバラしたら!」と言いたくなるレベルで、です。
ただ、なぜ作り手側が視聴会を催したのかは、とても理解できた。「アドバンスのサンプル盤を渡すので各自で観てください、それで何か書いてください」ということが不可能な作品だからだ。もうひとつ言うと、「視聴会やります、みなさん集まって観てください」というだけでも不充分だ。というか、それでは視聴会が成立しないのだ。わざわざ亮君が立ち会って解説しないことにはどうしようもない、そういう作品なのだ。
いかがでしょう。何を書いてるんだかさっぱりわからないでしょう。なんなんだおまえは、と言われてもしかたないと思う。本当に、心の底から申し訳ないのだけれども、そうとしか書きようがないのだ。発売になって作品に触れれば、「こいつがここで書いていたの、そういうことだったのか!」と、わかっていただけると思います。