chayが新曲で挑んだ、昭和歌謡とJ-POPの接続「音楽の奥深さに触れて意識が変わりました」

「録音方法も当時のやり方を再現した」

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――「好きで好きで好きすぎて」は、サウンド面でもかつての歌謡曲のように生音を多用していて、かなりこだわりを感じます。

chay:リアルタイムで歌謡曲を聴いてきた方に懐かしさを感じてもらうには、中途半端ではダメだと、細部まで徹底して作り込んでいただきました。録音方法も当時のやり方を再現していて、例えばストリングスのパートなら、十数人の方に集まってもらって、一度に演奏して録音するんです。現場を見学させていただいたのですが、その生音の厚みと迫力は本当にすごくて、鳥肌が立ちました。さらに、アナログテープに一度録音してからデータ化したり、ドラムパートのパンをあえて不均等にしたりと、多保さんのこだわりが随所に発揮されています。その辺りは、第1次ブリティッシュ・インヴェイジョンの頃のビートルズのサウンドも意識されていたみたいです。多保さんのこだわりは本当にすごくて、妥協というものを一切しないんです。その姿勢に脱帽するとともに、音楽の奥深さに改めて触れて、意識が変わりました。

――この曲にはとても臨場感がありますよね。ところでchayさんは、歌謡曲とJ-POPにはどんな違いがあると考えていますか?

chay:コード進行もそうですし、メロディラインやサウンドの作り方も、歌謡曲とJ-POPでは違いがあると思います。譜割もそうですし、小節を効かせる歌い回しなんかもそう。歌詞も最近のJ-POPとは違っていて、日本語で滑舌良くはっきりと歌って、物語や情景が浮かびやすいのが歌謡曲の特徴で、魅力的なところなんじゃないかなって考えています。滑舌の悪さに関しては自分自身、コンプレックスを感じる部分でもあったので、そこをどう克服するか、それこそ多保さんと千本ノックのような感じで猛練習しました。

――なるほど、興味深いですね。歌謡曲がJ-POPと呼ばれるように変わっていく過程で、洋楽っぽい節回しにするためにわざと日本語を英語っぽく発音したり、歌詞の一部を英語にしたりといった工夫が凝らされてきた面もあると思うのですが、今作ではそれとは逆に日本語ならではの発声や抑揚を重視している。

chay:そうですね。最近では歌謡曲とJ-POPは別々のジャンルのようにも捉えられていますが、J-POP自体はもともと歌謡曲から派生しているものですし、そこには本来、境界線はないと思うんです。だからこそ、両者をつなぐ存在になれたらなと思っています。

――いっぽうで、この曲はいまのJ-POPとしても新鮮に聞こえます。その“新しさ”はどの辺にあるのでしょう。

chay:歌詞の中の語尾は歌謡曲らしく仕上げているのですが、書く内容については自分のリアルな心情や、友達から聞いた恋バナをベースにしたりしているところが、ポイントかもしれません。同世代の女の子に共感してもらえるように、今の恋愛感覚や情景を描くように気をつけました。語尾とかが今の言語感覚とはちょっと違うので、ちゃんと共感してもらえるか不安な面もありましたが、コメントなどを見させてもらっていると同世代の女の子にも響いているみたいで安心しました。

――たしかに「ノーメイク見せるのね」というフレーズとか、面白いですよね。「ノーメイク」はいまの言語感覚だけど、「見せるのね」は昭和歌謡の雰囲気が漂っています。歌詞を共作したいしわたり淳治さんとはどんなやり取りを?

chay:まずは打ち合わせで私が「次はこういう内容で書きたい」とアイデアを出すところから始まったのですが、その擦り合わせをするのにかなり多くのやりとりをしました。「あなたに恋をしてみました」は好きな人ができて恋の魔法にかかる歌だったので、その続編として、実際にカップルになったときに一番ドキドキするシチュエーションとして、初めての旅行を描きたかったんです。初めての旅行は女の子にとってすごく嬉しいイベントだけど、寝相が悪くて嫌われないかとか、ノーメイクを見られるのは恥ずかしいとか、不安も多く、気持ちが忙しくて、居ても立ってもいられないはずだなと思い。だから、そういう心境を描きたかったのですが、その時の打ち合わせのメンバーはいしわたりさんも含め全員が男性だったので、なかなかその気持ちが伝わらなくて(笑)。でも、いしわたりさんは乙女心に理解を示してくださって、完成するまで何度も付き合ってくださいました。

――すごくチャーミングな歌詞になっていると思います。では最後に、この楽曲の中で一番気に入っているポイントを教えてください。

chay:歌詞も楽曲ももちろん全部好きですが、あえてポイントを挙げるならハープの生音が入っているところですね。やはり生音でないとあの臨場感は出ないと思うんです。天にも昇るような乙女のわくわく感を、見事にハープで表現されています。ラストのサビ前に、これでもかというぐらい入れてもらっているのですが、その間奏には、まさにこの曲で伝えたいことが詰まっているんです。恋する乙女心をきっと感じてもらえると思うので、ぜひ耳を澄まして聴いてもらえると嬉しいです!

(取材・文=松田広宣)

『好きで好きで好きすぎて』MV

 

■リリース情報
『好きで好きで好きすぎて』    
発売:10月21日(水)
価格:初回限定盤(CD+DVD)¥1,500(本体)+税
   通常盤(CD)¥1,200(本体)+税
<収録曲:初回限定盤>
1.好きで好きで好きすぎて
2.笑顔のグラデーション
3.Celebrate You
<DVD収録内容>
chayのON&OFF 密着映像
extra~ハートクチュールツアー@AKASAKA BLITZ digest

<収録曲:通常盤>
1.好きで好きで好きすぎて
2.笑顔のグラデーション
3.Celebrate You
4.AS TEARS GO BY(Acoustic Ver.)

初回限定盤/通常盤初回プレス分 封入特典
「好きで好きで好きすぎて」リリース記念イベント 握手会参加券 
2015クリスマスライブツアーCD先行受付案内

<配信情報>
iTunes
https://itunes.apple.com/jp/album/id1041706628?app=itunes&ls=1
※iTunes は、米国およびその他の国で登録されている Apple Inc. の商標です。
レコチョク
http://recochoku.com/w0/chay_sukide/
 
■『好きで好きで好きすぎて』リリース記念イベント
10月21日(水)18:00スタート 東京:池袋サンシャイン噴水広場 
10月22日(木)18:30スタート 愛知:アスナル金山 明日なる!広場 
10月24日(土)12:00スタート 大阪:あべのキューズモール3Fスカイコート
10月24日(土)18:30スタート 福岡:キャナルシティ博多 B1Fサンプラザステージ
10月25日(日)14:00スタート 埼玉:コクーンシティ コクーン2 コクーンひろば

■chayクリスマスツアー
『chayメリクリツアー2015~みんなのことが好きで好きで好きすぎるから~』
12月17日(木)大阪 なんばHatch(OPEN 18:00/START 19:00)
12月19日(土)品川プリンス ステラボール(OPEN 17:00/START 18:00)
12月25日(金)名古屋ダイアモンドホール (OPEN 17:30/START 18:30)

■関連リンク
chayホームページ
http://wmg.jp/chay/

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