『SUMMER SONIC 2015』を振り返る 柴那典「ポップミュージックの見取り図が描かれていた」
サマソニでは毎年、アイランドステージでアジアの音楽を紹介する試みを行っている。
「どうやらサマソニは、アジア系の来場者が多いようです。会場の案内図を見ても、英語、中国語、韓国語が揃えてあります。そのような傾向からしても、先日のインタビューにあった『アジア最大の音楽見本市』という考え方は、とてもいい方向なのではないでしょうか。世界の最前線のポップミュージックを観れるその脇の小さなステージで、誰も知らない、でも『きっとディアンジェロの音楽に影響受けてるよね』というバンドを見ることができる。それがすごくいいことだなと思います。また、マジック・パワー(MP魔幻力量)も印象的でした。いわゆるイマジン・ドラゴンズのようなEDMとROCKを融合した台湾のバンド。今回このアジア勢3アーティストを知ることができたのはとても良かったです。特にマジック・パワー(MP魔幻力量)は、日本で人気になってしかるべきポテンシャルを持っているバンドですし、そういうところを今の段階でおさえているブッキング力もさすがだと思いました」
各国の新たなポップミュージックを提示していくという姿勢が、実はアイランドステージのラインナップに詰まっているという。
「メインであるマリンステージの外周にあるアイランドステージは、来場者がふらっと歩いているときに目につくエリア。そこでアジア各国の音楽を鳴らしているところが、実は今のサマソニの試みの象徴的な部分なのかもしれません。アジア各国のバンドにとってサマソニが「憧れのフェス」になっていけば、それは素晴らしいことだと思います。そのようなたくさんの種が撒かれていたのが印象的でした」
海外のヒットチャートを体感できるようなアーティストをはじめ、日本の音楽シーンでの多彩な顔ぶれや、アジアの注目アーティストが集結した今年のSUMMER SONICは、ポップミュージックの新たな楽しみ方を提案する要素がより強いものとなった。今回の開催は『音楽見本市』から一つ抜きん出た『ポップミュージック全体の見取り図を示す』役割を果たしたものとなったのではないだろうか。
(文=久蔵千恵)