今年のフジロック、要注目の洋楽アクトは? 小野島大が45組をフル解説

7月26日

<GREEN STAGE>

NOEL GALLAGHER'S HIGH FLYING BIRDS

 我らがノエルが再び苗場の地に降り立ちます。2作目『チェイシング・イエスタデイ』ツアーのファイナルになるとも噂される今回のフジでは、ノエルのキャリア総決算的な内容になりそうです。

Noel Gallagher's High Flying Birds - Ballad Of The Mighty I

RIDE

 シューゲイザーの先駆…というよりはメロディアスで叙情的で青春的なUKギター・バンドの伝統の系譜に位置づけたいライド。まさかの再結成から1年、ライブもだいぶこなれてきてる様子。このデビュー曲から25年。すっかりおっさんになった彼らははたしてどんな演奏を聞かせてくれるのでしょうか。

Ride - Chelsea Girl

JOHNNY MARR

 ストーン・ローゼズは再結成した。ニュー・オーダーはもうすぐ新作が出る。ハッピー・マンデイズは今年のフジにくる。オアシスはわからない。そして残念ながら、もっとも再結成の可能性が低そうなのがザ・スミスです。しかしこうして偉大なギタリストがフジロックに来てくれるんですから、文句は言いますまい。これは彼にとって2枚目のソロとなる『プレイランド』からの曲。張りのある歌唱と演奏が好調ぶりを伝えます。

Johnny Marr - Dynamo

CATFISH AND THE BOTTLEMEN

今もっともホットなバンドと言っていいでしょう。着々と駆け上がってきたウェールズの4人組は、英国ギター・ロックの王道を行くサウンドで世界各地のフェスを総なめにして、グリーン・ステージに立ちます。ファースト・アルバムは『ザ・バルコニー』。

CATFISH AND THE BOTTLEMEN / Kathleen
Catfish and the Bottlemen - Pacifier (Live at Glastonbury 2015)

FKA twigs

今年初頭の圧巻すぎる来日公演の記憶はいまだ鮮烈です。ヴィジュアルとサウンドとパフォーマンスが完全に融合したステージは、まったく新しい価値観の提示、まったく新しい美意識の出現さえ感じさせました。「新世代のビョーク」という異名も、彼女には不足かもしれません。ファースト・アルバムを出したばかりの新人にして、異例のホワイトステージのファイナル・アクトへの抜擢は、その巨大な才能への敬意のあらわれでしょう。ノエル・ギャラガーの真裏という悪条件ですが、これを見逃すと、たぶん一生後悔します。

FKA twigs -­ Glass & Patron

HUDSON MOHAWKE

 現在のダンス・ミュージックでもっとも「旬」といえば、この人ではないでしょうか。2009年にファースト・アルバム『バター』で、その並外れたセンスとスキルで一躍注目を浴び、その後はカニエ・ウエストの右腕として、主にアメリカのメインストリームのR&Bやヒップホップを手がけて腕を磨き、先日リリースした6年ぶりの2作目『ランタン』をリリース。グラスゴーからのアメリカEDMへの回答とでも言うべきゴージャスにして繊細、ポップにして豪快な内容で大きな話題になりました。すでにスタートしているツアーの模様は動画サイトでも見ることができますが、これで盛り上がらなきゃウソという圧巻のスケール。FKAツイッグスとの並びは間違いなく今年のフジの最大の見所になりそうです。

Hudson Mohawke - Warrors (ft. Ruckazoid & Devaeux)

TODD RUNDGREN

 キャリアがやたら長く、作品数も膨大、切り口も限りなくある人なのでどういう紹介をしていいものやら迷いますが、今回のフジが最新アルバム『GLOBAL』の内容を中心とした展開、ということであれば、打ち込みのダンス・ミュージック、というかEDM仕様でしょう。もともと流行に敏感で、ディスコブームの時はそれらしい曲を出したり、軽薄、と言って悪ければ新しいもの好きで変わることを恐れない人なので、こっちも何をやっても驚かないわけです。この動画は最近のライブのようですが、フジがこうなるかはわかりません。個人的には、やはり今年になって出したリンドストロムのメンバーとのコラボで「未来神」のころみたいなスペイシーなエレクトロをやったアルバム「Runddans」の曲をやってくれないかと期待しています。

Todd Rundgren, GLOBAL: PARTY LIQUOR/WORLD WIDE EPIPHANY/THIS ISLAND EARTH April 10, 2015

TXARANGO

 地元スペインでは国民的人気バンドだというチャランゴ。今回が初めての日本公演ですが、フジロックのお客さんにはすぐになじめそうなミクスチャー・バンドですね。日本でいうとサザンオールスターズとスカパラをあわせた感じでしょうか。

TXARANGO BARCELONA LIVE 2014
TXARANGO BARCELONA 2012 Festes de la Mercè

<Red Marquee>

OF MONSTERS AND MEN

 アイスランド出身の5人組。最新作『ビニーズ・ザ・スキン』をリリースしたばかり。力強く骨太な歌と演奏、泥臭さと神秘性とモダニズムと伝統性がハイブリッドしたような音楽性はそのままに、ミュージシャンの息づかいが伝わってくるような親密感があった前作よりも、スケール感を強調した仕上がりになっている新作は、まさしくフジロックのようなフェス向け。意気上がるバンドのエネルギーを感じるライブになりそう。動画は最新作の曲のライブ。

Of Monsters and Men - Crystals(Live on the Honda Stage at the iHeartRadio Theater LA)

RYAN ADAMS

 現代アメリカン・ロックを代表するひとり。難病からの復活を遂げた最新アルバム『ライアン・アダムス』を引っさげての、因縁のフジロックへのカムバックです。アメリカでの人気を考えればこの規模の会場で見られるのはきわめてラッキーと言えるでしょう。今度は雷が来ても屋内だから大丈夫ですねw

Ryan Adams - Gimme Something Good

The Bohicas

 イースト・ロンドン出身の4人組。アークティック・モンキーズが所属する<ドミノ・レコード>の新人で、まだアルバム・デビュー前なのにフジロックに抜擢されました。切れ味鋭いリフででぐいぐいと押しまくる小気味いいビート・バンドで、面構えもふてぶてしくていい。大物の匂いがプンプンしますね。イキのいいロックンロール・バンドを見たいなら、これは外せないでしょう。

The Bohicas 'XXX & Swarm'
The Bohicas - Where You At

<Sunday Session>

LONE

初期デトロイト・テクノに通じる美しく叙情的なレイヤード・サウンドは、テクノ・ファンの琴線に触れまくり。90年代レイヴやアンビエント、LAビートに通じるアブストラクトなビート・チョップまで織り込んだカラフルな音作りはまさしくセンスの塊です。これで3日間のフェスの疲れを癒やしましょう。

Lone - Aurora Northern Quarter

Psychemagik

UKバレアリック~Nu Discoの旗手。UKを代表するヴァイナル・コレクターであり、リミキサー/エディターとして数々のエディット作品を発表している2人組。ほとんどが限定12インチで流通し、瞬時に売り切れして入手困難な音源の数々は、珠玉のような美しい輝きに満ちています。

Dreams (Psychemagik Crystal Vision Remix)

<Field of Heaven>

WILKO JOHNSON

 2013年、末期の膵臓ガンを公表。本人も含め誰もが覚悟していたはずの最後のフジ。しかしウィルコは奇跡の生還を果たし苗場の地に戻ってきます。10年後も20年後も、彼は同じようにプレイしているに違いありません。

Wilko Johnson - Going Back Home (Jools Annual Hootenanny 2015)

BENJAMIN BOOKER

 米ルイジアナ出身の25歳。その荒々しく熱いロックンロール&ブルースは、ラフでプリミティヴで泥臭くて、そして途方もない生命のエネルギーに満ちています。見ると元気が出る。力をもらえる。そんなライブになるはずです。

Benjamin Booker - Violent Shiver

Jim 0' Rourke と Gaman Gilberto

 八面六臂の活躍を見せる鬼才ジム・オルークが13年ぶりに発表したヴォーカル・アルバムが『シンプル・ソングス』を手土産に、新バンド,ガマン・ジルベルトを率いてフジに登場。朝の苗場にふさわしい素朴にして深い歌を聴かせてくれるはず。

Jim O'Rourke - Friends With Benefits

■小野島大
音楽評論家。 時々DJ。『ミュージック・マガジン』『ロッキング・オン』『ロッキング・オン・ジャパン』『MUSICA』『ナタリー』『週刊SPA』などに執筆。著編書に『ロックがわかる超名盤100』(音楽之友社)、『NEWSWAVEと、その時代』(エイベックス)、『フィッシュマンズ全書』(小学館)『音楽配信はどこに向かう?』(インプレス)など。facebookTwitter

FUJI ROCK FESTIVAL'15 いよいよ開催!

■ライブ情報
『FUJI ROCK FESTIVAL 2015』
日時:2015年7月24日(金)、25日(土)、26日(日)
場所:新潟県 湯沢町 苗場スキー場
https://www.fujirockfestival.com/

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